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古内一絵「百年の子」感想~学習雑誌からはじまった小学館をモデルし、母娘孫の三代にわたっての物語~

今では放送していない懐かしの学習雑誌CMで思い出すのはどれ?

♪まだかなまだかな学研のおばちゃんまだかなぁ~♪

『科学と学習』

お人形遊びよりも実験くんが好きだったので、こちらを定期購読してました。

付録が好きだったんだよね。


♪ピッカピッカの一年生♪

小学前の子供たちがカメラに向かって抱負を?語る。

「小学校に入ったら、もうケンカせんけんのう!」
友達の頭をバシっとしばく。
そして友達の一言がいいァ,、'`(*´∀`*),、'`'`,、
「きびしいのぉ~」

なんとも可愛いではないの(ˊ˘ˋ* )♡
そして幼きころから世間はきびしいのぉ~と、本能で察知してるところがよいねぇ~

こちらのCMの雑誌『小学一年生』は定期購読はしてなかったけど、やっぱり付録目当てで買ってもらっていた記憶があるわ。

そんな懐かしいの学習雑誌『小学一年生』って、小学館から出版されていたんだね( ..)φメモメモ

今回は、学習雑誌からはじまった小学館をモデルし、母娘孫の三代にわたっての物語。

舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。

孫の令和の時代と、祖母の昭和の時代の話が交互に描かれる。

戦争、抗争、虐待などを経た100年にわたる大河ドラマでもあり、出版社で働く女性の環境変化物語でもあった。

そこで頭に浮かんだのが、伊吹有喜「彼方の友へ」と、窪美澄「トリニティ」で、似たような出来事があったよね、と思い出しながら読んだ。

また、小学館をモデルにしてるので小学館の成り立ちについても触れることができたのが良き。

創業当時は児童向けの学年別学習雑誌から始まった会社で、進学できずに独学で学んできた初代社長が教科書の副読本という位置づけにするために、学年別の学習雑誌ができたそうだ。

本書ではあくまでもフィクションなので、名前は変えているが林芙美子の話や、手塚治虫の話も興味深かった。

手塚治虫は、自分が書いたネームのページから細かいコマ数までを、完璧に記憶していたそうな。

そりゃ、天才って語られるわけだ。


児童向けの学年誌100年の歴史が語られていくのだが、その中で誤ったこともあった。
黒歴史もちゃんと描いている。

「いまはおかしいことはおかしいと、誰でも指摘できる時代です。だから、指摘を受けて間違っていたと思えば、それを正していけばいいのではないでしょうか」(本文より)

人も働き方も変化しつづけるものだと、本書を読んで改めて思う一冊でもあった。

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