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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2023年5月の記事一覧

ことばとは、舟である。

ことばとは、舟である。

*ことばはつくづく、「舟」のようなものだ。わたしとあなたの間にある海を、それぞれの速度と航海で渡っていく舟。それぞれによって舟の大きさも、形も、構造も、装飾も、何を載せて何を運ぶかも、違う。目的地も違えば、進路も、隔てる海の大きさも、波風の立ち具合も、天候さえも違うだろう。さらにいえば、こちらの岸と対岸では、広がる景色も、土や建物や文化さえも違う。

ことばとは、こちらの岸と対岸を繋ぐ「舟」なのだ

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コツコツ歩んでいる先輩。

コツコツ歩んでいる先輩。

*昨日は久しぶりに、大好きなお芝居ユニット「芝居紳士」さんの公演を観に行った。なんだか久しぶりで、人見知りが発生してしまうくらい、むずがゆかったんだぜ。会場は駅の線路下、2分に一度ゴウゴウと電車が上を通るイカした会場だ。

演目は「エンドロール」。去年ぐらいからやり続けていて、ぼくは3回ほど観たことがある。それに、昨日のはショート版で、全編をやっていたわけじゃなかった。それなのに、まるで初めて観た

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勉強に目的は必要か?

勉強に目的は必要か?

*学校の勉強には、たいてい「目的」があった。テストでいい点を取るだとか、いい高校や大学に行くためだとか、満点取ったらご褒美を買ってもらえるんだ、だとかね。しかし、大人になってからというもの、勉強に「目的」は必要ないんですよね。仕事で学ばなきゃいけないことはあるかもしれないけれど、大人になってする勉強は、自分がやりたい、学びたいからするものなので、目的なんて必要ないんです。

「学びたい」という動機

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偽名で生きてみようのススメ

偽名で生きてみようのススメ

*普通、人は「名前」をひとつしか持っていない。しかし、職業によっては名前を2つ以上持つ人もいる。芸名だったり、源氏名だったり、ペンネームだったり。あいにく、ぼくはほとんどのことを本名でやっているが、たまーに「抱きしめ亭今夜」というリングネームで、ハガキ職人をやったり、遊んだりすることがある。

自分で名前をもうひとつ作ると、色々変わるんじゃないかなぁ?べつに、ひとつしか持っちゃいけないなんて決まり

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過剰な思いやりは、逆に手抜きだ。

過剰な思いやりは、逆に手抜きだ。

*酒場が好きなぼくでも、苦手だなぁと思う酒場がひとつある。それは、グラスが残り少なくなった途端に「何にしますか?」と聞いてくる酒場だ。向こうからすればサービスなのかもしれないが(もちろん、売り上げのためもある)、これをされるとイヤになってしまう。別にハイボール1杯で一時間も居座る気はないし、頼みたかったら頼む。例えグラスが空だったとしても、空であることは飲み終えた自分が気付いている。

そこまで仲

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どうして文章を書くのか、その備忘録。

どうして文章を書くのか、その備忘録。

*ミュージシャンの友人が、いつかのライブで「きっと私は、生きにくいから音楽やってます」と言っていた。すごく自然に出たことばで、内容以上にその音が心地よかったのを憶えている。

ぼくはなぜ文章を書いているのだろう、と駅からの帰り道で考えてみる。それしかなかった、というわけでもない。いろんな表現が好きだし、いろんな表現を観に行くことも多い。文章が上手いからか、と聞かれるとそうでもない(上手くなりたいと

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信号を待つ人

信号を待つ人

*おいら、この前おっでれえたことがあんだ。都会のトーキョーって街はえんれ人が多ぐでよ、車も、歩行者も、いっぱいいんだ。んで、おいらは信号のある横断歩道を渡ろうしていたんだべ。そしたら、青信号がこう、チッカンチッカンと点滅するもんだから、急いで走って渡ろうした。そしたらだべ。横断歩道の向こう側にいたお方は、チッカンチッカンと点滅するのを見て、渡るのをやめたんだっぺな。おいら、これにはえれえおでれえた

