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雑感log

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交信を纏める用 ゲーム研究やメディア論、サブカルチャー論分野からの概念参照は多めなのでわけがわからなかったら申し訳ない
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2022年1月の記事一覧

「主人公を格好悪く描く」のはかなり難しいのではないかという話

「主人公を格好悪く描く」のはかなり難しいのではないかという話

自身のことをオタクと表現してよいのかには迷うものの、サブカルチャー系の小説やアニメもそれなりに嗜む身であり、人生でもそれなりに少なくない時間をそれらのコンテンツと共有してきた自覚がある。そんな私が最近悩んでいるのが、「主人公補正」に段々と耐えられなくなってきているということだ。はじめは「最近のコンテンツはなってねぇな」と思っていたのだが、自分で閾値などの話をするうちに「本当にコンテンツ側の、或いは

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オタクが「文化価値的接続」を語るということ

オタクが「文化価値的接続」を語るということ

昨年実家で柳宗悦の番組を見て思索にふけっていたら、(別に同じ番組を見ていたとは限らないが)割と似たことを考えている方がいらした。

なら敢えて書く必要もないかと思ったのだが、末尾を含めると若干違う話のような気もするので、備忘を兼ねて提起。先にイガなおさんのを読んでいる前提で話を進める。なお、おそらくイガなおさんの言いたい主題とは異なる文脈で引っ張ってきていることを先に謝らせていただこうと思う。

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ポリコレとかとは全く関係ない概念として、「じゃない」表現は力を持つという話

我々が「表現だ」と認識できるものの殆どは「違和感」から始まっている。今まで通りのものは省エネに理解して、「いつもより綺麗な描写」「いつもと違う描き方」「いつもと違う間のとり方」などというものに思いを馳せる。
これはなにも特別なことではなくて、『今まで男所帯な表現だった戦争映画に男「じゃない」女を入れる』とか、『二次元性が強い初音ミクライブで二次元的「じゃない」一点透視図法的な光線を使う』といった表

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コンテンツとしてのVTuberと「初音ミク」

コンテンツとしてのVTuberと「初音ミク」

コンテンツとしてのVTuberは、YouTuberの中でもかなり異色である。簡単に同人誌は作られ、動きは歪だ。これは一体どこから発生しているのか。そう聞くと、所謂「中の人」の話に聞こえるかもしれないが、今回は少し違う議論をしたいと思う。

今回のテーマを先に上げれば、「消費」「技術」「認知」そして「体感的人権」である。基本的にはなぜVがYouTuberから遠くて、であればそれをなんと呼ぶのか、とい

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VTuberの引退と「箱」の話

VTuberの引退と「箱」の話

VTuberには「箱」という概念がある。いや、おそらくは「にも」というほうが適切で、出処には明るくないが、アイドルやその手の文化から来たのだと思う。「箱」とはVTuberの所属するグループを指し、特定のVを推すのではなく、或いはだけではなくそのグループ全体をひっくるめて応援することを「箱推し」と言ったりする。これには個人運営しているVがグループを組んだり企業の支援サービスに参加している場合も含まれ

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百貨店の売り物の話

百貨店の売り物の話

日本に百貨店が生まれて凡そ120年が経った。明治期、老舗呉服屋が次々と百貨店を開店し、当時珍しかった舶来品を国民に供給する役割を担っていた。以降、徐々にに大衆化は進んだものの、より安価に商品を提供するスーパーマーケットや大型商業施設との差別化から高付加価値の品揃え・サービスをおこなってきた。特に販売員のサービスは小売業の中でも群を抜いており、私自身も「雨なのに傘を持っていない」ということに気づいた

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神の自由と科学的論理とインターネットアカウントの話

神の自由と科学的論理とインターネットアカウントの話

一部の神は自由を持たない「現象」であって、ある種妖怪のような存在とすら言える。大きな力を持ち、人間に(その気はなくとも)干渉してくるが、ここに気まぐれが発生することは認知されない。こういった神の社会構造中の特徴として、理解の及ばない、大きな力(例えば天気、或いは災害や病気)をコミュニティ内の汎ゆる人間の「責任」に転嫁する効果を持つ。彼らには「気まぐれ」のようなことが起きればその理由が考え出され、至

