「誰ひとり孤独にしない」南魚沼のおせっかい女将、地域の心をつなぐーー奥野真理香さん
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「誰ひとり孤独にしない」南魚沼のおせっかい女将、地域の心をつなぐーー奥野真理香さん

高齢化が進む人口減少社会、日本。
やがて地域に暮らす人のつながりや支え合いも薄れていくなかで、わたしたちには何が出来るのでしょうか?

今回お話をうかがったのは、「よりそうSmile」代表の奥野真理香(おくのまりか)さん。

奥野さんは新潟・南魚沼の料理屋「なにわ茶屋」の「おせっかい女将」として、地域の心をつなぐ挑戦をはじめています。ハード面だけでなく、心のバリアフリーを実現するための取り組みがどのように動き出していったのか、そのきっかけ・現在、みつめている未来についてうかがいました。

※この記事は、NPO法人ETIC.(エティック)のアントレプレナーシップ・トレーニングプログラム「PLAY!」の修了メンバーの皆さんのインタビューシリーズ、第1回目となります。
今回は、PLAY!事務局で情報発信やメンバーコミュニティづくりを担当しているシェリー(遠藤さくら)がお届けします。

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おせっかい女将/よりそうSmile代表の奥野さん(写真左)

1.きっかけは「この人は孤独になってしまうのではないか」という危惧

シェリー:奥野さんの自己紹介をお願いします!

奥野:私は新潟県南魚沼市で生まれ育ちました。もともとは社会福祉士として対人援助職、医療ソーシャルワーカーを10年間していました。そこから結婚を機に、料理屋「なにわ茶屋」で女将をはじめて丸4年になります。この春に福祉ボランティアチーム「よりそうSmile」を立ち上げ、障害のある方とそうでない方が一緒に車椅子での街歩きを体験するワークショップを開催し、バリアフリー化を促進するための活動をしています。

シェリー:PLAY!に参加する前はどんなことをやりたいと思っていましたか?

奥野:人口減少で人間関係が希薄化する中、どこの地域も抱える課題である「人々が孤独にならない地域・社会づくり」に取り組むために、「なにわ茶屋」をベースにおせっかい女将として活動していこうと決めていました。声をあげられない人たちに対して一歩寄りそう”おせっかい”で、困っている人を発見し、支え合いの流れを生みだしていきたいと思っていました。

シェリー:奥野さんはどういうきっかけでご自身のテーマを見つけられたのですか?

奥野:実はいち料理屋の女将になったことで、ソーシャルワーカー時代に感じていた課題をもう解決する必要はないと、一旦の区切りをつけていました。今の私に必要なことは、女将として接客のプロフェッショナルになることだと考えて様々な資格の取得にも励んでいました。

でも接客をするなかで、「この人は将来的に孤独になってしまうのではないか」と気がかりな方々と出会いました。例えば、ご高齢のご家族と一緒に住んでいらっしゃる独身の中高年の方だったりすると、今はお元気でいらっしゃるから大丈夫だとは思うのですが、ご近所付き合いが希薄になる中、今後苦しくなった時に助けてくれる人はいるのかな、なんてお節介にも心配になったりします。そういうことに気づいてしまった以上、見て見ぬことができない性格なので、今から新しいコミュニティ、地域の人のつながりをつくる必要性を感じました。店とお客様の立場であっても私にとってはそれ以上に大切な人たちなので、何かできることはないかという気づきが今の取り組みのテーマにつながりました。

シェリー:奥野さんは日々の実体験から今の挑戦につながる気づきを得られているなと感じたのですが、普段から意識していることはありますか?

奥野:私の勘でしかないので理論化は難しいですけど、もしかしたらソーシャルワーカー時代に築かれた“ボーダーライン”の感覚があるかもしれません。お客様自身が自覚しているかに関係なく、危機の程度をご本人のお話や表情や声色などの様々な情報から総合的に判断しているのだと思います。ソーシャルワーカーの世界でいえば、面談などを通して本人が解決してほしいことやその優先順位、解決法をともに見出すことが重要なのですが、それを接客のなかでも無意識にやってるのだと思いますね。

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2.「現実世界に変化を起こす」コーチング

シェリー:あらためて、PLAY!に参加した経緯を教えてください。

奥野:自分のテーマにそって活動をはじめる段階で、それが具体的な事業として成り立つのか、そもそも事業化がベストなのか判断がつかない状態でした。

課題はたくさん見つけていたけれど、「あれもこれもやりたい!」となって結局手がつかなくなってしまったり、どう解決すればいいかわからなくなってしまったりして、このままでは全然前に進まないと思っていました。また、私の思いに共感してくれる人も数人いたのですが、具体的に一緒に活動するところまではいかず、一人きりの机上の空論に近いところがありました。

私はもともとエティック主催のローカルベンチャーラボという地域の起業を支援するプログラムに参加していて、その関連でPLAY!のことを知りました。自分のプロジェクトに特化したコーチングを受けるのははじめてだったのですが、たくさんの人とディスカッションするのではなく一対一でじっくり自分のプランを前に進めるプログラムの方針に魅力を感じ、PLAY!への参加を決めました。

シェリー:PLAY!に参加してもっとも変わったタイミング、具体的な時期と変化はありますか?