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「お金 =馬力」論。

「お金 =馬力」論。

*「お金」というものについての考え方は、それはもうわんさか世の中に溢れている。好きだとか嫌いだとか、どうすれば集まるだとか逃げていくだとか、倍になるとか働いてもらうとか。お金についての考え方を語って、お金を取る商売だってあるわけです。

でね、お金について、ぼくは正直そこまで考えたことがありません。というのも、どちらかといえば金勘定は苦手な部類です。こう書くと、江戸っ子のようなかっこよさが付いて回

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かゆみ考察論。

かゆみ考察論。

*かゆみについて、ぼくはたびたび考えることがある。「痛み」とか「苦しみ」とかってある程度まで我慢できたり、慣れたりすることはあると思うんだけど、この「かゆみ」ってやつに慣れは存在しないね。かゆいときはいつだってかゆい。「痛みに慣れたよ」と言う人はいても「かゆみに慣れたよ」なんて聞いたことがない。それに、かゆみはなかなか我慢できないんだね。いちばんほうっておけない感覚じゃないだろうか?

しかし、か

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他人の意見は、よーく炒めろ。

他人の意見は、よーく炒めろ。

*ぼくは二十二歳になるまで、コメも炊いたことがなかった(炊き方すら知らなかったのである)。それまで実家で、外食で、誰かが作ってくれるメシで、ぼくの「食」は成立していた。よくよく考えれば、これってすごいことだよね。死ぬまで自分でメシを作ったことがない!なんて人も、実はけっこういるんじゃないかな?

料理に目覚めたのは、たぶん二十三歳のころだ。彼女との同棲をキッカケに、時間を持て余していたぼくは料理に

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スランプはチャンスだ!

スランプはチャンスだ!

*こうも飽きずに毎日書いていると、よく「スランプとかないんですか?」と訊かれる。もちろん、飽きたりしたことはあるが、「ひとまず10年続ける」と決めているので、飽きに対しては何一つ気にならなくなった。飽きてからが勝負だとか、飽きないようにするだとか、そんなことを考えていたこともあったが、五年経った今となってはもはや些細なことでしかない。飽きようが飽きまいが、毎日やるとこちらは決めているので、やるしか

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「思い出」というごほうび。

「思い出」というごほうび。

*たくさん生きると、思い出はそのぶんだけ増えていく。当たり前だが、十歳の思い出の数と、五十歳の思い出の数は、桁1つほどの差があるだろう。思い出せる数や、その瞬間は少ないので、いつだって思い出の数は変わらないように思えるが、思い出す場所や景色、瞬間、言葉や表情など、生きれば生きるほど、思い出の数は増えていくものだ。

ふとした瞬間に今まで忘れていたことが思い出されたり、思い出そうとして絞り出すように

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人に、光を当ててみる。

人に、光を当ててみる。

*「光」は、秒速30万キロメートルという想像もつかない速度を持っている。今、ぼくたちが見ている光は、その速度で、どこかから届いたものだ。例えば、太陽の光は、地球に届くまで約8分の時間を要する。つまりぼくたちが見ている太陽は、8分前の太陽ということだ。そう思うと、「光」というのはすべて過去のものなのである。どれだけ近くで光を見たって、それは「距離÷秒速30万キロメートル分」前の光なのだ。

月の光は

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初めてのストリップショー

初めてのストリップショー

*東京の最終日、ずうっと気になっていたある場所に行ってきた。浅草ロック座である。何の場所かというと、ストリップショーの聖地です。好きなラジオでたびたび、ストリップの素晴らしさについて語っていたのを思い出し、ふらりと向かったのであった。

「ROCKZA」と書かれたネオンサインの建物に入り、階段を登る。入場チケットを買い、場内に入ると、壁には一糸纏わぬ女性の写真がこれでもかと張り出されていた。ショー

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