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万城目学「八月の御所グランド」感想~「本当にあるかもよ。ここ、京都だし」~
伝説や怪談など不思議な話が数多くある、京都。
この世とあの世をつなぐ場所があるのも、京都。
京の雅さだけでなく、不思議な世界を覗きたいあなた。
朝ドラ「ブギウギ」を観てるなら、ヒロインスズ子が弟の六郎くんを思い歌った「大空の弟」に涙したあなた。
おすすめするは、本書。
ここ最近は、荒唐無稽なイメージ強い万城目作品だが、前作の「あの子とQ」に続く青春爽やかファンタジー&ノスタルジーさありです
片島麦子「未知生さん」感想~たおやかな未知生さんに会ってと、布教したい一冊~
本人は不在で、周りの語り手によって不在の本人像が明らかになっていく物語で思い出すのは、「桐島部活やめるってよ」「田村はまだか」かな...。
あっ!「横道世之介」も途中からそうだよね。
不在の人物を語ることによって、語り手の人物像も鮮明に浮かびあがり不在物語を面白くする。
考えると不在物語って好きな作品が多いな。
たぶん人間ドラマが濃くっていいんだよね。
今回読んだ本書も、好みの不在物語で面白
錦見映理子「恋愛の発酵と腐敗について」感想~泥沼恋愛話のようでいて、ツーンと酵母の香りがする爽快な一冊~
意図せずに女性の心を掴む、『天然たらし男』っていますよね。
自然な距離感、自然なボディタッチ、来るものは拒まず...。
・とろりとした蜂蜜を載せたスプーンを促され、自然に口にスプーンくわえさせられただけで、その日のうちに年下の男と寝てしまった女。
・男の舌が自分の指を舐めたときの感触を、思い出してみずにはいられない女。
あぁぁぁーーー!
天然たらし男に墜ちてしまった女たち(( ̄▽ ̄;;)ア、
金原ひとみ「腹を空かせた勇者ども」感想~娘とママのぶっ飛んだブルース~
『母と娘の物語』
優しくなれるほっこりしたお話もあれば、女同士だからこそ抱く感情は根深く複雑なお話もある。
金原さんが描く『母と娘』の物語は、今までも型にとらわれない恋愛や生き方をするぶっ飛んだ人たちの物語は知っていたが、こんな破壊力のある『母と娘』の物語ははじめてでぶっ飛んだ。
そんでもって一番ぶっ飛んだのは、生きづらさを抱えた常識に囚われない生き方をする人が主人公ではなく、なんと今回は、ど
朝井リョウ「何様」感想~それでは二人組を作ってください~
先週からはじまった秋ドラマ「いちばんすきな花」
男女間に友情は成立するのか...を軸に描かれるのかと思いきや、
二人組のむずかしさを問うドラマだと受け止めた。
二人組って特殊だよね。
私も苦手だったわ。
友達三人で出かけ、二人になる場合があるとすると、あの子たち二人の方が仲良しで、私はおまけ。
だから、私から先に一人でいいよ、と強調してしまう学生時代。
深く誰かと向き合うのが怖かったんだ
千早茜「マリエ」感想~等身大か、等身大ではないかはあなた次第~
今や3組に1組が離婚し、2020年国勢調査における男女の生涯未婚率(50歳時未婚率)は、男性28.3%、女性17.8%の時代。
離婚って失敗なのか?
結婚って何?
恋愛と結婚って別物?
本書で描かれる、おとなの女性の結婚と幸福をめぐる物語を読めば共感?それともしっくりこない?
意見が分かれそうな一冊だったかな。
<簡単あらすじ>
夫から「恋愛がしたい」と切り出され離婚した桐原まりえ40歳。