![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147063912/rectangle_large_type_2_401d03f5e11a0bfdbbe6d11726a43a33.png?width=800)
【掌編】Muse
夏は夜。
月を見たくて庭に出たけれど、今晩は新月だったみたい。でも、こんな夜は蛍が星のようで美しいのね。初めて知ったわ。
夏は夜。
こっそり家を抜け出して夜の森に忍び込んだら、妖精たちを見つけたんだ。悪戯好きの妖精のせいで森は大混乱だったけど、すごく楽しかったよ。
夏は夜。
最終列車に揺られて微睡んでいた時に、星が尾を引いて夜空にツーッと流れるのを見ました。まるで天を駆ける列車のようで、ふと、あすこにもきっと誰か乗っているに違いないと、そう思いました。
夏は夜。
幻想のミューズたち、熱気のヴェールを携えて。
いつかわたしのところにも、どうか来てくれますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?