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伝説のつるぎ 大熊健司
2023年4月9日 00:40
痩せたい。それは人類共通の願望。痩せたい理由は人様々。好きなあの人に振り向いてほしいから。好きな人などいなくてもモテたいから。身体に支障をきたすレベルで太ってしまったから。ただ実直に、痩せたいから。理由などなんでもいい、皆痩せたという結論を手に入れたいのだ。気にしてないように見える人や、端から見れば痩せる必要がないように感じる人ですらそうなのであるから、これは本当に人類の永遠の謎である。特
2022年12月18日 00:15
打ち合わせと言えばあの喫茶店。それが二人の中での暗黙の了解、というか、もちろん実際に打ち合わせをするとなれば事前に約束はするわけだが、あの喫茶店で行うのが当たり前のことになっていた。しかし今日は違う。珍しく出版社内での打ち合わせであった。いくら人気作家の一人といえど、慣れない場所となればやはり緊張するもので、朱里のアドバイスで珍しく正装をした雨相は高層ビルを前に一度深く深呼吸をし、そしてゆっく
2022年12月11日 00:06
夕方前の喫茶店。少し慌ただしかったランチタイムも終わり、店の中には落ち着きと静寂が戻ってきた。いわゆる洒落た喫茶店と言えど、やはりランチタイムは書き入れ時。オシャレだからこそ、SNSで発信され、それを見てくる客も少なくない。ここは最低限の料理しか振舞っていなかったが、それでも、それこそがオシャレだと、たくさんの人で連日賑わうのだった。そんな喫茶店の一席に座る男が二人。この店の常連とても呼ぼう
2022年5月8日 09:52
都心から少し離れた、とある郊外の駅。 そんな郊外の駅前にあるファミリーレストランは、お昼時ということもあり、それなりには賑わっていたが、やはりベッドタウンということもあり、都心にあるファミリーレストランに比べればそれほどの賑わいではなかった。 そしてここに、二人掛けの席に座ってちらちらと扉の方を見る男が一人。 年は二十代半ばに見える彼は、若者らしい普通の格好をし、机の上には水の入ったコップ
2021年5月2日 02:08
今日は父親が早く帰ってきたこともあり、三人で食卓を囲んでいた。「最近魚料理が多いよね。」 何気なく俺がそうこぼすと二人が露骨に固まったのが分かった。「いや別にいいんだけどね……」 何かただならぬ気配を感じた俺は静かに食事を続けることにした。 ついさっきまで両親ののろけた会話が食卓を飛び交っていたのが嘘のように、会話一つない水を打ったような静けさ。 その静寂を破ったのは父親が茶碗を強く