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呉海 憂佳(yuuka kuremi)
2024年5月30日 21:26
こんな夢をみた。 私は、屋根裏の薄暗い部屋に置かれた鏡台だ。自分が一体どんな姿をした鏡台なのかは知らない。部屋にある鏡は私だけだから、皮肉なことに知る由がないのだ。 部屋には、木製の簡素なベッドと、センスの悪い衣装が何着も収められたクローゼットと、素人でも造れそうな歪んだ円形のテーブルと、萎れた感じの造花が挿された花瓶一つだけが置かれている。ちょうど今頃のような、錆びた夕陽がこの部屋にはと
2021年8月27日 20:27
こんな夢をみた。凄まじい嵐に巻き込まれて船が難破し、遭難してしまったという記憶だけはあった。気が付いたときには、この奇妙な無人島に漂着していた。夏らしい強い日差しの下で、私はひとまず、雨風を凌ぐことができそうな場所を探すことにした。少し歩いてみるとすぐわかったが、どうやら無人島と言っても、もともとは人が住んでいたらしい。あちらこちらに住居や店があり、まるでつい先程まで人が住ん
2020年8月17日 00:00
こんな夢をみた。 私は公園のベンチに腰をかけて、ぼんやりと砂場を眺めていた。ありふれたどこにでもある昼下がり。幼い子供たちが、砂のお城を作っては崩しを繰り返しながら、きゃっきゃっと騒いでいる。「それ」が訪れたのは突然のことだった。ぽかぽかと、温かい陽気の中を、サッと冷たい風が吹き抜ける。風に誘われるように瞬きをしたとき、ふっと何も音が聞こえなくなったのに気が付いた。驚いて辺りを見回す
2020年6月6日 01:43
こんな夢をみた。 私は橋を渡るところであった。一見、果てしない上り坂のようにしか見えないのだが、両脇には落下防止のための立派な欄干があり、ご丁寧にも一番太い柱の部分には「橋」と書かれている。両脇には雄大な海が広がっていた。うだるような暑さではあったが、橋の一番高いところから見える景色はさぞ美しいだろうと思い、私は坂を上り始めた。 さて、橋を上っている間に、老婆とすれちがった。老婆はゆっく
2020年5月27日 21:19
こんな夢をみた。 私はまだほんの幼い子供であった。かんかんと暖房がよくきいた部屋で目が覚め、寝ぼけ眼をこすりながらリビングへ出てみると、父が机に向かって静かに物書きをしていた。「眠れないのかい」 ペンを握ったまま、父がこちらを見るわけでもなく話しかけてくる。そう言われてみて初めて部屋の時計を探してみると、振り子のついた大時計が、深夜を告げていた。「そうみたい」 答えると、父は