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無題

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随想あれこれ。その時感じたこと、考えたことの集まり。 物思いに耽るとき、何を片手にしていますか?私はだいたい白湯かそば茶です。
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#日記

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すごく煌めき深い思い出があった場所、いけないと思いながらもつい立ち寄って眺めたら、とんでもない悲しさでいっぱいになった。
思い出は大抵、思い出すという動作と一緒にあるのに、どのように思い出すか/どういったものを思い出すのかは、自分の意思ではコントロールできないのが悲しい。

白いコンバース、ブランドロゴのガラス窓、土砂降り、不愉快な湿気、愉快なネオン、何でも出来そうな気持ち、濡れたアスファルト、街

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庭にカナヘビと蜻蛉が2匹。塀の上と周りで走り回っているのを見ているといつの間にやら蜂がやって来て、チョウチョが飛んでいる。アイビーの葉脈が日光に透けたのを眺めながら、ゆっくりお白湯を飲む。

背骨を丸めて膝を抱えながら、ぎゅっと抱き締めると落ち着くし、自分がしっかりと自分のことを守っている感じがするけど、膝を見つめていると、そのときが大抵苦しいときだということを思い出させる。
忘れる作業はいつも思

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目が覚めて気分が良いというのは素晴らしいことで、例えこの上なくお腹が空いていたり、気持ちの中にどこか寂しさみたいな靄を抱えていたとしても、目覚めが良ければ大体のことはなんとかなるのだ。
それには意味のない夜更かしをしないとか、あまり食べすぎないとか、暗いニュースから離れるとか、暖かくして眠るとか、充実した夜更かしをするとか、細々としたことがとても重要になってくる。なかなかこうしようと思って上手くい

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閉じ込めておきたい気持ちと、見せびらかしたい気持ちがある。前者は誰かを好きになったり、いろいろな世の中の物事に不安になったり、そういうこと。後者はエキセントリックな部分とか、生き生きしているとか、どちらかというと自分がそうでありたいなと思うことから滲んでいる。

今はあんまり頭の中に雑多なものはなくて、意外にすっきりしているんだけど、今日も長いこと湯船に浸かったし、少しお酒も入ったのでまたもやおセ

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大丈夫かな、ちょっと無理そうかも、でも大丈夫だと思う。
そういう思いで出かけて、ひどい靴擦れで家へ帰ってきた。

でもそういう日は気がつくと足元か、あるいはそれより少し先に転がってるそれらに気がつく。ソファにはクッション、茹でた卵が少し半熟、とっておきのためにまだ下ろしていないワンピース。

小さなお犬サマは涙目で絆創膏を貼り直すのを横目にあくびをする。なぜだか私は今日もまた眠りにつくのに時間がか

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半端でツヤツヤしたお月様が出ていたので写真に撮ろうとしたら、案の定遠くの白い星か、できたばかりの胎児のようなぼんやりした光にしかならない。

それで湯船に浸かりながら頬杖をついて、あれこれ考えたり悩んだりふふふと笑ったり歌ったりしていた。入浴剤入れればよかったな。マンドポップを流しながら楽しい出来事を思い浮かべたらちょっと寂しくなった。頭の中でカレンダーを広げて、一つずつ赤いペンでチェックを入れる

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水やり蝉の抜け殻を拾ったらとても軽くて、なんだか涙が出てきた。
暑いので植物にホースで盛大に水をやる。こういう季節は日差しも湿気の強い匂いもあんまり好きではなかったけれど、青い葉っぱから滴る雫を見ると何だか自分まで生き生きしているような感じに見舞われた。でも、早朝からもう既にエネルギーに溢れた日差しが私にはとってもつらい。だけれど、暑い暑い言いながら外に出て、水を撒いたり、季節を見つけたりして、部

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満員電車でギスギスして靴の踵を踏まれたり、肘で鞄を押しやったり、そういうのが馬鹿らしい。夜の街を行き交う人々は、そういう冷たさがない。夏とはいえ、しっとりした少し冷たい空気の中で、踊る陽気な外国人、花火をする男女、散歩される白い犬、お酒の缶を持つ人達、煙草の煙、シャッターが降りた街、濡れた地面が色んなところに反射して鈍く光る。

ほんとうの暗闇、大自然のそれとは全く違う都会の暗さは、寂しげでもひと

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