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海外生活振り返り日記-ニュージーランド前編-#23

ジェーンの友達

 ある日学校から帰ると小柄で日焼けした日本人女性がソファーに座りジェーンと話してた。ジェーンからこの人は昔ここにホームステイしていて今はマオリの旦那さんと近くに住んでいるのだと紹介された。当時、私と同じ語学学校に通っていたらしく、その時既にアドバンスレベルだと言っていた。アドバイスレベルとは学校で一番上の上級コースだ。ジェーンと何の不自由もなく日常会話ができているのを見れば大抵アドバイスレベルだろうと察しがつく。
 何の話をしているのかもよく分からないでいると時々その日本人女性が訳してくれる。昔話や近況報告をしているようだ。それから最近聞いた話で、近々ジェーンの息子が結婚するというのを聞いていたので今思い出すと多分その話がメインだったのだろう。
 私は結婚式の頃にはもう学校生活も終わり、この家ともお別れなので参加できないと思っていたのだが、ご好意で、良かったら結婚式に参加してねと言ってくれた。外国のイベント事には興味がある。ましてやローカルの結婚式なんて滅多に見られない。お祝いの気持ちはもちろんあるが好奇心剥き出しで参加を承諾した。どうやら以前ホームステイそていた韓国人の留学生とブラジル人の留学生も参加するらしい。私一人だと話し相手もいないし、二人が来るのなら心強い。
 ジェーンは、久しぶりの日本人との会話だろうから、どうぞ二人で日本語で話して。と言っていたが、初対面の私が突然、どうやってマオリと結婚したかとかプライベートな事を聞けるはずがない。かといって特別質問も無ければ何の共通点もないので特に会話は盛り上がることなく、連絡先すら交換しなかった。
 こういう時に思う。海外で日本人に会ったり、周りの人が"日本人だから"という理由だけで誰彼構わず紹介してくれることがある。しかし、ただ国籍が同じだからと言って気が合うとは限らない。唯一の共通点と言ったら日本を離れその国に住んでいるという事だけで、日本に住んでたら紹介される事もないし関わることもなさそうだ。国籍が違くても趣味が似ていたり共通の話題がある人を紹介してもらいたいものだが、きっと海外で心細いだろうとか、同じ国同士ホッとするだろうとか、たまには日本語で話したいだろうとか思って紹介してくれているのだろう。
 ありがたいし気持ちは嬉しい。だが英語を勉強しに来た私の心は狭かった。当時は全然日本が恋しくなかったのだ。
 しかし今振り返っみると、たまたま出会った人や周りの人たちがいい人で、これまで騙されたり嫌な思いをしていなかったから、"同じ国籍の日本人なら安心"という概念が生まれていなかったのだろう。今頃になっていろいろと感謝した。


結婚式準備(丸太を切りに行く)

 ジェーンの息子の結婚式の準備で何やら忙しそうだ。結婚式のパーティーは自分たちで準備するらしい。何を準備しているかというと、式場のデコレーションや来てくれた人たちに渡すチョコなど。ほぼ自分たちで準備するようだ。
 この日は知り合いの森へ木をもらいに行くと言っていた。木を何に使うんだろうと思ったが聞いてもよく分からないので聞かずにいが、これから皆で行くけど一緒に来るか聞かれたのでついていった。
 都会から離れ、そこはオークランドなのかよくわからないが、いつの間にか森に着いた。入り口の大きなゲートを開けたり閉めたりしながら奥へと進んでいくとジェーンとグレンの友達とその犬が待っていた。
 そこらじゅうに丸太があり、好きなのを持っていってと言っているようで車から降りて皆んなで選んでいる。10分もしないうちに選び終わると重そうな丸太を何本か車に積んで森を後にした。

丸太切り
結婚式の準備

 家に帰って一息ついているとガレージで木を切る音が聞こえてくる。薄く切ってテーブルに並べてその上に花瓶やキャンドルを置いたり、コースターにするらしい。なんておしゃれなんだ。日本でもこういった木のコースターが売られているのを見たことあるが森で切ってくるとはさすがだ。これが本当のナチュラリストか。
 リビングでは皆でチロルチョコを薄くした様な小さなチョコに、花嫁と花婿の愉快な写真をプリントした紙を巻いている。当日食事するテーブルに並べるそうだ。私も手伝い、紅茶を飲みながら作業をしていると、婚約者のアンがどこかで買ったガラスのビンにキャンドルを入れて、ああだこうだと試行錯誤している。家族みんなでワイワイと準備して、なんだか文化祭の準備のようだ。
 この日の準備はこれで終わり。その後どんな準備をしていたか分からないが、数ヶ月後に迫る結婚式が楽しみである。

つづく

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