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「子どもにスポーツ教育を届けたい!」前進のために選んだ転職の道ーー中島典子さん

子どもたちにスポーツを通して教育を届けようとアクションを起こし始めた人がいます。

今回お話をうかがったのは、NPO法人カタリバの中島典子(なかしまのりこ)さん。

中島さんはNPO法人カタリバへの転職を決め、現在もスポーツ教育というテーマでアクションを起こし続けています。やりたいことの発見や転職の決断がどのようにされたのか、そのきっかけ・現在、みつめている未来についてうかがいました。

※この記事は、NPO法人ETIC.(エティック)のアントレプレナーシップ・トレーニングプログラム「PLAY!」の修了メンバーの皆さんのインタビューシリーズ、第4回目となります。
今回は、PLAY!事務局で情報発信やメンバーコミュニティづくりを担当しているシェリー(遠藤さくら)がお届けします。

1.大好きだったバレーボールと挫折

シェリー:自己紹介をお願いします!

中島:中島典子です。3歳の男の子の母をしています。普段はNPO法人カタリバで「キッカケプログラム」という事業に関わっています。

具体的には、経済的に困難を抱えた子どもと保護者に対してパソコンとWi-Fiを配り、オンライン上でMTGなどを行いながら子どもと保護者の生活や学びに伴走する活動です。週一回ボランティアスタッフが子ども1人ひとりの状況に合わせた学習や生活全般の目標設定、振り返りなどを行っています。保護者にも月に一回、子育て経験のあるボランティアのスタッフと話ができる機会を提供しています。子どもと保護者それぞれにカタリバが大事にしている”ナナメの関係”(「タテの関係(親や先生など)」と「ヨコの関係(同世代の友人)」とは違う、利害関係のない“一歩先をゆく先輩” のこと)を届けていくことで、経済的に困難をかかえ機会を剥奪された経験の多い子どもたちの自己肯定感や学びへの意欲を向上させ、その後の人生における自立をうながし、貧困の連鎖を繰り返さない社会を目指しています。

私個人としては、PLAY!に参加して転職を決め、実際にジョインしてからちょうど一年ほどが経ちます。事業自体も立ち上げから一年半くらいなので、一つの役割を担うよりも事業全体をメンバーと一緒につくるところに日々携わっています。

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シェリー:もともとはどんなことをやりたいと思っていたのですか?

中島:全ての子どもにより良いスポーツ教育を届けたいと考えていました。
新卒でメガバンクに6年ほど勤めていたのですが、いつかは自分のやりたいことをやるために、メガバンクよりも事業全体が見られる場所で働きたいという思いで、IT系のベンチャー企業に転職しました。その環境にいながらも、やはりスポーツ教育というテーマで何かに関わりたいと思っていました。しかし仕事で関わっている領域が全く違うため、自分のやりたいことをどのように進めていけばよいのかわからず、PLAY!に参加しました。

シェリー:スポーツ教育というテーマはどのように見つけられたのですか?

中島:私自身、小学3年生から大学を卒業するまでバレーボールをやっていました。中学生のころはバレーボールが大好きだったので、スポーツに力を入れている高校に進学をして、いずれはバレーボール選手などスポーツに関わる仕事に就きたいという夢を持っていました。しかし、高校に上がるタイミングで私の家庭が経済的に裕福ではなかったことや、そのほかにも色々なことが重なったことで、志望校に行くことができませんでした。これが自分の夢が破れた大きな挫折経験でした。

この経験からお金がないと夢は描けないと感じていたので、新卒では銀行に入りました。世の中の経済をつくっていく部分に関わることで、全ての人がお金を理由に夢を諦めない社会をつくりたいと思っていました。しかし経験を積み重ねていくなかで考え方も変わり、大事なのはお金だけではなく、「人との出会い」だと考えるようになりました。特に、子ども時代に夢中になりやすいスポーツという手段から学べることは非常に多いということや、その現場で出会える人によって子どもの人生や可能性が変わるということは実際に感じていました。そのため、スポーツの現場でのより良い大人との出会いをつくっていけるようになれば、その後の人生をより豊かにできる子どもたちがもっと増えていくのではないかと思うようになりました。このような私の原体験から、スポーツ教育というテーマに取り組みたいと考えるようになりました。

シェリー:PLAY!に参加した経緯を教えてください!

