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無題

目が覚めて気分が良いというのは素晴らしいことで、例えこの上なくお腹が空いていたり、気持ちの中にどこか寂しさみたいな靄を抱えていたとしても、目覚めが良ければ大体のことはなんとかなるのだ。
それには意味のない夜更かしをしないとか、あまり食べすぎないとか、暗いニュースから離れるとか、暖かくして眠るとか、充実した夜更かしをするとか、細々としたことがとても重要になってくる。なかなかこうしようと思って上手くいくものではないけれど、カーテンの隙間から差し込む日光が鈍くて柔らかく感じられるコンディションの日がもっと増えたらいいなと思う。たいてい弱っている時には朝の光が鋭いせいで目が眩んだり、1日を掴めない不安とご一緒することを考えたりするから。

行方知れずの減量をはじめて、少し終わりが見えてきた自分の腰のところのラインが嫌いじゃない。ちょっと骨張ってて、でも無くならない丸みみたいなのが女っぽいと思う。そう思える時は肩甲骨とか浮いたあばら骨まで妙に素敵なもので、自分の身体が途端に好きになる。もちろん、気分が悪いときはその全部が急に醜いものだったり、まだまだ頑張りの足らない怠惰なものに見えてしまう。
同じようにときめきは素敵で握っていたいものだけれど、どこか居心地が悪くて、かといって無ければいいというものでもない。車のオイルが水溜りで反射しているみたいな感じがする。きらきらして綺麗なんだけど、ちょっと汚いのは知っている。それでも浸かっていたいなとか、眺めていたいなという時は私にもあって、でもそういう時には反芻したい素敵な思い出を、胃のなかにぐっと押し留めておいた方が本当は良い。まだ余韻が抜けきらない間に消化してしまうよりも、それが必要な時にこっそり取り出して、頓服みたいに暖かい飲み物で流し込んだほうがよっぽど役に立つ。

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