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本は舟、私たちは港。

*週に一冊は本を読もうと思っていたのに、忙しさにかまけて月に一冊や二冊しか読んでいない。こりゃ、いけないなぁ。別に本を読まないからといっていけないことはないんだけれど、自分で軽く決めたのに、できてないことがいけない。一度読むとおもしろいからどんどん読んじゃうんだけど、ひらくまでに腰が重くなっちゃうんだよな。お風呂みたいだ。


本を通して、人と出会うことがあります。それは本が繋いでくれたという意味だけにとどまらず、一冊の本に関わっている人の手の跡が見えることがある。著者はもちろん、装丁をしたデザイナーや編集者、印刷会社。一冊の本には、考えてみればけっこうな人数が関わっているんですよね。本からその「人」が垣間見えたとき、嬉しくなったり気になったりしちゃうのは、おもしろいなぁと思う。本を読むことは、どこか人と会っておしゃべりすることと似ている。


もうこの世にいない人が書いた本で、自分にグサッと刺さったり、沁みるように共感したり、たった一文に先が見えないほどの奥行きを感じたとき、その人はすでに亡くなっていたとしても、生きている言葉との出会いとは言えないだろうか。生きて今会える人とおしゃべりして、おもしろいなぁと思うのとおんなじようなことが、本の中にはあるんじゃないかな。そう思えば、本という舟は、すでにいなくなった人の島に連れてってくれるものでもある。


本は、舟のようなものです。読者である私たちを乗せて、いろんなところへ連れて行ってくれます。まだ見たことのないうつくしい景色、味わったことのない文化や感情があるところへ、私たちを連れ去るのです。知識だけでなく、思い出やまだ知らない気持ちまで乗せて、本の中から広がる世界へと私たちを連れ出します。僕たちの今いる港から、本という舟が、旅をさせてくれる。


本をたくさん読んだから素晴らしいとは思わないですが、やっぱり本を読むことは、おもしろい。たった百グラムに満たない程度の、カバンにするっと入る大きさのものが、いろんな出会いを体験させてくれるんだよなぁ。

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