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ヲタクの戯言

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本、ラジオ、アニメ、フィギュアスケート、いろいろ詰め合わせ。
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#読書の秋2020

【おすすめマンガ】「変わり者」の人間讃歌

【おすすめマンガ】「変わり者」の人間讃歌

『天才柳沢教授の生活』のすゝめ

(長期連載なのでベスト盤からおすすめ、と思ったら絶版という悲劇。)

主人公・柳沢良則氏はY大経済学部教授。
朝6時に起床、夜9時に就寝と規則正しい生活を送る几帳面な人物であり、法と理屈と秋刀魚をこよなく愛する人物だ。
しかし決して四角四面のツマラナイ人物ではない。
一見頑固に見えるかもしれないが、ただ理を重んじるだけなのだ。
そして理を重んじるからこそ、誰が相手

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元・阿呆学生の戯言と自己受容

元・阿呆学生の戯言と自己受容

我ら元・阿呆学生のバイブルが課題図書とあらば、もう万難を排して記事を書かねばならぬ。恋人が泣き縋ろうが、上司が怒鳴り込もうが、この任務の前には些末なことだ。だが、いささか見るに堪えない。
責任者はどこか。ここだ。

森見登美彦『四畳半神話大系』(KADOKAWA)

我こそは吉田神社の麓で無為な時を過ごし、鴨川デルタで友と日本酒の一升瓶をあけ、下鴨神社の古本市を闊歩し日々を過ごした阿呆である。

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すべての物書きは翻訳家に学べ

すべての物書きは翻訳家に学べ

この本を多くの人に読んでもらうためなら、タイトル詐欺との批判も罵倒もすべて甘んじて受け入れよう。

岸本佐知子『ねにもつタイプ』。

何度も読み返してしまう、座右の一冊。
なんてことはない随筆に見えるかもしれない。
なにげない日常の切り取り方。
それを綴る軽妙洒脱な筆致。
その圧倒的センスに平伏するほかない。

今回は、その中でも特におすすめしたい話を2つばかり、さらりとご紹介。
1本の話で、たっ

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「決してマネしないでください。」のススメ

「決してマネしないでください。」のススメ

自分自身の学生生活を振り返ると、周囲には奇人・変人・赤チェッカーしかいなかった。なお「赤チェッカー」とは、「赤チェックのシャツを着ている人」のことである。
そういうわけで、本日ご紹介するマンガは『決してマネしないでください。』。残念ながら3巻で完結済み、でもだからこそすぐに読めてしまう。「なんかお手軽に、教養を身につけるマンガとかないかなー」なんて方にはうってつけのマンガだ。

物語の冒頭で、主人

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「『罪と罰』を読まない」神々の遊び

「『罪と罰』を読まない」神々の遊び

さぁて、お立ち会い。手前、ここに取り出したるは、
「『罪と罰』を読まない」。

誰もが知っているといっても過言ではないドストエフスキー『罪と罰』を読んだことのない4人が集まり、自由奔放に語る試みがなんと書籍になってしまった。文藝春秋さん、腹が据わっていて敬服の至りである。
本書の魅力を、もう読んでしまった凡人たる私めがつらつらと綴ろう。

読んでないのに主人公Disさて通称「未読座談会」開始早々、

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