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空想を本当にしてしまう

*土曜日は、仲良しの劇団「彗星マジック」さんの『アソートメント・アパートメント』を観に劇場へ。彗星マジックさんは、何年か前から欠かさず観にいってるんですが、ほんっとーにおもしろい。作・演出の勝山さんは、ぼくにとって第一線でやられている、本当にプロだなぁと思う作り手で、内容のおもしろさ以上に、いつもつくる姿勢や細部のこだわりなど、打ちのめされるんだよなぁ。こういう人を「作り手」って言うのか!と、本気で思う。


ぼくは普段エッセイを書くことが多いので、基本的には自分の身の回りに起きた出来事を書いている。しかし、彗星マジックさんの舞台はたいていSFで空想上の物語である。つまりそこには「設定」があって、いつもまず、その設定の奥深さや、枠のはめ方に驚かされて、惹き込まれるんだよなぁ。宇宙から襲来する壊滅災害を駆逐するための本部、宇宙人が降り立った後の地球の話、電気通信ができない世界で、モールス信号でやりとりをする人工知能と不器用な人間。その設定たちが、ぐっと受け手を前のめりにさせ、惹き込んでいく。


もちろん、心理描写や展開から生まれる感情はあるんだけど、それらは「後」の話なのだ。そして、その設定が上手であればあるほど、キャラクターや世界が勝手に動いて、その描写をより繊細で鮮明なものへと解像度を上げていく。人間の持つ「想像力」という特性を上手に使った、人間ならではの遊びだろうね、「設定」って。


彗星マジックさんは、基本的に空想のお話を演じることがほとんどなのですが、ぼくはその「空想」がいつも大好きなんだよなぁ。「空想」という「嘘」を、演劇へと昇華させることで受け手にとっての「本当」にしてしまう。いつか勝山さんとコーヒーを飲みながら「俺らのつくる空想はさ、誰かの本当だったりするんだよ」って言ってたセリフは、今でも忘れられない。その「空想」を、本当にしてしまうために時間も労力もかけてつくっている、それって、なんておもしろくて、幸せなことなんだろうと思う。


昨日の作品のなかのセリフで「流れ星が流れたら、なんてお願いする?」「流れ星が流れますように」ってのがあったんだけど、このくだりに、ぼくはめちゃくちゃに感動しちゃった。

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