絵が第一印象。

*改めて、「絵本」というもののおもしろさについて、考えている。さいきん、ほっとんど絵本について考えてこなかった。コピーだとかエッセイだとか、そっちばかりやっていたから、久しぶりの筋肉を動かしているような感覚で、アイドリングに時間がかかる。似ているけれど、使っている筋肉がちがっていることって、ほんとよくあるよねえ。

絵本の面白いさ、というか第一印象は、やはり「絵」が持っている。それが最初にあって、物語だとか、言葉だとかが入ってくるわけだね。タイトルの言葉だけで買う絵本もあるだろうけど、やっぱり絵が気に入らないと、なかなか買わないよねえ、絵本って。

思えば、あれだけ紙いっぱいにインクがべったりと使われてるのって、絵本とか写真集くらいなんじゃないかな?他はたいてい、数センチの空白枠があって、真ん中に揃えられているでしょう。けれど紙いっぱいまで描かれているどころか、それでも足りない!ってくらい主張しているのが、絵本だったりするね。そうだ、やっぱり絵が最初で、絵がすべて、くらいの感覚なのかなぁ。

・ことばとちがって、身体は正直だ。隠すことはできても、うそまではつけない。言葉はうそをつくことができてしまうから、言葉だけを信用してしまうと、とんでもないことになっちゃうよね。待ち合わせに遅れて、いくら彼女が「待ってないよ」なんて言葉では言っていたとしても、寒くて震えている身体をちゃんと見ておけば、とんでもないことにはならない。で、その「寒くて震えている身体」ってのがさ、まさに絵本の「絵」にあたるわけでさ。言葉なんてものは、ほとんどその補足でしかなくって、絵や物語に没入してもらうためにあるとすら思う。

ぼくは昔から、ことばに重きを置きすぎてたんだよなぁ。まさにさっきの例で「なーんだ、待ってないのか!」と信じ込んでしまう人間だった。だから、子供の頃は絵本なんてほとんど読んじゃいなかったもん。絵本よりも漫画とか、言葉を追えばどんな物語か分かるものを好んで選んでいたような気がする。絵の一枚一枚、一コマ一コマなんて、今思えばちゃんと読んだことはなかったなぁ。もったいないことをしてるぜ、小さい頃のおれよ。


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