意思疎通と統一をサッカーから学ぶ

*サッカーW杯、日本対コスタリカ戦を後半から観ていた。0対0で進む緊張感のある一戦を、晩ごはんを食べながら観る。ぼくはサッカー素人なので、あまり戦術的なことは分からない。オフサイドすらも、ぼんやり理解しているくらいだ。ただ、野球をずっとやっていたので、スポーツごとの違いや、スポーツを観ることに関しては、それなりにキャリアがあるとは言える。

サッカーを観ていてまず一番に思うのは、意思疎通と共有のむづかしさだ。野球と違って11人と人数も増えるし、何よりゲームが止まらない。ボールが生きている間は常に、全員が集中してポジショニングやボールに関わるプレイを行っている。野球は常に試合が止まるスポーツなので、意思疎通は基本的に容易だ。タイムを取って、伝令から選手に策を授けることもできる。

しかしサッカーの場合は、常にボールが生きていて、ゲームが止まるのは前半後半のあいだしかないので、意思疎通と共有がかなり限られることになる。これは素人のぼくが観た上での感想でしかないんだけど、どれだけ勝利へのビジョンを鮮明に描いて共有できているかは、チームの強さの指針になりそうだ。どのタイミングで、どんなルートでゴールを奪って、その後は守り切るのか、もう1点を狙いに行くのか。最後に相手よりも1点だけ上回っていればいいスポーツなので、何も前半にリードする必要もない。ただ、それも見越して前半にリードしておくアドバンテージも優位にありそうだ。

Twitterで、サッカー選手のインタビューの受け答えはすごく上手だなぁという感想をいくつか目にしたけれど、それも関係あるかもしれない。流動的なゲームの中で、それぞれのポジションから見える景色や体感を、言葉にして選手同士で共有しなければならない。その密度が、きっと他のスポーツとは段違いなのだ。少ない時間で、的確で有益な情報をまとめて、選手同士でコミュニケーションを図り、意思統一をしなければならない。ピッチに出ている11人がひとつの生き物のように、ボールを持っていない選手も含めて動いているだろうから、どれだけ石の統一ができているかは、きっと大切なんだろう。そのための練習も、たくさんしているんだろうな。

サッカーから学ぶ「意思疎通の取り方」みたいな授業があったら、おもしろいかもしれない。流動的な日常や仕事の中で、自分の思っていること、考えていることを周りにちゃんと伝えて、伝えてもらう。そのうえで、どうしていくか?を動きながら考える。そんな意味でも、スポーツって面白いし、ものすごい発明だよなぁ。


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