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姫野カオルコ「謎の毒親」感想~心の重荷を下ろしましょう~

たとえ黒いものでも父親が白と言えば白になる家庭だった。

父親に口答えしてはいけない暗黙のルールのようなものがあり、家の中の空気はピリピリしていた。

窮屈さから早く家を出たいと思っていたが、フツーの家庭だと信じて疑わなかった。
だって、飲食住困ることなく大学まで行かせてもらえたし、なによりテレビドラマでも、無口でワンマンで怒りっぽいお父さんはいたから、フツーだと信じて疑わなかったが...。

うちの父親は毒親だったのだろうか?

命の危険はなかった。けれどいちばん恐ろしい場所は〈我が家〉でした──。母の一周忌があった週末、光世は数十年ぶりに文容堂書店を訪れた。大学時代に通ったその書店には、当時と同じ店番の男性が。帰宅後、光世は店にいつも貼られていた「城北新報」宛に手紙を書く。幼い頃から繰り返された、両親の理解不能な罵倒、無視、接触について──。親という難題を抱える全ての人へ贈る相談小説。

姫野カオルコさんの作品をもっと読んでみたく、またタイトルも以前から気になっていたところ、前回読んだ「本棚には裏がある」で、著者の実体験を基づいて書かれた作品だと知り手に取る。

そこで、この本のタイトルにもなっている『毒親』とは、
・過干渉や暴言暴力などで子供を支配する「毒になる親」こと。

🏠🏠

主人公の意見は聞かず、自分たちの考えを押し付けてくる両親。
これは私の父と似てる。

でも、ここからは、謎としかいえない主人公両親の言動にびっくり!!
それも姫野さんの実体験とは!!

家はごみ屋敷で、母親の趣味は「なめくじ」を集めること?

両親と外食に出かけ、トイレに行っている間に置き去りにされ心細くて怖い思いをしたのに、勝手に出て行ったと怒鳴られる。

運動会のかけっこで一等賞を取って褒められるどころか、「くだらない」と一蹴される。

主人公が思春期になると、髪を洗っているのに、父親から臭いと罵倒され、夜中に母親から胸を揉まれる。

両親のたっての願いは、「男のようであること」「一生結婚しないこと」


謎、謎、謎---!!¿?(๑ºㅅº๑)¿?=㋻㋕㋶㋤㋑


謎の言動は受けたが、殴られたり蹴られたり、ということもなく学校にも行かせてもらったし、親のことを悪く言ってはいけないと心に秘め、誰にも相談することはなかったが、やっぱり腑に落ちない。

両親が亡くなったことで、相談してみよう。
人生相談という形で打ち明ける主人公。

寄り添ってくれる相談の解答が良き。
良き解答も読みどころだけど、誰かに相談したことで、親の呪縛という荷物を下ろすことができた主人公にこっちまでホッとした。

心の重荷の大きさは関係なく下ろすには、外に出す(語る)ことって大切なんだよな...と改めて思えた作品だった。


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