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世界中のカフェ、図書館、古本屋、書店で出会って読んだ本たち。 本を持って旅に出て、その土地に合った本を置いて、また新たな本と旅に出る。
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#農業

世界は繋がっている:日本の農業の生産性に貢献したスリランカの溜池灌漑とジェフリー・バワ氏を想う

世界は繋がっている:日本の農業の生産性に貢献したスリランカの溜池灌漑とジェフリー・バワ氏を想う

経済学の巨匠ともいえる宇沢氏の本を読んでいて、ふとしたところで「スリランカ」に出逢った。これは、『世界』という1994年12月号に岩波書店により発行された『空海が学んだスリランカの溜池灌漑』というタイトルだった。

私にとってスリランカといえば、アーユルヴェーダの聖地と熱帯建築家ジェフリーバワ氏の存在。そして、最近出会ったスリランカの友人達の名前の長さ。(これは、父親の名前をそのまま受け継ぐスリラ

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共感の可能性【本:経済学は人びとを幸福にできるか】

共感の可能性【本:経済学は人びとを幸福にできるか】

感動と知的な衝動。この本を読んで思った。経済学は、これほどまでに広かったのか、ということ。合理的に、正解のある答えをもとめる数値結果だけではなかった。ある限られた知識人だけの専門領域ではなく、皆、それぞれ「幸福」を考えながら、それぞれの時代を生きていたんだな、と俯瞰することもあった。でも、何よりも、この「広い」のは、経済学が、というよりも、宇沢弘文氏の知的好奇心の広さと深さによるものなんだろうなと

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秩序ある自然界に人間がもたらした禍【本:沈黙の春】

秩序ある自然界に人間がもたらした禍【本:沈黙の春】

改めて、「沈黙の春」とはよく言ったものだと思う。花々が咲き誇る、新しい学期が始まる、明るい季節であるはずの、沈黙。静けさではなく、闇と気味悪さを感じる。2020年の春、古本屋で買いたかった本を見つけた後、レジへ向かおうとした私の目に、この本がとまった。ちょうど、コロナで一時帰国をした直後。自然が、というよりも、自分の環境が、「沈黙の春」とでもいうような、閉塞感と闇を感じていたので、今が読むタイミン

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新たな農業バリューチェーンの構築を【本:マッキンゼーが読み解く 食と農の未来】

新たな農業バリューチェーンの構築を【本:マッキンゼーが読み解く 食と農の未来】

さすが、世界のコンサル企業。他業界での経営学、統計学の視点から数字とデータを農業ビジネスで生かす点から、農業政策、日本の農業の未来への提言など示唆に富む農業改革の書。農協のシステムとは?ベストな人材マッチングの仕組みとは?食品のeコマースとは?と向き合った北海道の農業と行政での経験を思い出しながら、メコンデルタでの農家さんたちの暮らしや周辺大国の政策変換や自然環境への脆弱性、法の重要性を思い出しな

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