中島:銀行時代に一度息子を出産して育休に入り、『ママボラン』というキャリアデザインプログラムに参加しました。そこでPLAY!でコーチをされている杉浦さんの会社でボランティアをさせていただくことになりました。そのご縁でETIC.でもボランティア活動をさせていただく機会があり、存在はずっと知っていました。その後、偶然PLAY!の情報をフェイスブックで見かけることがあり、ETIC.に「こんなのあるんだ」とプログラムを知りました。

育休中のボランティアの経験は、私自身にすごく大きな影響を与えてくれました。私は27歳で子どもを産んだので、周りの人がバリバリにキャリアを築いているなかで休むことに焦りがありました。それで『ママボラン』に参加したり、もう一つほかの団体で育休中のママ向け勉強会のボランティア運営をしたりしていました。今までの忙しい部署ではその仕事しか見えない環境だったのが、いろんなことにチャレンジするなかで視野が広がり、今までの仕事では出会ったことのない人たちにたくさんの刺激をもらいました。また私は大企業にいたので、NPO法人やベンチャー企業といった全然違う組織に入ったことで、自分ができることを小さくやっていきたいと思うようになりました。一方で自分に何ができるかわからないと思っていたタイミングでPLAY!を見つけ、前に進みたいと思い応募しました。

2.現場を感じるために決意した転職

シェリー:PLAY!を通して印象に残っていることはありますか?

中島:2つ記憶に残っていることがあります。一つ目は小泉愛子さんのコーチング、二つ目が転機になったPLAY!クエスト(PLAY!で行なっているオンラインイベント)に参加したときです。

コーチングを受ける前から、自分には机上の空論のような「こうしてみたい」「ああしてみたい」という思いはあるけれど、実際にスポーツ教育の現場で見たことや経験したことがないという現状はわかっていました。自分の考えや思いをまず一旦受け止めてくれる愛子さんのコーチングで頭を整理し、1ヶ月後までのアクションを必ず設定したことで、今私ができる範囲で小さな行動を積み重なることができました。しかしスポーツや教育という分野で経験不足なのは改めて実感し、「このままではダメだな」という思いが日々募っていきました。コーチングのなかで次に何をするかをしっかりと考えながら、一方で自分に足りないものが見えてきたのは大きかったです。

その状況でPLAY!クエストに参加させていただいて、NPO法人となりのかいごの川内さんの話をお伺いしたときに、やっぱり現場にでる必要があると思わせられました。それまでのコーチングで感じていたものが、すでに”やりたいを今やっている”に変えた経験者の話を聞いたことで、自分が次にするアクションが明確になりました。今までは何か自分で小さくプロジェクトをやろうと考えていたのですが、まずは仕事の場所を変えて現場を感じることが先だという決断に至り、本格的に転職活動をスタートしました。

コーチングを通して現場を経験することへの納得感が増し、最後にPLAY!クエストで「やっぱり」と思わされたことで一歩を踏み出した感覚です。

▶︎「PLAY!クエスト」のアーカイブ動画

シェリー:コーチの印象やコーチングでほかに記憶に残っていることはありますか?

中島:愛子さんは私のまとまらない話を全部聞いて受け止めてくれた上で、毎回しっかり整理してくれました。そのため明確なアドバイスをいただきながら、次のアクションを一緒に決めていくことができました。特別愛子さんのワードが印象に残っているわけではなく、それは私の言葉を全部うまく繋いで道筋をたててくれたからだと思います。愛子さんから何かをどんどん言ってもらったというよりは、見守ってもらっていました。

また転職を本格的に始めたときに、「今言ってる感じだとこういうところもいいんじゃない?」とNPO法人カタリバを教えてくれたのは愛子さんでした。今までのコーチングを通して、私のなんとなくやりたいことやイメージ像を理解した上での助言が今の仕事になっているので、本当によかったなと思っています。

コーチングのメモを見返したら、「完璧を求めすぎている。もっと小さくても失敗してもいいからやったほうがいい」という結論に至っていたときがありました。そこに導いてくれたのは愛子さんなのだろうと思います。私のなかで言語化できていないことを実は愛子さんはすでにわかっていて、そこにたどり着かせてくれたことは何回もありました。あのころは必死で、前進していないのではと日々悩みながらやっていたのですが、振り返ると1ヶ月間のアクションのスピードや量はコーチングを受けてないときよりも格段にあったし、しっかり動けていたと思いました。

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シェリー:PLAY!はどんな人に合っているサービスだと思いますか?

中島:私みたいな人だと思います。PLAY!の参加者のなかには私とは違い、すでに事業やプロジェクトをやっている方もいて、そういう人にも本当に合っていると思います。しかし少し違う目線でお話させていただくと、モヤっと自分のやりたいことが本業と別にあったりとか、頭の中では考えていてもそれをうまくアクションに落とし込めていないという方にもすごく合っていると思います。

私自身、考えているだけでアクションの仕方がわかりませんでした。今も迷うことはありますが、PLAY!を通して小さくアクションをする踏み出し方は身についたと思うし、コーチングを通して1ヶ月の行動量も確実に増えました。そのため、モヤモヤ考えてアクションを起こせていない人にはオススメです。「こんな一歩でいいんだ」と気づいて、踏み出せるようになると思います。

3.子どもたちにスポーツで体を動かす機会を

シェリー:転職後はどのような活動をしていますか?

