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ある日の日記よりー「日本語に主語はいらない」
日本語に主語はいらない。
私がこの事実に出逢ったのは、一冊の新書だった。
辰野和男『文章のみがき方』(岩波新書)
祖父の膨大な蔵書の山の中からタイトルに惹かれ手に取ったその本は、今までの自分の作文意識を大きく覆した。
美辞麗句で飾ることや巧妙な喩えをしてみせること、それ以前に文章というのは簡潔であることが重要だった。
伝えんとする情報が最短距離で読者に届く文章。そのために削るべきは重複表
「P」の記録_File10
File10:素敵なお坊さん
幼い頃、多くの人が警察官やケーキ屋さん、スーパーヒーローに憧れを抱いたのではないだろうか。大抵の場合、それくらいの年頃の夢としては「ケーキ屋さん」や「お花屋さん」のような見栄えのよいものを売る仕事や、「警察官」「スーパーヒーロー」のように正義の味方の代表格が選ばれる。きっと、①知名度②見た目もしくは心の美しさ、の2点が決め手なのだ。「消防士」「アイスクリーム屋さん」
「P」の記録_File9
File9:ハム
Pとの同居生活から離れ半年が過ぎた頃。私は自分の両親や友人よりも、Pとの方が頻繁に連絡を取り合っていた。そんなある日の一事件。
突如送られてきた一枚の写真には、小さなハツカネズミが写っていた。送り主は勿論、P。そのネズミは、何やら黒光りするまな板のような物の上で横向きに寝転ぶような体制をとりこちらを凝視している。
下に添えられていたのはたったのひと言
「俺のペット」
Pの
「P」の記録_File 7-8
File7:そっくりさん診断
同級生や後輩からは強面と恐れられている様だがPの顔は実は、美形である。彫りが深く、鼻筋が通っていて、口元は引き締まり、まつ毛も長く揃って上向きである。そして可愛いと言われる兄とも似ていない様で似ている。
ある日、そっくりさん診断という写真を判定するアプリで遊んでいた時のこと。撮った写真から似ている有名人を表示するという、なんだか根拠はよく分からないものである。
「P」の記録_File4-6
File4:ケジメ
Pがまだ物心ついたばかりの頃、自宅でPの兄の誕生日会があった。楽しくてはしゃいだPは、ハサミを両手で開閉しながら踊り回った。危険極まりない。最初で最後の犠牲者となったのは、Pの兄だった。Pは兄の指をハサミで切ってしまった。不幸中の幸い、切れ味が悪い子供用のハサミであったため、兄の指は切り離されることなく、元通りに治った。ちなみに兄はPに対して一切怒らなかったという。
Fil
「P」の記録_File 1-3
File1 :早起きは徳らしい
その日の私は早起きだった。ベランダでまだ日が昇り切らない薄暗い空を、ぼうっと眺めていた。おもむろに隣の窓が開きPが現れる。10階のベランダ、静寂に響き渡る放尿音、黄色く滲んでゆく干された衣類たち…
そういえば母親が「何度洗濯をしてもニオイが消えない」と嘆いていたような…
私という一人の目撃者によって彼女は、匂いの消えない衣類のために洗濯機を永久に回し続ける運命
黒 十一月某日、私の好きなものについて記事を書くという課題が出た 蜜
※個人の主観が強く反映された(5割程度の誇張・虚偽の表現を含む)文章につき、理解をもってお読みくださいますよう、お願い申し上げます。
失って、後
特別な理由はない。ただ、時節と私の気持ちが具合良く重なっただけである。それ以来というもの、絶えず側へ置いていたので愛着が湧いたという、たったそれだけのことだ。いつ失っても痛手などない。そう思っていた。
失って気づく大切さが、本当にあるとは。ものの一