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【感想文】堀川アサコ『伯爵と成金』
✒️あらすじ
大正情緒を引きずる昭和6年、1人の強欲成金が顔を赤いペンキで塗られた異様な死体となって発見された。冤罪を着せられた放蕩息子の牧野心太郎は、真犯人を捕まえるために、タダで探偵をするという奇特な伯爵家の次男坊・黛望(まゆずみのぞみ)を頼る。一方、巷では同様の死体が次々見つかり、「黒影法師」なる者の仕業と噂になっていた――。耽美と退廃が匂い立つ、帝都バディミッション開幕!
✒️感想
2022年1月23日 読了
★★★☆☆
私はよく、ジャケ買いならぬ《カバー買い》をします。なるべく色んな人の小説を読みたいので、著者から本を選ぶことは少なく「好きな作家は?」と訊かれると即答できず困る時があるくらい。
それでもカバー買いを止められないのは、自宅の本棚にぜひ並べたい! というコレクター欲と、読む前と読んだ後で、カバーの印象と内容を比較・考察をするのが好きだからなんです。
……と、このまま自分の本の選び方をお話したいのは山々ですが、話を戻します笑
だいぶ脱線しましたが、この小説もカバー買いした作品です。ライトな見た目のカバーに惹かれて買ったのですが、内容とのギャップに驚いた作品でした。文体は読みやすいものの、ストーリーはかなりダークで大正浪漫が感じられます。西洋列強に早く並び、あわよくば追い越したいという野心を内に秘めているような、ヒリヒリとした雰囲気が蔓延している帝都を存分に楽しめます。タイトルにもなっている《伯爵》と《成金》のやりとりが軽妙で心地いいのもポイント。
個人的にはいいギャップだったなと思います。これだからカバー買いは止められませんね……!
✒️こんな人におすすめ
大正浪漫や、ミステリとゴシックホラーの融合を楽しみたい人にオススメです。江戸川乱歩が好きな人は楽しめると思います。
ただし、注意点もありまして、恐らくこの作品には続編があると思われます。この1冊で完結していない部分がありますので、サクッと単品を楽しみたいという方は注意した方がいいですね! とはいえ、続きを読みたくなるような面白さはあるんじゃないかなと思います。
作品の舞台は東京ですので、ちょっとレトロな東京の宿でも借りて、(このご時世なので)敢えて観光せずに読書するというのもお洒落なんじゃないでしょうか(^ ^)
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