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ペルシア•シルクロード紀行といつもの日記

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ペルシア文化圏(イラン•中東•イスラム•中央アジア•コーカサスetc...)の歴史研究者です。
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#旅する歴史家

古代ペルシアの宮殿遺跡ペルセポリス(中編)

古代ペルシアの宮殿遺跡ペルセポリス(中編)

新春(ノウルーズ)の祝祭を催す壮麗な宮殿として建てられた優美なペルセポリスがやがて廃墟と化してしまったのは、アレクサンダーがペルシアに侵攻した際にペルセポリスを焼き討ちしたことに端を発しています。アレクサンダーは、当時アケメネス朝ペルシアの州(サトラピ)のひとつだったギリシアに対して反乱を起こしたマケドニアの司令官で、その後ペルシアにも侵略した歴史があります。

実はアレクサンダーの焼き打ちで廃墟

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アケメネス朝ペルシアの宮殿遺跡ペルセポリス(前編)

アケメネス朝ペルシアの宮殿遺跡ペルセポリス(前編)

ペルシア(イラン)の世界遺産といえば、真っ先に思い浮かぶのが古代アケメネス朝ペルシアの首都ペルセポリスです。西はギリシア、東はインドまでの広大なアケメネス朝ペルシア帝国は20の州(サトラピ)から成る古代初の連邦国家で、2500年前も昔のものとは思われない技巧を凝らしたアスファルトを敷いた「王の道」がこの広大な連邦国家を結んでいたことは、世界史の教科書でもお馴染みですね。この広大なアケメネス朝ペルシ

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世界の半分、サファヴィー朝の古都イスファハーン(中編)

世界の半分、サファヴィー朝の古都イスファハーン(中編)

イスファハーンで数々のペルシア建築に足を運び、壮麗なドーム型建築やアーチ型の回廊の下に佇んでいる時にふと思い出すのが、子供の頃によく通ったプラネタリウムの大きなドームのこと。プラネタリウムに映し出された星座たちを仰いで見とれているうちに、夜空に飛び込んでしまったような浮遊感に包まれて、たった30分ほどの番組が終わって立ち上がると、足がふらふらしてしまったりしたこととか。繊細なタイル細工が一面に施さ

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ペルシアのパンの話(前編)

ペルシアのパンの話(前編)

ペルシア文化圏の主食はやっぱりナンと呼ばれるパン。九千年とも言われる歴史を持つパン焼きの文化があるペルシアでは、街角のパン屋さんは朝も昼も夜もかまどで焼いた焼きたてのパンを買う人たちの行列でいっぱいです。

もちろん、キャバーブと呼ばれる串焼きや手の込んだ様々な煮込み料理と一緒にご飯もよく食べるのだけれど、主食はやっぱりパンなので、食事時のペルシアの街角はいつも、一抱えもあるパンの山を抱えて家路に

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ペルシアの七草粥(後編)

ペルシアの七草粥(後編)

昨日お届けした、願い事が叶うペルシアの七草粥。でもよく考えてみると、どろっとした見かけも、素朴ながらとっても甘い味わいも、今の日本に伝わる七草粥よりもぜんざいやおしるこのほうに似ているんですよね。

そこでぜんざいのルーツを辿ってみると、出雲に伝わる神在餅(じんざいもち)にあるそうです。十月に日本中の八百万の神々が出雲に集まるので神在と言って、小豆を煮てお餅を少し入れたものをお供えにしたそうです。

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