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じゃんけんぽん。

何十年も前の田舎だと子供達は地域全体で育て教育していき、家族や親戚だけでなく、近隣の住民同士で支え合いながら子供達を守っていく環境ができていたように感じる。

自分が住んでいる長野でさえそんな環境はもうなくなりつつあり、ジジババと暮らさず離れている家族は多く、ましてや隣のおばちゃんが子どもの面倒を見てくれるなんて環境はあまり聞いた事がない。それでも長野市はまだ田舎の文化が残っているし、山の方は過疎化こそ進んでいるが、家族と地域が一体となってとても穏やかな暮らしをしている所もある。そして我々家族は長野の山の方ではないので、環境はどちらかといえば前者に近い。

そんな現代社会の中、僕と息子がよく利用させていただく施設がある、その名も「じゃんけんぽん」。NPO法人ながのこどもの城いきいきプロジェクトが運営する無料で遊べるとてもありがたい広場。場所は長野の街のど真ん中に位置するので、色々な地域の家族が集まり、比較的マンションなどに住んでいる家族が来ている様に感じる。

今のような夏休みの時期になるとボランティアで学生さん達がいて、子供達と一緒に遊んでくれる。有料で遊べるPlaygroundを仕事で作っている自分からすると、本当にありがたく、若いのになんて素晴らしい学生さん達なのだろうと涙が出そうになる。おそらく将来保育士を目指しているのか、それともただ単に善意で働いてくれてるのか、いずれにせよその年の頃の自分と比較すると本当に立派だと思う。

そこでふと思った、街中全体の環境をこのじゃんけんぽんをヒントにデザイン思考で変えていくことができれば、人と人そして家族と家族が自然と集まりそこに必要な物が集約でき、街はもっと活性化できるのではと。よくあるレストランの中にある遊び場ではなく、自分が作っているような遊び場がメインの売り場でもない、サードプレイスの様な人を限定しない自然と集まれる大きな広場。

それって商業施設の環境デザインじゃない?って思ったりもするんだけど、それだとちょっと違う。商売商売しすぎていない、どちらかというとLondonにあるSpitalfields Marketに近いもっと力の抜けた感じの環境。

SpitalfieldsやBrick LaneなどのEast Londonは今となってはかなり観光地化されてしまっているので地元密着型ではないのかもしれないが、最近見る最新の施設環境デザインはここら辺の物を参考にしている様に感じ、少し前にできた日比谷 ミッドタウンにあるHibiya Central Marketは日本の昭和感や文化をうまく取り入れ海外のMarket環境に落とし込んだ、逆に海外から見ても新しく感じるとても優れたデザインだと思う。

先にも書いた様に、商売しすぎていないもっともっといい感じで力の抜けた環境が地方には必要で、地元の人々と文化が集まりそこに外国人などが集まる要素があると、自然と日本の若い世代も集まり、そして家族連れやお年寄りもこれる優しい空間があり、街全体が活性化されるそんな文化的環境が将来できるといいなと妄想しながら、じゃんけんぽんを後にした。

ありがとう、じゃんけんぽん。


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