中島:実は転職活動をしているなかで最後決め手となったのが、15歳離れた弟との出来事でした。私自身、中学のときに経済的な理由で夢を諦めたので同じ思いをしてほしくないと弟が好きな野球を続けるために金銭的な援助はしていたのですが、コロナ禍をきっかけに休校になって弟が家にこもりがちになりました。そのときにずっと好きでやっていた野球もズル休みをしたことがありました。その話を弟とすると、泣きながら「今、本当に自分が頑張りたいことがわからなくなっている」と教えてくれました。休校で学校に行けずに人との関わりを失った子どもと話したことで、経済的な援助だけでなく、子どもの可能性を広げるためには人との関わりや頑張りたいことへの伴走者の存在が必要だと感じました。

NPO法人カタリバでは、全ての10代の意欲と創造性を育むために、ナナメの関係の大人との関わりを届けています。単に教育のコンテンツを子どもに届けるのではなく、子どもたち一人ひとりが意欲を持って前に進んでいけるように、ナナメの関係の大人が伴走することを大事にしています。私のこれまでの原体験からもこのビジョンにはとても共感しており、今後もビジョン実現に向けて一緒に頑張っていきたいと思っています。

そのなかでも今携わっているオンライン事業は、誰一人取り残さず、全国の経済的に困難を抱える子どもに学びを届けようとチャレンジしており、立ち上がり一年半くらいの事業で何から何まで足りない部分があります。そのため自分自身もやりたいと思ったことにどんどん手を出しながら、いろんな部分に関われているのはすごくよい環境です。現場で子どもと接点を持つこともできれば、もっと事業全体をつくるところにも携わったり、川上から川下までいろんなことに関わりながら事業を形にしていくのは本当にいい経験になっています。

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シェリー:将来的にやりたいことやこれからの展望を教えてください!

中島:転職してみて、これまで漠然としていた考えがより整理され、自分自身が大切にしたいことや将来的に実現していきたいことが少しずつ具体的に見えてきた部分もあります。今の事業はこれからもより一層大きく広げていくためにチャレンジし続けたいと思っていますが、同時に自分だけで小さく始めていきたいことも少しずつ見えてきました。

まだ模索中ではありますが、子どもたちにスポーツで体を動かす機会を届けていきたいです。カタリバでは、子どもたちの学びの意欲を育むための伴走という考えを大切に、日々子ども一人ひとりに寄り添い、さらに前に進めるような言葉かけや関わり方を学んでいます。そういった今やっていることと掛け合わせながら、スポーツという手段を通しても様々な学びを届けられるようになりたいです。一つ考えているのは、バルシューレと言われる幼児期から小学生くらいまでのボール遊びの資格を取得しているのですが、休日を使って子どもたちにイベントのような場を提供することです。ほかにも子どもの遊びのなかで運動感覚を身につけられるような資格があるので、少しずつ自分のテーマへのアクションも続けていきたいと思っています。

コロナ禍もあり子どもの遊びやスポーツの機会がどんどん少なくなっています。運動することは子どもたちの脳や体の発達にも直結しています。今私が向き合っている子どもの貧困においても運動の機会がない子たちが多いので、スポーツを楽しみながら学べる機会を届けていけたらと思っています。
私の息子はボール遊びや運動が大好きなので、自分の思いも実現しながら息子とも一緒に成長していきたいですし、息子を含めたすべての子どもたちにとってよい機会をつくっていけるように進んでいきたいです。

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インタビューまとめ

PLAY!でスポーツ教育というテーマに向き合い、最終的には転職という決断をされた中島さんのお話はいかがでしたか?

コーチングを通して感じるようになった「現場を経験しなければ」という思いが、イベントでの出会いによって「やっぱり」と確信にかわり、最終的に転職の決断をされたという経緯がとても印象的でした。必ずしも事業の立ち上げを目指すわけではなく、人それぞれ納得感のあるアクションを応援するPLAY!らしい出来事だと思います。また転職後も現場を見ながら、ご自身のやりたいことに向かって小さなアクションを始められている中島さんの思いの強さやタフさを感じられるインタビューでした!

中島さんのスポーツ教育イベントが楽しみですね!(PLAY!事務局のママパパがこぞって遊びにいくと思います!(笑))

認定NPO法人カタリバ
未来は、つくれる。たくさんのものを失った被災地の子も、貧しい家庭環境の中で夢を諦めた子も、日々ただボンヤリと過ごす子も。どんな環境に生まれ育ってもすべての10代が、未来をつくりだす意欲と創造性を育める。NPOカタリバは、そんな未来の当たり前を目指して2001年から活動しています。
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