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私が読んだ小説、漫画をはじめ、いろいろな感想をしたためたマガジンです。ネタバレなしを原則にしますが、ある場合は注意書きを入れるつもりです。オススメからそうでないものまで。好きな小…
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【感想文】ちょめ『室外機室』

【感想文】ちょめ『室外機室』

✒️あらすじ
✒️感想2024年6月7日 読了
★★★★☆

 本屋さんで特集されているのを発見して購入した漫画の短編集。
 「ファンタジー」とあらすじにはあるけれど、魔法が出てくるようなタイプではなく、世にも奇妙な物語みたいに少しリアル寄りのイメージが近いかもしれない。

 1番好きだったのは『地下図書館探検譚』。
 ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』に近い構成ではあるけれども、違った味わ

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【感想文】小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』

【感想文】小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』

✒️あらすじ✒️感想2023年1月10日 読了
★★★★★

 全文が詩なのではないかと思ってしまうほど、どこを読んでも美しい文が綴られています。登場人物はどれも個性的で、想像が膨らみます。
 小川さんならではの細やかな情景描写と、心動かす場面転換は読み応えがありました。

✒️こんな人におすすめ まず、チェスが物語の大きなテーマとなっていますが、チェスのルールが全く分からなくても問題なく読むこと

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【感想文】皆川博子『鳥少年』

【感想文】皆川博子『鳥少年』

✒️あらすじ✒️感想2022年2月5日 読了
お気に入り度 ★☆☆☆☆

 皆川さんのショートショート集。10ページ前後で終わる作品が豪華16篇も入っています。しかし、ショートショートといえど侮ることなかれ。1つ1つが恐ろしいほどの毒気を持っていて、読んだ後の感覚としては単行本1冊と変わらないくらい重いです。私はそのあまりにも強い毒気にあてられて、正直あまり楽しむことは出来ませんでした……(皆川さ

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【感想文】堀川アサコ『伯爵と成金』

【感想文】堀川アサコ『伯爵と成金』

✒️あらすじ✒️感想2022年1月23日 読了
★★★☆☆

 私はよく、ジャケ買いならぬ《カバー買い》をします。なるべく色んな人の小説を読みたいので、著者から本を選ぶことは少なく「好きな作家は?」と訊かれると即答できず困る時があるくらい。
 それでもカバー買いを止められないのは、自宅の本棚にぜひ並べたい! というコレクター欲と、読む前と読んだ後で、カバーの印象と内容を比較・考察をするのが好きだか

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【感想文】石黒達昌『日本SFの臨界点』

【感想文】石黒達昌『日本SFの臨界点』

✒️あらすじ✒️感想2021年12月31日 読了
お気に入り度 ★★★☆☆

石黒さんのSF短編集になります。作者がゴリゴリの理系ということもあり、かなり設定が凝っていたなぁというのが雑感です。どこがフィクションなのか、素人の私には分からないくらいでした。いくつかある短編のうち『冬至草』『雪女』は、知識がなくても読みやすいと思います。このお話は、作者の出身でもある北海道が舞台。理系ならではの緻密な

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【感想文】松岡圭祐『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』

【感想文】松岡圭祐『アルセーヌ・ルパン対明智小五郎 黄金仮面の真実』

✒️あらすじ✒️感想2021年1月15日 読了
おすすめ度 ★★★☆☆

 モーリス・ルブランのルパンシリーズは私にとって、読書を始めるキッカケにもなった重要な作品でした。ルパンが大好きで、小学生のうちに全シリーズを読んでしまったので、「ルパンがもし〇〇と対決していたら……」という設定で、モーリス・ルブラン亡き今も新しいルパンの活躍が読めるというのはファンとしては嬉しいものです。
 松岡さんの文体

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【感想文】皆川博子『結ぶ』

【感想文】皆川博子『結ぶ』

✒️ あらすじ✒️ 感想2021年12月22日 読了
お気に入り度 ★★★☆☆

 優美で優雅な皆川さんの短編集です。どれも深い湖の底のような昏さを孕みながら、それでいて妙な安心感のある不思議な作品が沢山詰め込まれています。特に好きなのは「湖底」「水族写真館」「川」「薔薇の骨」。タイトルだけ見てもシンプルながら美しいと感じますよね……。
 そして、前半の3つのタイトルには共通して《水》のモチーフが

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【感想文】小川洋子『密やかな結晶』

【感想文】小川洋子『密やかな結晶』

✒️あらすじ✒️ 感想2021年11月28日 読了
お気に入り度 ★★★★☆

小川さんの書く文章はとても美しい表現が多いです。西洋の陶器のティーカップのように洗練されていて、綺麗だったり可愛かったり、時折ひんやりと冷たかったり、そんな文章を書きます。
この小説の世界では、様々なものが「消滅」し、人々の記憶から消え去ってしまうのですが、その現象について無理やりなトリックや設定を説明せずに、主人公の

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【感想文】panpanya『魚社会』

【感想文】panpanya『魚社会』

漫画を読んで感想文を書こうと思ったのは初めてだった。
今までの人生で、感動した漫画や面白い漫画はいくつか出会ってきたが、これは感想文を書かなければな、と思うものは出会ったことがない。
感想文は、小説に対して書くものだと思っていた。

そんな私の固定観念をつき崩してくれた漫画が、
タイトルにもなっているこれだ。

『魚社会』panpanya独特な雰囲気。
でも、とても読みやすく、
内容が難しい訳では

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