マガジンのカバー画像

誰でもできる「科学的思考」

105
震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
運営しているクリエイター

#超心理学

超常現象研究が日の目を見るには?

超常現象研究が日の目を見るには?

2014年に放映されたNHKスペシャル「超常現象 科学者たちの挑戦」。

番組のディレクタを務めた苅田章(かんだあきら)は著作の中で、超常現象の存在を示す兆候があるにもかかわらず、それを科学的に探究することが科学の世界でなかなか認められないのはなぜかと問います(※)。

そしてその理由の一つとして、超常現象をオカルトとしてはなからイカサマ扱いする偏見を挙げます。

超常現象っぽいこと言うだけで

もっとみる
「無意識」活用の展望

「無意識」活用の展望

2013年、私がPF理論を発想した時の逸話を元に、「ぼんやりのすすめ」というブログを以前書きました。

何か問題意識をもって普段から考えているテーマがあると、それについてある時ふと良いアイデアが浮かぶときがある。

たいていそれは、机に向かって思考を巡らせたり、会議で議論に熱中している時ではないんですね。

風呂に入っている時とか寝入りばなとか、とにかくボーッとしている時に多い。

そんなこと

もっとみる
超心理学研究に見る科学の危機

超心理学研究に見る科学の危機

NHKディレクター・苅田章は、超常現象に関するその著書の中で、

とします。

超常現象の中でも特に人間の認知活動に関わる分野、念力やテレパシー等を扱うのが超心理学。

生物学者で超心理学者でもある小久保秀之も、超心理学の課題としてそれが数式で表せないことだ、と言います。

日本語や英語のような自然言語は、日常生活では便利に使えても、こと自然現象の記述に関してはその言葉の多義性・あいまいさが命と

もっとみる
ポテンシャル指向が未来を拓く

ポテンシャル指向が未来を拓く

2013年から2014年にかけて、NHKでその名もズバリ「超常現象」というタイトルの番組が、地上波およびBSで放送されました。

阿部寛さんが主演で、薄暗い研究室風の部屋にたたずむ怪しい雰囲気の、白衣着たいかにもな風情の研究者が話を回すやつ。

ご覧になった方も多いでしょう。

この一連の番組の制作統括・大里智之は著書の中で、超常現象を研究することの意義として錬金術や占星術を例に挙げ、

もっとみる
科学になり切れない超心理学

科学になり切れない超心理学

念力やテレパシーなどを研究する超心理学の論文を見ていると、やはり扱っているテーマの特質からか、「科学とはなんぞや」を問う科学そもそも論を結構見受けます。

これは結構難しい。

「科学とは○○です」と即答できるようなものではないでしょう。

なにせそれを扱う科学哲学という独立した学問分野があるくらいだし。

ただ、大学の職に就きそれなりのキャリアを積んでいるはずの研究者の主張を分析してみると、なん

もっとみる
役立つ情報の見極め方

役立つ情報の見極め方

2022年ツイッター社を買収したイーロン・マスクさん。

X(元ツイッター)の広告収入減をユダヤ人組織のせいだ、と見事なデジャヴ。

富士山はいつ噴火してもおかしくない状況だそうですが、いざ噴火したら出てくるんでしょうね、似たような「○○(組織)の陰謀だ」論が。

京大大学院教授で医師の中山健夫はその著書で、役立つ情報を見極める5つのポイント「A,B,C,D,E」を提唱しています(※)。

もっとみる
月の重力で発狂?

月の重力で発狂?

