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#映画レビュー

Movie:トゥルーノース(2020,🇯🇵🇮🇩)(#65)

Movie:トゥルーノース(2020,🇯🇵🇮🇩)(#65)

本作は朝鮮民主主義人民共和国、通称北朝鮮を舞台にし、アルス・エレクトロニカ2021のアニメーション部門で栄誉賞を受賞した作品である。

北朝鮮が公式では存在を認めていない「政治犯強制収容所」での生活を描く物語で、現在ではアマゾンプライムビデオで無料で視聴可能だ。

ナチスのアウシュビッツ強制収容所とソ連のラーゲリを参考に作られたといわれるこの場所は“人類史上最も残酷”とも評されたりもする。

それ

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Movie:『ナチスの愛したフェルメール』(2016年, 🇳🇱)(#35)

Movie:『ナチスの愛したフェルメール』(2016年, 🇳🇱)(#35)

「よくみろ、あの目は君のものだ」

後に彼の妻となるヨ―ランカと彼女に向ってそういう彼の視線の先にいたのはキリストだった。

『エマオの食事』

フェルメールがこれまで描いていないとされた宗教画である。

しかしそれは贋作である。

彼とはメーヘレンである。

彼の描いたオリジナルの贋作『エマオの食事』、それを自ら割き、復讐は終わるはずだった――。

すべては"復讐"のため、彼を認めなかった美術業

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Movie:『FAKE』(2016,🇯🇵)(#33)

Movie:『FAKE』(2016,🇯🇵)(#33)

フランスの哲学者ルネ・デカルトは自身の著書『方法序説』の中で「コギト・エルゴ・スム(我思う、故に我あり)」という有名な言葉を残しました。
私は優秀な経営者であり、良き亭主であり、息子であり、父である云々...本当か?、そう自分自身に問い続けたとき、疑わずに残ったのは「疑っている自分の存在」だった、というものです。
同じように他人に対して疑念が挟まれたとき、ヒトは常にどこまでも疑い続けることが出来る

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Movie:『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019,🇫🇷🇩🇿🇧🇪🇶🇦)(#22)

Movie:『パピチャ 未来へのランウェイ』(2019,🇫🇷🇩🇿🇧🇪🇶🇦)(#22)

カンヌ国際映画祭にもノミネートされた本作が日本で10月30日に上映開始されました。
タイトルにある“パピチャ”とはアルジェリアのスラングで、“愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性”という意味だそうです。
もしそうした女性が一般的であれば、こうしたスラングもなかったのかもしれません。
つまり“マイノリティ”であることを示唆します。

主人公たちは大切にしていたものがありました。
それは“誇り”

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Movie:『PAD MAN 〜5億人の女性を救った男』(2018, 🇮🇳)(#4)

Movie:『PAD MAN 〜5億人の女性を救った男』(2018, 🇮🇳)(#4)

“ナプキンなどの生理用品を隠して使う”、そんな文化は日本にもあるようだ。確かに生理用品の話を真剣にしたことはない気がする。
それも良いはいえないが、たとえ”こっそり”であっても女性自身が生理用品を使うことに積極的であれば、まだ良い。そこから議論に至る余地があるからだ。しかし、そもそも使用すら拒むような状況であれば、最悪死と結び付いてしまう可能性すらある。そう、この映画の始まりはまさにその使用を拒む

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