思考



手探りで掴んだ日常はあまりにも脆くて自らが空虚になっていく。

昨日会ったばかりのあの子はもうここにはいない。

坂道を上がったり下ったりするだけの日々なんて白々しい。

眠る前はいつも思う、
突然見覚えのない夜行列車が目の前に現れて、
ここではない何処かへ私を連れていってやくれはしまいかと。

そうしてどんどん過ぎていく。
見飽きた夢を捨てていく。
その度私は女になる。

降りた先には、青く沈殿した町がある。

日が昇る前のあの静けさが永遠に続く町である。

そこで私は昔死んだ人に出迎えられて、
胸の収納棚いっぱいに愛を詰め込む。

ぱんぱんに膨れ上がったら、すっかり満足して眠るんだ。

そんな夢をいつまでも見る。
生きてる間中ずっと、これからも。




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