エッセイ『孤独の味わい』
最近、子供の頃の思い出を振り返って、暖かい孤独をじっくりと味わうことをひとつの愉しみとしているから、ここで披露してみたい。
真冬のある日。小学校から帰ると、入れ違いで母が買い物に出かけ、家には自分以外誰もいなくなってしまった。口数多い母がいなくなると、急に家はよそよそしくて、しぃーんと静かになってしまう。
視界に入るのは、かんかんに炊かれたストーブと、テレビに映る夕方の何気ないニュース番組、窓を見ると一面の雪吹雪。この雪のせいで友達と遊ぶ約束ができなかったのだ、と恨めしく思