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【書籍要約】「腸のメカニズム」を知れば、体調管理が楽になる 


体をコントロールする腸の2つの流

腸は「管」だ。そのため「消化管」と呼ばれている。
消化管の主な仕事は、物質を「ある点」から「ある点」へ移動させることだ。そのため、住宅の排水管と同じで、詰まるとうまく機能しない。
詰まりを解消し、腸の本来の働きを取り戻すために生み出されたのが、本書の眼目である「アダムスキー式腸活法」だ。
消化管は、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸といったさまざまな臓器にまたがり、それぞれが連動して、2つの大事な働きをしている。
その2つの働きとは「タテの流れ」と「ヨコの流れ」だ。
「タテの流れ」とは、余分な物質や有毒な物質などを体外へ排出する流れだ。主に毒素や体に悪い脂肪などが上から下へと運搬され、便と一緒に出ていく。
一方「ヨコの流れ」は、ビタミンやミネラル、体にいい脂肪といった健康に必要な成分を、血液を介して体中の細胞に送る流れだ。
食べ物の中に含まれる体にいい物質は、消化管にある小さなヒダを通って血液に到達し、体に吸収されていく。
実は「ヨコの流れ」には、反対方向の流れもある。つまり、消化管の外側から内側へという流れだ。
この機能により、血液中に存在している毒素を消化管の内側に排出して「タテの流れ」に乗せ、便や尿とともに出している。
この2つの流れが正常に働かなくなると、健康上のリスクが生じる。腸の重要な働きを認識し、腸と身体の関係をはっきりと意識しながら、健康リスクとその対処法を見ていこう。

本当に恐ろしい「7大健康リスク」

「タテの流れ」と「ヨコの流れ」は完全に依存しあっていて、「タテ」が詰まると「ヨコ」にも影響が出る。
具体的にはこうだ。食生活が乱れていると、消化管の「タテの流れ」が滞り、消化管の壁に有害な汚れがたまる。
壁が汚れで覆われると、消化管の穴が塞がれてしまい、「ヨコの流れ」が停滞する。
その結果、食べ物がうまく取り込めなくなるとともに、血中の毒素が消化管内部に到達できなくなり、体中に回ってしまう。
これが腸によって体調不良が起こるメカニズムだ。腸の状態が悪いと、思いもよらぬ深刻な影響がもたらされることがある。


本書では、「腸の乱れ」によって引き起こされる体の不調について、代表的な7つの例を紹介している。
「頭痛」「不眠」「肌荒れ」「腰痛」「コレステロール」「泌尿器の汚れ」「食道裂孔ヘルニア」だ。要約ではこのうち、「頭痛」「不眠」「腰痛」の3つを取り上げる。
まずは「頭痛」だ。キリキリと締め付けられるような片頭痛は、腸の働きと密接に関係している。
メカニズムはこうだ。腸の「ヨコの流れ」によって体に必要な物質が血液へと送られると、「門脈」という太い血管を通って肝臓に到達する。
血液は肝臓によって濾され、きれいにされた後に心臓、肺へと送られる。そして、肺で酸素を取り込んだ血液は全身に流れていく。
ここで、腸の「ヨコの流れ」が滞ると、肝臓に栄養が不足するとともに毒素が蓄積していき、その働きが弱まる。
すると、門脈の血液を十分に吸い上げることができなくなり、結果として頭に酸素が届かなくなってしまうのだ。
次に「不眠」だ。夜中に突然目が覚める――この不眠の多くは、ストレスだけが原因ではない。
ストレスの大本を探るのもいいが、「今日の夕飯に何を食べたか」という視点も持ってみよう。
後述する「間違った組み合わせ」で食べ物を口にした場合、食べ物は十二指腸という器官で消化がブロックされ、汚れがたまっていく。
すると、胆管も詰まり、胆汁の保管庫である胆嚢(たんのう)は、胆汁を移動させるべく痙攣を引き起こす。この痙攣こそ、夜中に目を覚ます原因だ。
最後に紹介するのは「腰痛」だ。約9メートルにも及ぶ腸は、骨格、なかでも脊柱によって支えられている。
汚れや詰まりによって動きの悪くなった腸は膨張し、それを支えている脊柱や周囲の血管を圧迫する。

理想の腸になるための「7つの超基本」 



「アダムスキー式腸活法」を実践するうえで心得ておきたいのは、「健康は全方位から考える」ということだ。
つまり、体の一部ではなく全体を見て、不調を取り除くための「根本的なアプローチ」を考えるのだ。
症状を和らげただけで満足せず、不調の原因を突き止め、その改善を促そう。不調は消化管のコンディションに起因していることが往々にしてある。
ここでは、腸を正しく機能させ、あらゆる体の不調を改善する「7つの超基本」のうち、3つを紹介する。
まずは、マインドフルな食事を心がけることだ。「毎食をどのように食べるか」は、健康に大きく影響している。
いくらバランスのとれた食事でも、かき込んだり仕事をしながら食べたりすれば、消化が悪くなって当然だ。
昼食の時間はしっかりと確保し、きちんと食卓を整えて、食事を味わうことに集中しよう。噛んでいる間は、携帯電話やスマホは見ないようにする。
ゆっくり食事をする時間はないという人もいるかもしれない。だが、ランチタイムの30分を捻出するだけで体の充電時間が手に入ると考えてみてはどうだろうか。
急いで食べるとかえって疲れてしまうし、消化管が役割を果たせなくなってしまう。消化が悪くなれば、仕事の生産性が落ちる。
休憩時間をとらないほうが、生活全体にとってはずっと不経済なのだ。

