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【和訳】英国国防省:ウクライナ情勢報告

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英国国防省発表のウクライナ情勢評価分析の日本語訳
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2023年10月の記事一覧

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 31.10.2023

日本語訳:

ロシアの政府系メディアの報道によると、在ウクライナ・ロシア軍副司令官ミハイル・テプリンスキーが、ロシア軍ドニエプル部隊集団の指揮を自ら引き受けることになった可能性が高い。なお、彼はオレグ・マカレヴィッチ大将に代わって指揮をとることになる。この部隊集団はロシア占領下ヘルソン州を担当しており、そこにはドニプロ川東岸も含まれている。

最近の数週間、この地域での戦闘は激化しており、ウクライ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 30.10.2023

日本語訳:

国家から支援を受けているロシアの民間軍事会社(PMC)の一つが、ウクライナでの戦闘任務要員として、初めて女性を募兵しようと試みていることは明白だ。最近のソーシャル・メディア上の広告は女性新入隊員に、ロシアのPMCであるリダウトの一組織、ボルツ大隊に加わって、狙撃兵もしくは無人航空機操縦手として任務につくことを呼びかけている。リダウトは、ロシア軍情報総局から直接的に資金援助されている可

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 29.10.2023

日本語訳:

2023年10月中旬にロシア連邦教育科学省が大学に対して、ロシア国内の「政治的・経済的・社会的なマイナスの動向」に関してはそれが何であれ、開かれた議論を学術活動の際に行わないよう指示を出したと伝えられている。

この動向は、戦時下ロシアでの情報空間に対するさらなる規制の一つであり、情報空間で政治的テーマに関して開かれた議論を行うことはますます難しくなっている。もっと長い目で見ると、政

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 28.10.2023

日本語訳:

過去1週間、激しいが決定打の出ない戦闘が、ドネツィク州の都市アウジーウカ周辺で続いている。この地域でロシアは、2023年10月中頃に大規模な攻勢の実施を始めた。

おそらくロシアはこの地区にさまざまな旅団に所属する部隊を投入しており、その旅団数は最大で8個旅団であると考えられる。現在に至るまでの間に、2023年の高いロシア側死傷率の悪影響が一定程度、これらの部隊に及んでいる可能性は高

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 27.10.2023

日本語訳:

ロシア空軍の長距離航空隊(LRA)の重爆撃機は1カ月以上、ウクライナ領内に向けた空中発射型巡航ミサイル攻撃を実施しておらず、この戦争が始まってから最も長い中断期間になっている。

ロシアには利用可能なほかの攻撃手段があるとはいえ、敵側射程外からの長距離精密攻撃を行うための主たる手段は、これまでLRAであった。減少してしまったAS-23a“コディアック”[*注:Kh-101]巡航ミサイ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 26.10.2023

日本語訳:

いくつか示された最近の報告をロシアは公式に否定しているが、北朝鮮の弾薬類がロシア西部に位置する弾薬保管庫に今まさに届いているのはほぼ確実といえる。このような弾薬保管庫はウクライナにおけるロシアの軍事行動を支えている。

北朝鮮が軍事関連輸送を現在の規模とペース(直近の数週間で1,000以上のコンテナ)で持続していくならば、同国は、イランとベラルーシに並ぶ、ロシアにとって最も重要な軍需

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 25.10.2023

日本語訳:

ここ1週間、ドニプロ川下流域の河岸を巡る戦いが激化している。ウクライナはこの地区での作戦により高い優先順位を与えており、夏以降、ウクライナ制圧下にある東岸に複数の小さな橋頭堡を築いている。

12カ月前にロシアが西岸から撤退して以来、同国は渡河攻撃される可能性をずっと警戒してきた可能性が高い。以前この地域に展開していた部隊の一部がより東方のオリヒウ方面に移されたのち、新たに設立された

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 24.10.2023

日本語訳:

ロシアは、ウクライナでの局地的な攻勢作戦用に特化して編成された「シュトルムZ」部隊に、大きく依存し続いている。この中隊規模の部隊が初めて戦場に投入されたのは2022年であると思われる。現実的にみてありうる可能性として、そもそもロシアはこの部隊を、戦術的主導権の獲得を可能にする比較的精鋭といえる組織編制として思い描いていた可能性がある。

だが、遅くても2023年の春以降、シュトルムZ

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【和訳】英国国防相 ウクライナ情報 23.10.2023

【和訳】英国国防相 ウクライナ情報 23.10.2023

日本語訳:

ロシアの政府歳出は、ウクライナでの戦費にますます焦点があてられるようになっている。2024年の国家予算提案に占める国防費は、2023年に割り当てられた国防歳出予定費から、おおむね68%増になる見込みで、2024年国防費はGDPの約6%分の金額になる。これとは対照的に、教育と医療福祉への歳出は、2023年の割り当て分のままとなる予定だが、インフレを考慮に入れると、実際には歳出削減となる

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【和訳】英国国防相 ウクライナ情報 22.10.2023

【和訳】英国国防相 ウクライナ情報 22.10.2023

日本語訳:

アウジーウカでの最近のロシア軍による攻撃は、ウクライナ国防省記録のロシア側死傷者数が90%増になった要因になっている。

2022年2月以来、ロシアはウクライナの戦場における戦力の範囲をかなり大きく拡大しており、そのための手法は、金銭的な動機づけによる熱心な募兵活動と2022年秋に実施した部分動員である。この兵力増加は、占領地防衛と犠牲の大きな攻撃をロシアが遂行できる主たる背景要因で

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 21.10.2023

日本語訳:

2023年10月18日、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、ロシアが黒海東部で戦闘機による哨戒飛行の実施を開始する予定であることを発表した。これにはKh-47M2「キンジャール(短剣の意)」空中発射型巡航ミサイルを搭載したMiG-31I迎撃機が投入されるとのことだ。

地中海東部に展開する米海軍戦力がここ最近、急増したことを引き合いに出して、プーチンは行動の正当化をしたが、そこには

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 20.10.2023

日本語訳:

2023年10月17日にベルジャンシクとルハンシクの空港で、ロシア軍ヘリコプター複数機及び防空システムが攻撃された可能性が高い。現状、損害の程度ははっきりと分からないものの、ベルジャンシクではロシア軍ヘリコプター9機が、ルハンシクでは5機が、それぞれ破壊された可能性は高く、ウクライナ側の主張によると、米国が供与した長射程陸軍戦術ミサイル(ATACMS)がこの攻撃に初めて使用されたとい

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 19.10.2023

日本語訳:

2023年10月14日、ロシアのマラト・フスヌリン副首相は、2023年7月のウクライナによるクリミア橋への攻撃によって生じた損傷の修理が予定よりも早く終わったと発表した。完全に通行可能になったとはいえ、この橋の通行は依然として制限されている。その理由は、2022年10月のウクライナによる最初の攻撃を受けて制定された手続きのためだ。トラックは引き続きフェリーによって運ばれ、燃料供給もフ

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【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.10.2023

【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 18.10.2023

日本語訳:

過去2週間、クプヤンシク〜リマン軸におけるロシア軍の攻勢的な動きがかなり活発になっている。ロシア軍の砲撃が激しくなっており、ロシア第6・第25諸兵科連合軍と第1親衛戦車軍に属する部隊が攻撃を進めている。だが、その成果は限られている。

この動きが、ロシア軍が現在進めているウクライナ東部における複数軸からの攻勢の一部である可能性は極めて高い。クプヤンシク〜リマン攻勢軸に展開するロシア地

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