奥野:私なりの伝え方で恐縮ですが、コーチに山崎さんをマッチングしていただき感謝しています。私に非常に合うコーチを選んでいただいたなと。

コーチングは毎回、私の現状のアウトプットからはじまりました。それに対して山崎さんが私を映す鏡のように物事を整理・要約してくださって、毎回最後には必ず、1ヶ月後までの具体的なアクションを決めるサポートをしてくださいました。例えば、明日〇〇さんにお話を聞いてみるとか、たとえ小さなことでも何かしら現実に変化を起こす行動を決めていったんです。実際にそれを積み重ねていった結果として今がありますね。

ほかにも、私はタスク管理がうまくできない課題があったのですが、山崎さんから、ビジネスで活用されているタスク管理やスケジュール管理について、ツールも含めて教えていただいて、改善を繰り返しながら現場を進めていくことができました。

シェリー:コーチングの感想や印象に残っていることはありますか?

奥野:コーチングで精神的な支えを得たことは大きいです。特に、今でも大事にしている山崎さんの言葉が二つあります。

一つは「小さくても現実世界に変化が起きているかを大事にしてください」という言葉です。急に売り上げが100万上がるとか、おせっかい女将を求める人が100人増えるということではなくて、私がかかわったお客様が笑顔になることだけでも「現実の変化」だと言っていただきました。それからは小さな一歩一歩の積み重ねを実感できるようになり、自信と励みになりました。

もう一つは「後戻りしないピンを置き続ける」という言葉です。生きていればやりたいことでもモチベーションにムラがでたり、足踏みしてしまったりすることがありますよね。そのときに後戻りしないためのピンを置き続けなさいと言われました。実際に、春に立ち上げたチームはまだ実績がない状態だったので、8月22日に必ず車椅子ユーザーのイベントをやる「明確なピン」を置きました。結果としてイベントは成功し、新聞に取り上げていただくなど、チームとして目に見える実績ができました。「ピンを置く」やり方は私に合っていたし、確実に前に進んでいくためにはとてもよい考え方だと思います。

PLAY!期間中の宝として、この二つの言葉を大事にしてますね。自宅のコルクボードに書いて貼ってあります。それをこの前久しぶりに山崎さんにzoomでお会いしたときにお話ししたら、ちょっと照れてらっしゃいました(笑)

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シェリー:山崎コーチから、奥野さんはミッション「ハイドリーム・ロードリーム」(※PLAY!の個人ワーク教材)を使ってからプロジェクトが加速したということをお聞きしたのですが、実際ワークをしてみてどんな変化がありましたか?

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奥野:最初に描いたハイドリームは、数字中心の無機質な内容でした。私は、ビジネスの場において目標をたてるときは、数値的なことを書くものだと思い込んでいました。例えば、事業計画をたてて収益性も担保されたなかで活動しているとか、チームメンバーを10人まで増やすとかですね。

でも山崎さんは文字や数字ではなく、「どんなときに誰と一緒にいたいですか?」「奥野さんが実現したい社会像ってどんな感じですか?」と風景を想像するように問いかけてくださいました。そうしてみると、立ち上げメンバーでイベント後に乾杯しているイメージが浮かびました。「奥野さんが本当に行きつきたい夢、嬉しいと思うハイドリームはそれです!」って言われたときに、「こういうことでいいのか!」って思いましたね。

自分の気づいていなかった大事にしたい気持ちやあり方みたいなものを知りました。ビジネスでもボランティアでもついつい数値化して考えがちだと思いますが、人間がやることである以上、自分の心持ちやモチベーションが大切なのだと気づかせてもらいました。

シェリー:今のエピソードから奥野さんと山崎コーチの信頼関係を感じました。信頼関係がないと素直に言葉を受け取るのは難しいですよね?

