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今日のうんち

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食べたら、でるもの。なにかを食べては、今日も出す。 2018年4月16日よりまいにち更新される、白川烈が書くエッセイです。 クサいときもあるかもしれませんが、それはご愛嬌で。… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

要領の良さ、なんて。

*ぼくは基本的に、要領がいいほうだと思う。もっといい人もたくさんいるんだろうけど、少なくとも、わるくはない。昔からたいていのことは60点を取れる方だし、初めてのことでもおおまかな道筋や「こうすればできるかな?」というのが見える。ただ、要領がいいというのは、ぼくのなかでは本当に、もったいない、どうしようもない部分だと感じている。

要領がよくない人、というのは、同じことをやるにしても、ぼくよりも時間

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意思疎通と統一をサッカーから学ぶ

*サッカーW杯、日本対コスタリカ戦を後半から観ていた。0対0で進む緊張感のある一戦を、晩ごはんを食べながら観る。ぼくはサッカー素人なので、あまり戦術的なことは分からない。オフサイドすらも、ぼんやり理解しているくらいだ。ただ、野球をずっとやっていたので、スポーツごとの違いや、スポーツを観ることに関しては、それなりにキャリアがあるとは言える。

サッカーを観ていてまず一番に思うのは、意思疎通と共有のむ

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伝えたいことは、「ちゃんと」伝える。

*誕生日前夜は、思い立って好きなお店で過ごすことにした。ぼくが二十歳ぐらいの頃からお世話になっている店のママが、ひとりで構えるお店だ。なんだかんだ足を運べておらず、半年ぶりに行ったけれど、ママも、お店も、空気感もなにひとつ変わっていなくて安心した。ぼくの好きなお店と人が、半年前と変わらずにそこにある。いろんな商いが難しいこのご時世で、これほど嬉しいことはない。

昨日も書いたんですけど、ぼくは誕生

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誕生日に、遺影を取りに行く。

誕生日に、遺影を取りに行く。

*今日は朝から、とある場所に行きます。とある場所、と言っても、地図記号程度のおおまかさしか決まっていないのですが、行きます。何をしに行くのかと問われれば、「写真」を撮りに行きます。正式に言えば、撮られに行きます。何の写真なんですかと問われれば、「遺影」を撮りに行くのです。念のため書いておきますが、なにか病気にかかったというわけでも、余命宣告されたわけでもありません。

じつは今日、11月27日は、

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物と私の関係性。

*ぷらっと買い物にでも行ってやるか、と近所のスーパーまでの道すがら、いまどき珍しい木製の杖をつきながら歩くおばあちゃんとすれ違った。杖をじょうずに使いながら重心を支え、速くはないがそこまで遅くもないスピードで路肩を歩いている。その「杖とおばあちゃんの関係」が、ぼくにはなんだか羨ましく思えてしまって、すれ違って数秒間、後ろから眺めていた。

なんだか、かっこよかったんだよなぁ。ぼくが杖をついたって、

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見えない空気感はどのようにつくられるか。

*書き忘れていたのですが、きのうの絵本のワークショップの話は、大阪熊取町にて行われた「オリナスジカン」というマルシェでの出展でした。仲良くしてもらっている彫金作家さんにお声がけいただいて、出展する流れになったのですが、なにぶん第一回目の主催ということや、雨っぽいのもあったりして、出展する僕もどんなイベントになるんだろう、と手づかみのないまま参加しました。

ふたを開けてみると、これがもう、いいイベ

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みんなでつくる意味。

*きのうは、大阪府熊取にて行われたマルシェで、絵本づくりのワークショップでした。なんだかんだ、ぼくも関わる絵本のワークショップは何年振りとかだったんだけど、やっぱり面白かったー。子どもたちの自由な発想、ルールに縛られない動き、イキイキとした楽しそうな顔には、こちらが驚かされる、思い出すものがある。

ワークショップでは、ぼくらの次回作となる絵本の内容を踏まえて、新たな1ページを自由につくってみよう

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LOVE LIFE.

*深田監督の『LOVELIFE』という映画が、とんでもなくよかった。朝起きて、近くのミニシアターまで自転車を30分漕いで、時間ギリギリに劇場へ忍び込む。中には僕を含めて四人しかお客さんがいない。ミニシアターのスクリーンは、どの部屋によってかで大きさも高さもバラバラだ。今回は小さめで、そして少し高い位置にあった。もう少し後ろの位置にすればよかったかな、と思いながら席に着く。

きっと100人いたら、

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咲かない桜の木の下で。

*桜の木が、そこにあったとする。
一本じゃない。群れで、数本、数十本、桜の木が生えている。そこは毎年、人気のお花見スポットで、春になると人が集う。酔っ払いからちびっこまで、いろーんな人たちが桜の木の下、駆け回ったり座り込んだり、桜の花びらを見るのもぼちぼちに、楽しんでいる。

桜は春、すこしのあいだだけ咲いている。それ以外は散って、「あれ?これ桜の木だったっけ?」なんて言われたりする。桜は、花が咲

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理屈のつかない感情

*ほんとうはもっと単純なのに、いちいち理屈っぽく説明してしまうようなことがある。もちろん、ぼくにもある。それがややこしいのは「考える」ということと、似ているところがあるからだ、とも思う。

映画なんかでも、こういう伏線が、どこどこのセリフが、背景が〜なんてことを言っちゃいたくなるよねえ。だから良かったと説明するときにも、だから良くなかったと説明するときにも使われる。もちろん、それはそれで素晴らしい

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わけもわからないまま感動できる。

*きのう、新海誠監督作品の『すずめの戸締まり』を観てきた。やはり、アニメーション映画は、映画館で観るに限るね。テレビ画面の前とじゃ、受け取る空気や感動が段違いだ。視界いっぱいに広がるスクリーンと、ズシンと体に響いてくる音響があるだけで、受け取る「質」は変わってくるように思う。

肝心の映画は、ただただすごかった。ストーリーも、アニメーションの美しさも、声優陣も、すべてにおいて、ただただ圧倒される作

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経験したがゆえの「怯え」。

*経験したからこそ、怖いものってあるじゃないですか。怖いままになっているもの、と言い換えてもいいかもしれない。初めてのときは、驚きが恐怖を上手に隠してくれたけど、二回目三回目のほうが怖かったりするもの。おおげさに言ってしまえば、「トラウマ」になっているものなんかも、そうだよね。

例えば、ヤケドをするまで、火に触れて「アヂッ!」ってなるまで、火のことは怖くも何ともなかったでしょう?火を経験していな

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事情はみんな持っている。

*「理屈と湿布はどこにでもくっつく」なんてことわざが、どこかになかっただろうか。なかったなら、いまぼくがつくったことにしといてくれていい(たぶんあったと思うんだけど)。いや、ふと、そんなことを思ったんですよ。「事情」っていうのは、我々がそれぞれに、みーんな持っているものなんだよな、と。私もあなたも、あいつもあの人も。それぞれに「事情」を抱えている。

この「事情」とやらは、それぞれに話を聞いていけ

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言葉と音の仲睦まじきこと。

*「言葉」よりも先に「音」があったわけだ。風が発する音、木々が擦れる音、波の音、夜の静けさ、意味すらも持っていない声、、、さまざまな音があって、そこから、言葉というのは生まれたわけだよね。音より先に言葉はなかったのだから。そのあとに「記号」に近しい伝達のために「文字」というものが、発明されていったことになる。

「音」のほうが、「言葉」よりもずっと先に存在していたのだ。だからだろうか、ぼくは「音」

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