いにしえより、月の影響で人が発狂したり、出産が増える、犯罪が増えるなどという迷信は珍しくない。

現代でも例えばこんな記事が(ムーじゃないよ)、:
「東洋医学からみる月の満ち欠けと体調の関係」(※)。

ここで鍼灸師・瀬戸郁保は、「60~70%が水分でできている人体は、潮の満ち干き(ママ)などと同じように月の引力の影響を受け」、月の満ち欠け(相)に合わせて人体に変化が生ずる、とのたまう。

もっとみる
スカイツリー陰謀論

スカイツリー陰謀論

科学者は本質的に懐疑的であり慎重です。

そうであらねばならない。

たとえ相手が超有名な大家だったとしても、その言っている事は疑ってかかる。

敬意は忖度することではないまあ実際には、なかなか難しいけどね、科学者も人間だし。

「○○研究者」を名乗り、ある特定の分野の知識が豊富(そう)な奴はいっぱいいる。

名乗るのは勝手なんだけど、有名人や特殊能力者(霊能者とか)の言葉を鵜呑みにしている限り

もっとみる
「信じたい」が出発点、の危険性

「信じたい」が出発点、の危険性

子供の頃、祖父母の家に遊びに行って夜寝ていると、真っ暗な部屋の中で何かが光っていました。

いや、別に怪奇話などではなく、外から入ってきたわずかな光が、部屋の中の何かに反射してるんですね。

その光る点をずっと見ていると、なぜか動いているように見える。

これも別に、なにか超常現象的なことではなく、部屋の中の棚にある何かの反射だとは分かっていて、静止しているはずなのだけど、それがどうしても細

もっとみる
発展しない・できない疑似科学

発展しない・できない疑似科学

邪馬台国・卑弥呼の死亡は西暦247か248年のどちらかと言われていますが、その両方で日本では皆既日食が観測されています(諸説あり)。

特に247年の方は皆既日食のその食分(太陽の欠け具合)最大の瞬間と日没とがほぼ同時。

この天体現象と、アマテラスの天岩戸伝説とを結びつける天文学者もいます(※)。

アマテラス(天照大神)は記紀に登場する太陽神・皇祖神であり、その五代後が神武。

卑弥呼に

もっとみる
だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

マルチプルアウトはマジシャン、心理学者などの他、占い師もよく用いる心理術の一つ。

マルチプルアウト(multiple outcomes)、すなわち「多数の結果」の派生語で、事前に様々な結果や反応に対する対応策を準備しておくことからその名がついています。

例えば、「あなたは最近、大切な何かを失ったように感じます」というようなあいまいな主張を提示し、クライアントの反応を見極める。

主張のあ

もっとみる
超心理学が科学となるために

超心理学が科学となるために

超感覚知覚(ESP:味覚や嗅覚などの五感以外の知覚)や予知能力、霊視、念力などの現象を一般にサイ(psi)現象と言いますが、これを研究対象とする分野が超心理学。

超心理学者・石川幹人(明治大学)は、現代物理学を超越するように見える諸超心理現象の背後にある理論が存在しないため、現状では超心理学を科学と言うことはできない、しかし将来その理論が見つかる可能性がある、として超心理学を「未科学」に分類しま

もっとみる
疑似科学に引き入られない為の四項目

疑似科学に引き入られない為の四項目

明治大学大学院教授で認知心理学者の石川幹人氏はその著書の中で、疑似科学に染まらない手順を簡潔にまとめています(「なぜ疑似科学が社会を動かすのか」PHP新書、2016年)。

1)想像と現実をしっかり区別する
2)自分の感情や欲求の由来を知る
3)自分の認知や思考のクセを知る
4)経験していない記憶がつくられることがよくあると自覚する

簡潔すぎてこれを読んだだけではよくわからないし、逆にこれを見

もっとみる
念力 ~人の思念は物理的作用を及ぼし得るか?~

念力 ~人の思念は物理的作用を及ぼし得るか?~

「『波動』が共鳴して引き寄せる」
「『波動』で身体の不調を治す」

「波動」のみならず、「エネルギー」、「次元」、「○○フィールド」‥

このブログ内でも指摘してきたように、
(例えば「引き寄せは『波動』で説明できます」⇦じゃ、その「波動」って何?)
科学用語を多用した曖昧な言い回しが闊歩しています、
さも「科学的」であるかのように。

ではそのように、
非科学的かつ曖昧な「波動」論議で
「説明」

もっとみる