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【感想文】皆川博子『鳥少年』

✒️あらすじ

精神病院で受けた絵画療法によって絵の才能が開花した青年を巡る、病院関係者たちの心の闇を書簡形式で綴るミステリ「火?樹の下で」、隣室をのぞき見た孤独な娘を誘う異様な遊戯とその結末を語る「密室遊戯」のほか、初文庫化に際し、閉鎖的な地方に生きる少年少女の倦怠と残酷を幻視的な筆致で描き出した「バック・ミラー」など3篇の単行本未収録作を附した16篇を収める。

東京創元社HPより

✒️感想

2022年2月5日 読了
お気に入り度 ★☆☆☆☆

 皆川さんのショートショート集。10ページ前後で終わる作品が豪華16篇も入っています。しかし、ショートショートといえど侮ることなかれ。1つ1つが恐ろしいほどの毒気を持っていて、読んだ後の感覚としては単行本1冊と変わらないくらい重いです。私はそのあまりにも強い毒気にあてられて、正直あまり楽しむことは出来ませんでした……(皆川さんの文体は好きなんですが……)。
 逆に言えば、拒絶したくなるほどの強いインパクトがある作品ばかりです。明記されてはいないと思いますが、作品全体を通して、《肉々しいまでの人間の愛》をテーマにしているような気がします。愛も憎も、裏表です。

✒️こんな人におすすめ

 とにかく人間の醜いところを見たい気分の時にはおすすめです。怖いもの見たさというやつでしょうか……。知らない方がいいのに、知りたい、ちょっと感傷的な、それでいてどこか快感のようなものを感じたい、といった特殊な気持ちのときには、ピッタリだと思います。言葉遣いは良くないかもしれませんが、胸糞悪い終わり方が多いですので、読む時にはご覚悟を。

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