奥野:初回コーチングのときに、私のことを理解してもらえたと感じたのが信頼に繋がったと思います。経歴を振り返るミッション(※PLAY!の個人ワーク教材)を使って、幼少からの自分を振り返る作業をしました。今までの経緯を知ってもらい、私自身を深くわかっていただけたと思いました。

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また一対一で常に私のチャレンジに向き合ってもらえる場があったことも大きいです。山崎コーチは私の話を聞き、つまづいているところや表現し切れていないところを丁寧に探してくださいました。PLAY!に参加されているメンバーには色々な事業段階の人がいると思いますが、私のようにまだまだスタートラインで拙い言葉しかでてこない状態でも、よく咀嚼して整理して、コアの部分を見事引き出して下さったと思いますね。

シェリー:ほかにPLAY!に参加してよかったと思うことはありますか?

奥野:PLAY!参加者同士のオンライン交流会があったときに何人かと直接繋がることができ、今でもすごく仲良しな方が何人かいます。一人は障害福祉の分野に参入しようという起業家の方で、私が共感できる価値観も多かったのでやりとりするようになりました。もう一人の方は、私が参加したときにはほぼ修了に近いところだったのですが、いまだに月に一度の報告会を継続しています。そういう心強い仲間が得られたこともPLAY!に参加して得られた大切な財産ですね。離れた地域であってもインターネットを通して頑張っている方と出会える、つながれるのは非常にありがたかったです。

シェリー:PLAY!はどんな方におすすめですか?

奥野:一対一でじっくり自分の事業に向き合いたい人には合うと思います。

私のようにそういう場がなかなか得られずに、ひとり悶々としている人にはとてもオススメです。エティックさんが母体でコーチは起業家支援の経験がある素晴らしい方々が揃っていると思うので、私のようにスタートラインにいる人、事業化は進んできたが行き詰まっている人、お金の回し方がわからなくて困っている人など、それぞれの課題状況に合ったコーチを選んでいただけると思います。どんな段階の方でもいいですが、とにかく一対一の学びの場を得たい人には合うと思いますね!

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3.南魚沼から、ハード面とこころのバリアフリーを実現する

シェリー:奥野さんの活動が今後どういう風に展開されていくのか、「今置いているピン」があればお伺いしたいです!

奥野:現在チームで走り出して約4ヶ月経ちます。イベントを開催して手応えを感じたので、車椅子ユーザーの方々と一緒に、ハードだけでない「心のバリアフリー化」をこの南魚沼で進めていきたいです。具体的には町歩き体験の継続や、チームの組織化を念頭に動いています。

将来的な一番の大きな目標は、バリアフリーマップのウェブサイトを独自に立ち上げることです。世の中にあるバリアフリー情報を集約したマップは、情報量がそもそも少なかったり、更新されていなかったり、ユーザーがリアルには使いにくいものが多いように感じます。その解決に向けて、私たちチームで動いていきたいと思っています。

私個人としては女将の自分と、ソーシャルワーカーの自分を少しずつ重ねていきたいと思っています。例えば、「なにわ茶屋」でやっている料理教室に車椅子ユーザーの方も参加できるようにしました。また現在、バリアフリー化に向けて、店舗改装を検討しています。車椅子専用トイレもなかったのでハード面を整備しつつ、車椅子ユーザーや高齢者の方々が地域のなかで当たり前に楽しみ、活き活きと過ごしていける環境を「なにわ茶屋」からつくっていきたいと思います。

ハード面を全部変えるということはお金が必要なので難しいですが、一人一人がこころのバリアフリーを意識して車椅子を押すのを手助けしてあげるだけでもいいのです。少しずつですが、ハード面とこころの面の両輪でバリアフリーを進めていきたいと思っています。

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インタビューまとめ

奥野さんのお話はいかがでしたか?

奥野さんは、まさにPLAY!のコンセプト ”「いつかやりたい!」を、「今やっている」に。”を体現されていると感じました。山崎コーチとの信頼も感じられ、2つの言葉を今でも大切にしているのがとても印象的でした。6ヶ月の間、小さな変化を起こし続けたからこそ今の活動があるのですね。

みなさんも南魚沼にいく機会があれば、ぜひ「おせっかい女将」に会いにいってみてはどうでしょうか?これからの奥野さんの活躍をPLAY!事務局一同楽しみにしています!

よりそうSmile
私たちは福祉ボランティアチームです。障がい者や高齢者等様々な立場の人達と共に、考え、行動し、学び合いながら、ハードだけではなく、心のバリアをできる限り解消していくことで、共にいきいきと暮らしていける街づくりに貢献することを目的としています。
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今後もPLAY!では、自分らしい挑戦スタイルでアクションしつづけたい方々をサポートしていきます。PLAY!に少しでも興味を持ってくださった方は、ぜひお気軽にコーチング無料体験にご参加ください!

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