見えない空気感はどのようにつくられるか。

*書き忘れていたのですが、きのうの絵本のワークショップの話は、大阪熊取町にて行われた「オリナスジカン」というマルシェでの出展でした。仲良くしてもらっている彫金作家さんにお声がけいただいて、出展する流れになったのですが、なにぶん第一回目の主催ということや、雨っぽいのもあったりして、出展する僕もどんなイベントになるんだろう、と手づかみのないまま参加しました。

ふたを開けてみると、これがもう、いいイベントだったんですよねー。オープン時間には人がもうわんさか賑わっていて、主要な駅を想像させるほど。でも、主要駅ほどの騒々しさや冷たい感じは一切なく、みんなが温かい目でブースを回ったり、お店の人やスタッフと話したり、子どもがわーっと駆け巡っていたりして、ちょっと寒い土地での温かいイベントでした。

「いいイベント」の要素はたくさんあるけれど、その中のひとつ、最も言語化しにくい点として「空気感」というのがあると思う。特に今回のようなマルシェでは、もちろんお目当てのお店があって来ている方もいるだろうけれど、全体から見れば少数だ。だいたいの人は「なんかおもしろそうなことやってるぞ」とぷらっとやってくる。そんな初めましての人たちが、どれだけやわらかく、安心して楽しめるかというのは、やっぱり空気感による。

その「空気感」というのは、イベントを形作っている人によって作られる。つまり、スタッフや出店している人々だ。出店している人々も、それまでスタッフとのやりとりを重ねながら、その日に臨むわけだから、突き詰めていくと、スタッフ・内側の人間がどれだけ思いを持って、かつみんなが楽しめるように取り組んでいるかが、見えない「空気感」となって場を包むのだと思う。

例えば、講演会とマルシェでは、スタッフの対応はまるっきり違います。前者だとテーマがマジメであればあるほど、キチッとした対応を求められます。ただ、その中に、どれだけ「人間らしさ」を残せるかであったり、いいイベントにできるか、来てくれた人に来てよかったなぁと思ってもらえるかは、対応のキッチリさとは関係のないところにあると思うんです。

そういう意味で、この「オリナスジカン」というイベントは、すっごく良かったんだよなぁ。人がみんな温かかった。田舎だから、というのもあるかもしれないが、田舎でやっているイベントや催しが、みんなそんなじゃないでしょう。やっぱり、作る人たちが思いを持って懸命に作っているクオリティの高いものは、ちゃんと「いいもの」になるんだよなぁ。


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