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エッセイ

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#小説

思考

手探りで掴んだ日常はあまりにも脆くて自らが空虚になっていく。

昨日会ったばかりのあの子はもうここにはいない。

坂道を上がったり下ったりするだけの日々なんて白々しい。

眠る前はいつも思う、
突然見覚えのない夜行列車が目の前に現れて、
ここではない何処かへ私を連れていってやくれはしまいかと。

そうしてどんどん過ぎていく。
見飽きた夢を捨てていく。
その度私は女になる。

降りた先には、

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先生のまわりぐるぐるの謎

先生のまわりぐるぐるの謎

一般論私たちはしばしば"謎"の第一発見者となる。
世の中の大抵のことはすでに解明されているけど、その答えを知るきっかけがなければ謎は謎として留まり続ける。そしてそれはまるで自分だけの感覚であるかのように不安がる。対象を目にするたびに、その感覚を通してものを見るようになる。意識のうちにないだけで、最初に発見した"謎"のまま放置していて、今も私の見方のバイアスに関与している感覚って多分たくさんあると思

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竹下通り〜表参道〜キャットストリートの洗礼

竹下通り〜表参道〜キャットストリートの洗礼

JR原宿駅の改札を抜けて、若干年齢層の低い人混みに揉まれながら竹下通りを歩く。大通りに出ると車線に沿って右に曲がり、表参道に出る。カップルや外国人やコスプレイヤーたちと一緒に信号を渡った後、都会的なウィンドウショッピングを楽しむ。キディランドの横を曲がってお洒落なキャットストリートを進む。そのまま渋谷駅を目指して歩く。

『東京という街を浴びるための散歩道→目当ての買い物をするための散歩道→ストレ

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セキセイインコと和解した話

セキセイインコと和解した話

私が人生で最初に"魂"の存在を感じたのは、小学1年生の時。
私が生まれる前から両親が飼っていた、一羽のセキセイインコが亡くなったときだ。

私はインコのぴーちゃんに嫉妬されていた。
私が生まれる前、家族の主役はぴーちゃんだった。首元まで鮮やかな青色をしたオパーリンの女の子。鳥好きの父と笑い上戸の母の間で愛されて、きっと幸福だっただろう。
でも、私が誕生した途端、2人の関心はぴーちゃんではなく私

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