「トイレですっきりする」とはどういう状態か。
医師の中には「腸が正しく流れていれば毎食後に排便がある」という人もいるが、食べたものをすぐに排出していては、食事の意味がない。
著者は研究の結果、消化管を流れるのに理想的な時間、つまり、食べ物が消化管を通り抜けるのに必要な時間を特定した。
午前8時に朝食で口に運ばれた食べ物は、4~5時間後に胃を出て十二指腸に達し、さらに7~9時間かけて小腸で消化される。この流れは午後1時の昼食、午後8時の夕食でも同様だ。
重要なのは、これらすべての食べ物が、最後の消化管である大腸でまとめられて、朝食の約40時間後に体外に排出されるということだ。
私たちは正しい方法で食事をとっても、常に5~6回分の食事をお腹に抱えているのである。


住宅の排水管が詰まった際、パイプ洗浄剤を使って汚れを落とすように、人体の消化管にも効果的な洗浄剤がある。果物とオイルだ。
果物は特にかんきつ類が好ましく、トマトやパプリカ、唐辛子といった「消化の速い野菜」も効果的である。
オイルはエキストラバージンオリーブオイルやアマニ油、ココナッツオイルといった高品質の植物性オイルのみが有効だ。
オイルを非加熱で、かつ多めに摂取すると、たまった汚れを盲腸へと滑らせてくれる。
オリーブオイルをとると太ってしまうと懸念する人もいるかもしれない。
だが、非加熱オイルをスプーン1杯飲むよりも、腸が詰まっているほうがはるかに太りやすい。それでも不安なら、カプセル型のサプリメントを選ぶのもいいだろう。

不調を招く「食べ合わせ」を回避する



消化管の中で食べ物が腐敗すると、腸の「タテの流れ」も「ヨコの流れ」も遅くなる。そして、この腐敗が万病を引き起こす。
腐敗を防ぐためには、食べ物の組み合わせが重要だ。
食べ物には「消化の速い食品(ファスト)」「消化の遅い食品(スロー)」「どちらでもない食品(ニュートラル)」の3カテゴリーがあり、ファストとスローを1回の食事で結びつけてはいけない。
「ファスト」は、消化管全体を30分ほどで通過する食材だ。代表例として、果物がある。食事から時間を空け、1日1回だけ、旬のものを食べるのが理想的だ。
はちみつや緑茶、ヨーグルト、トマト、かぼちゃ、パプリカ、唐辛子、カレー粉といった食べ物も「ファスト」だ。
トマトは毎日でも摂取してほしい食材だが、「消化の遅い食事」の中で摂取してはいけない。組み合わせを間違えると、消化トラブルのもとになる。
「スロー」は、消化に8~10時間かかる食材だ。
「スロー」は、「ファスト」以外のほぼすべてで、穀物、野菜、肉、魚、卵、豆、ナッツ類が挙げられる。生であっても加熱されていても、「スロー」は「スロー」である。
「ニュートラル」は、一緒に食べた食品の消化スピードを速める食材で、ファストとスローのどちらにも組み合わせ可能である。
油、酢、にんにく、ワイン、牛乳、紅茶、コーヒー、チョコレート、ナス、玉ねぎ、ハーブなどが代表例だ。

消化スピードのカテゴリーを押さえたら、普段の生活で気づかないうちに食べてしまっている「組み合わせNGな食品」を確認しよう。
本書では具体例を10個提示しているが、要約ではそのうち3つを紹介する。
1つ目は、トマトソースのパスタだ。ファスト食品のトマトとスロー食品のパスタという、代表的な組み合わせNGメニューである。
同じくペンネ・アラビアータも、避けたい組み合わせだ。パスタを食べたいなら、質のいいエキストラバージンオリーブオイルとヘルシーな野菜のグリルでつくるのがいいだろう。
2つ目は、タンドリーチキンだ。ファスト食品である唐辛子由来のスパイスとスロー食品の肉からできている、NGな組み合わせとなる。
3つ目は、フルーツタルトなどの果物を使ったお菓子だ。小麦粉やバター、卵などといったスローと、果物やフルーツジャムといったファストを組み合わせている。
もちろん、常にスローとファストの組み合わせを避けなければいけないわけではない。
大切なのは、ファストとスローを組み合わせたときに、自分の腸内で何が起きているかを知っておくことだ。 

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