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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2023年1月の記事一覧

自分のいない、いつかどこかで。

*ある友人は、飲み会でひとりまたひとりと帰っていくのが苦手で仕方ないそうだ。彼はうしろに予定がないかぎり、飲み会には最後の最後まで残るのだという。その時間が終わってほしくないというより、自分が帰ったあとに、なにか面白いことや素敵な話がはじまったら、その場にいないことをひどく後悔するんだそうだ。やっかいなほど寂しがりやで、歳上だけれどかわいいやつめ、と思う。しかし、飲み会の果ての果て、終着点はいつだ

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話すより、聴く方がおもしろい。

*ありがたいことに去年くらいから、対談やトークライブの「聴き手」として、声をかけてもらえることが増えた。これは、ぼく自身が話し手として登壇することよりも、嬉しいことだ。それは、ぼく自身がお客さんに向けて何か話すことよりも、相手がいて、その相手の話を聞いてみることの方が楽しいと思っているからに他ならない。というかそもそも、ひとりで不特定多数のお客さんに向けて話したいことなんて、ぼくにはない。あったと

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絵が第一印象。

*改めて、「絵本」というもののおもしろさについて、考えている。さいきん、ほっとんど絵本について考えてこなかった。コピーだとかエッセイだとか、そっちばかりやっていたから、久しぶりの筋肉を動かしているような感覚で、アイドリングに時間がかかる。似ているけれど、使っている筋肉がちがっていることって、ほんとよくあるよねえ。

絵本の面白いさ、というか第一印象は、やはり「絵」が持っている。それが最初にあって、

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良いものを使えば、良いものができるのか?

「いいもの」を使えば、「いいもの」ができる、というわけではないことを、ある程度の大人は知っていますよね。本当にそうなら、昔の画材や道具でつくられた作品は、軒並み「いいもの」ではなくなってしまう。

いや、スポーツや競技など、基準が数字だったり明確にあるものは、その法則が当てはまるかもしれない。年々、記録が更新され続ける立役者には、選手自身や練習方法の進歩はもちろん、道具の進歩によるものも大きそうだ

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ドキュメンタリー72時間。

*ここ最近、めしを食いながら「ドキュメンタリー72時間」という番組に釘付けになっている。NHKが制作している番組なんだけど、これがおもしろいんだ。毎回、ひとつの場所を決めて、そこに72時間、つまり3日間張り付きで取材するというもの。その「場所」のセンスも、なかなかおもしろい。新宿にある24時間営業の格安弁当屋や、日本ダービー前の正門、北九州の歴史ある旦過市場などなど。この前観ておもしろかったのは、

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勝ち負けを無視したら成り立たない。

*高校球児だった頃、一歩間違ったらヤクザ屋さんにでもなっていたであろう監督から口酸っぱく「勝たな、なーんも意味ないぞ」と言われたものだった。耳にタコができるほど言われたものだ。「お前らの三年間も、勝たんと意味がなくなるんや」とまで言われていたんだぜ。高校球児に向けて言うことかね、と思うけれど、なかば納得している自分もいた。そういえば、口酸っぱくと耳にタコができるで、タコの酢の物ができそうだね。

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自分の力だけで考えを変えられるか?

*「考えを変える」というのは、なかなかむづかしいことだと思う。「考えが変わる」ことはあっても、自分の考えを、自分の力でぐにゃりと変えてしまうようなことって、実はなかなかないんじゃないか、むづかしいんじゃないかとふと思ったのだ。

例えばぼくは、丼ぶり業界の中では「天丼」がナンバーワンである。しなしなで提供してくる天丼もあるが、やはりサクサクがいい。タレは多めにかかっていて、天ぷらをつまみにあのタレ

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なじり合いという漂白剤

*MMM1グランプリが、無事に終わりました。初の神戸での開催、思っていた以上に盛り上がった。お客さんは想定の3倍ほど来て、お店から少し溢れそうだったほど。みんな、えらいヒマなもんだなぁ。そして、そのヒマの使い方がなかなかおしゃれじゃないか、ともんのすごい角度からボールを投げたい。いやはや、遊びに来てくださった皆皆様、演者のみんな、本当にありがとうございますです。

さて、当日、おもしろいなぁと思っ

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大人が本気で遊べば、こんなにもおもしろい。

*さて、今日はこれから毎年恒例、MMM1-グランプリの本番です。怒られないように小声で言いますが、これはお笑いが好きだったり、はたまた興味がそこまでなかったりする素人が、くじで当たった人と、くじで割り振られたM1漫才師のネタをコピーしようという、大人の高尚な遊びである。大阪で数年やっていたのが、神戸の友人がウチでもやりたい!と言ってくれたので、神戸と大阪で同日開催することになった。

某お笑い賞レ

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見えっこないものたち。

*人間の歴史は、あらゆるものを「見える」ようにしてきたのかもしれない。細胞とか細菌とか、栄養素とか身体の造りだとか、海の中には何がいるかとか、宇宙には何があるかだとか。手帳に書いたりスマホにメモしたりと、スケジュールを管理するというのも、ある種の「見える化」である。恋人が今この瞬間なにを思っているのかも知りたい!ってのも、好奇心という名の「見たい」欲求である。

ただ、どこまで行っても「すべてが見

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運命なんて、あるのかーしら?

*子供の頃は「運命の人」なんてものを、信じたりしてたっけ。世界のどこかに、自分と結ばれる赤い糸で繋がった誰かがいる。その誰かと出会ったとき、雷が落ちたように恋に落ちるのか、それともすでに出会っていて、しかるべきタイミングでふたりは結ばれていくのか。そんなことをよくも分からずに、なんだか信じていた時期があった。

大人になった今思うのは、「運命」はロマンだよなぁ。ロマンだからこそいいんだけど、ちゃん

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労働後のビールがウマいわけ。

*きのうは、海の近くの塩屋という街に行った。先日飲み屋で出会った方がその街でギャラリーを営んでいるというので、塩屋に住むお姉さまに案内してもらいながら、坂道だらけの街をえっほえっほと歩いた。寒かったけれど、すぐに暑くなるどころか、汗だくだったけどね。あの街に住む人は、みんな健康そうだなぁ。さんぽが、ちょっとした登山くらいあるもの。

塩屋は特に坂が多い街で、上からけっこうな勢いで何かが転がってきそ

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「尊敬」と「軽蔑」のちがい。

*ナオユキさん、というスタンダップコメディ、もとい漫談を生業にされている芸人さんがいる。2年ほど前だったかな、愛知県のフェスで見て以来トリコになり、ちょくちょくとライブに通うようになった。右手にハイボールを、左手でタバコを持ちながらスタンドマイクに向かって、ショートショートのネタをリズム良く披露していく。それはまるでブルースのようで、メロディの中にある音符の矛盾や可笑しさに、聴いているこちらが思わ

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あらゆる言葉や考えの背景に。

*ネットをひらけば、あらゆるところで「あなたにおすすめのもの」が出てきます。サブスクのサービスなんてのはまさに、その宝庫だね。アルゴリズムなんて難しそうな言葉のものを使って、「よりあなたの好みに近いもの」が統計や傾向によって算出されているのだろうけれど、ちょっとくどいなぁと思い始めてきた。便利ではあるが、そのシステム自体が好みかと言われるとそうではない。

「好きの押し付け」が苦手なのかと思ったけ

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