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誰でもできる「科学的思考」

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震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
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#認知バイアス

だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

だましのテクニックとしてのマルチプルアウト

マルチプルアウトはマジシャン、心理学者などの他、占い師もよく用いる心理術の一つ。

マルチプルアウト(multiple outcomes)、すなわち「多数の結果」の派生語で、事前に様々な結果や反応に対する対応策を準備しておくことからその名がついています。

例えば、「あなたは最近、大切な何かを失ったように感じます」というようなあいまいな主張を提示し、クライアントの反応を見極める。

主張のあ

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他人の災いは因果応報か?

他人の災いは因果応報か?

あるアンケートによると、「悪いことをすると罰(バチ)が当たる」と考える人の割合は76%に上る、とのこと(2020年8月13日付読売新聞)。

同記事によれば1964年の同じ調査での結果は41%であり、昭和の中頃より現代の方がこのような考えが広まっているそうです。

なんか意外ですね。

しかももっと意外なのが、現代にあって70歳以上よりも18~29歳の方がこの考えを支持している率が有意に高い(前者

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私たちの認知を誤らせる様々なバイアス

私たちの認知を誤らせる様々なバイアス

私たちの思考や意思決定は、それまでの個人的経験の積み重ね、そして情報媒体、家族との会話、先生の言葉、読書といった外部からもたらされる情報によって形成される、バイアスを伴った枠組み(スキーマ)によって有意に変位を受ける、というのが認知心理学で知られています。


「○○とは△△なものだ」的なステレオタイプなものの見方も、そのようにして形成されます。


疫学における「バイアス」の定義:「真の

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保存料、ゼロならいいの?

保存料、ゼロならいいの?

食品の原材料名のところを見て、添加物や着色料、保存料の記載があると何となく不安になりますよね。

逆に「無添加」、「無着色」、「保存料不使用」と書いてあると安心。
そしてこれらの文言は恰好の宣伝文句となっている現実。

気持ちは分かるのですが、何ごとも行き過ぎはよくありません。

「入っているから危険」ではなくて「50%致死量」(Lethal Dose 50、通称LD50)とは、物質の毒性を示す値

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因果関係を読み誤らない統計の活用を

因果関係を読み誤らない統計の活用を

虫の知らせやデジャヴ、幽霊目撃といった不思議現象の体験‥

そのようなことが実際にあると、印象があまりに強いため不思議現象を信じ込んでしまうのも無理ないのかも知れません。

また、人に話したくも人情というもの。

そのような自己の体験や他者の体験談を冷静に判断し、他の要因(誤認、フェイク、心理作用等々)の可能性がないかどうかを探る一つの有力な方策として「統計」があります。

このことは当ブログでも

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「虫の知らせ」に見る、危うい「直観」の世界

「虫の知らせ」に見る、危うい「直観」の世界

ご存じですか?「虫の知らせ」

「夢の中でおばあちゃんが出てきた。
翌朝、親戚から電話があり、おばあちゃんが昨夜亡くなった、とのこと。
ああやっぱり、夢であいさつに来てくれたんだなぁ。」

細かい違いはあっても大体こんな感じでしょうか。
想像してみてください。
もし本当にこんな経験したとしたら、どう思いますか?

「虫の知らせ」は科学で解明できないのか?そりゃやっぱり、
「夢には不思議な力があるん

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誰でもできる「思い込み」撃退術

誰でもできる「思い込み」撃退術

天文学者と物理学者と数学者の仲良し3人組が
鉄道でスコットランドを旅していた。

のどかな丘陵地帯の草原の風景が流れる。
その中に一匹の羊がいた。

その羊はなぜか黒かった。
それを見て3人はそれぞれこうつぶやく。

天文学者:
「スコットランドの羊は黒いのだ」

物理学者:
「スコットランドには少なくとも一匹、黒い羊がいる」

数学者:
「スコットランドには少なくとも一匹の羊がいて、
その少なく

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