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「差別的」が差別的なら、どういう表現に置換すれば良いのかという話

インターネットだと割とある話だが、「そういうとり方もできる」という表現に対して「差別的」だというレッテルを貼ることはあまり適切ではない。極端な話、「指がちゃんと5本ある」が指が5本ない人を無視していて差別的だ、という意見があったとして、「指が5本ある」はマジョリティによる一般化なのに、「〇〇的」で括るのも一般化ということになる。
発話者に差別な意識がない中で「差別的」だとすることは「差別的」という

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「学士」とはあまり普遍的な資格ではないのではないかという話

「学士」とはあまり普遍的な資格ではないのではないかという話

「学士」というものが今までどのように受け止められ、利用されて来たのかに興味が湧いた。

例えば、大学進学者が増加して今に至ることを考えると「学士」資格は今ほど普通ではなかったはずで、特殊技能とまでは言わずとも専門性の高い資格だったのではないかと思っていた。しかし、現在就職等含めて社会的に「学士」保有者に求められているように見える(就活未経験なので)能力を鑑みると、当初社会的に要求されていたものとは

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AirPodsの普及によって「AirPodsでも聴ける曲」の人気が上がる話

AirPodsの普及によって「AirPodsでも聴ける曲」の人気が上がる話

私はAirPodsのインターフェイス性能を評価している。AppleW1チップも賢いしTWSであることも良く、マイク性能も低くないし、音を流さなければ(ヒアスルーとかではなく)直接環境音や相手の声を聞き取ることがTWSはマスクの着用と共により重要になった。あとは話し相手に圧迫感を与えない形状ならなぁと思っていたら、ambieからAM-TW01が出てまあびっくりしたりしている。

ポタオデをやる人には

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n番煎じの「ラノベ」の話

n番煎じの「ラノベ」の話

イメージの純文とラノベの差異を言語化しようと思って感応に有りがちと思ってるパターンから「共感」と「憧憬」を拾って『短絡的(マイナスな意味はない。タスクレスな、の意)な快楽を得られるか』で分類しようとしたものの、論理性があるのか考えているうちに「エモ」の謎に行き着く。

前提となる持論として実体験とどうしても差ができる他の事例に「共感」するには自身の感情を抽象化/類型化して同一項で括らなければならな

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「キャンセルカルチャー」の一意性の低さについて

「キャンセルカルチャー」の一意性の低さについて

記事では、キャンセルカルチャーについて『被害者と向き合う姿勢』と関連付け、法整備の必要性についても言及されている。他方、世間的な理解という側面でみると、いくつか懸念も考え得る。

そもそもマイノリティであった人々の発言に耳が傾けられ始めたきっかけ自体は記事でも述べられているように『我慢を強いられてきた人々がネットなどで結びつ』いたことかもしれないが、力を持つようになったのは同調する第三者の影響が大

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「水道の出しっぱなし」と「水資源の不足の解消」を繋げるのは悪手なんじゃないのかという話

「水道の出しっぱなし」と「水資源の不足の解消」を繋げるのは悪手なんじゃないのかという話

唐突に小学校で「水資源を大事に」みたいな話をやったことを思い出した。あまり覚えがないが、世界の国々の水不足の資料を見ながら「水道の出しっぱなし」などについて考えたような記憶がある。

原油は長期的にはサイクルが成立するが、現在利用されている量を考えるとほぼ限界量が決まっていると言って差し支えない。(更に言えば、精製過程でのあらゆる物質を下手に無駄なく使っているせいで、石油などの単体消費の置換だけで

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「Panasonic人権CM」からはじまる話

「Panasonic人権CM」からはじまる話

ここでするのは別に大坂なおみ選手がCMで思ってもいないことを言わされているとかそういう話ではなくて、このCMから妄想の膨らんだというだけの話だ。

職業を「金を稼ぐ要素」としてみると話は別だが、需要と供給で成り立ってる以上「社会の要請」であって「社会への奉仕」であると考えると、「その職業の存在する根幹に関する権利は優先され得ない」という少々過激にも取れる考えが浮かぶ。それが正しいかはおいておいて、

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