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アメリカの絵本#4「When God Made You」
■アメリカの絵本をとおしてアメリカを知る■
初出:週刊読書人 2017年7月28日号
When God Made You
著:Matthew Paul Turner著
画:David Catrow
『When God Made You』(神さまがあなたをお創りになった時)に登場するのは、溢れんばかりの絵の才能を持つ幼い少女と神。少女に名前はなく、絵本の語り手は少女を「You」と呼び、なぜ「G
American Picture Book Review #3 『ブルースカイ ホワイトスターズ』
■アメリカの絵本をとおしてアメリカを知る■
初出:週刊読書人 2017/6/30号
Blue Sky White Stars
著:Sarvinder Naberhaus
画:Kadir Nelson
7月4日はアメリカ独立記念日。全米に星条旗が翻る日だ。旗だけではない。多くの人が庭や公園でBBQを楽しむが、プラスチックのコップやビニールのテーブルクロスといった小物やTシャツまでが星条旗カラー
American Picture Book Review #2 『シェイズ・オブ・ブラック』
■アメリカの絵本をとおしてアメリカを知る■
初出:週刊読書人 2017/6/2号
SHADES of BLACK - A Celebration of Our Children
著:Sandra L. Pinkney
写真:Myles C. Pinkney
先日、日本では都立高校の『地毛証明書』が物議を醸したが、アメリカには存在し得ないものだ。ありとあらゆる人種民族の混合国家ゆえに髪も文字
American Picture Book Review #1 「カボチャとパンツスーツ」
■アメリカの絵本をとおしてアメリカ社会を知る■
初出:週刊読書人 2017/5/5号
The Pumpkin and The Pantsuit
著:Todd Eisner他
画:The Studio
『The Pumpkin and The Pantsuit』(カボチャとパンツスーツ)は、アメリカの子供たちが昨年の大統領選のドタバタ劇を通して選挙の仕組みと民主主義を学べる絵本だ。出版の動機
オバマ元大統領:演説で4,000万円を稼ぎ、若者支援に2億円を寄付~ヒューマン・バラク・オバマ第16回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
8年間の任期を終えたオバマ元大統領は南洋のパラダイスでのバケーションを存分に堪能し、その後はワシントンD.C.のギャラリーやマンハッタンのレストランに「GQマガジンのモデル」のような出で立ちで現れては、トランプ政権に打ちのめされているアメリカ人民にひと時の幻想を与えた。バラクとミシェルの笑顔を見ると、つい、「あぁ!なんだか良
オバマ大統領が書いた「絵本」〜『きみたちにおくるうた―むすめたちへの手紙』 ~ヒューマン・バラク・オバマ第15回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
バラク・オバマは大統領時代に絵本を一冊出版している。大統領となった翌年、2010年に出された『of THEE I SING - A Letter to My Daughters』だ。(日本語版『きみたちにおくるうた―むすめたちへの手紙』)
(注:以下、英語版を元に書いていますが、いわゆるネタバレとなります)
2人の娘、
オバマ大統領は私にも「同胞なるアメリカ人」と呼びかけた。~ヒューマン・バラク・オバマ第14回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
オバマ前大統領は演説の最初によく聴衆に向って「My fellow Americans,」と呼びかけた。fellow は「同胞の」「仲間の」といった意味を持つ。つまり「私の同胞たるアメリカ人の皆さん」。
多種多様な人々で構成され、米国籍を持たない人も多いアメリカ。オバマ大統領の言う「アメリカ人」とは、いったい誰を指すのだろ
黒人の子どもにオバマ大統領が必要だった理由~ヒューマン・バラク・オバマ第11回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
オバマ大統領が無類の子ども好きなことはよく知られている。
ホワイトハウスにはピート・ソウザという専属フォトグラファーがいて、ホワイトハウス内はもちろん、オバマ大統領が行くところどこでも同行し、大量の写真を撮ってはホワイトハウス公式ウエブサイトや公式インスタグラムにアップしている。各メディアもソウザ氏の写真を使うことが多い
ミシェル・オバマを「サル」~メディアを読まない医師・教師・町長 ~ヒューマン・バラク・オバマ第10回
2017/1/1
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
「ヒューマン・バラク・オバマ」シリーズの一環として、今回はミシェル・オバマの人生について書くつもりだった。ファーストレディとなる前は錚々たるビジネス・キャリアを築き、ホワイトハウス入り後は外交的でフレンドリーなキャラクターを披露し、数々の重要な社会貢献を行い、同時にファッション・アイコンにもなったミシェル
マイ・ブラザーズ・キーパー ~ 黒人少年の未来のために:ヒューマン・バラク・オバマ第9回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
今から2年前、オバマ大統領は「マイ・ブラザーズ・キーパー」と名付けたプロジェクトを立ち上げた。"my brother's keeper" とは聖書の創世記にあるカインとアベル兄弟の物語からの言葉で、今では「同胞や同志を見守る者」の意味で使われている。その名のとおり、このプロジェクトの目的は教育や就職で不利な立場にある黒人とラテ
不当長期刑のドラッグディーラー1,300人を恩赦~法の不平等を正す~ヒューマン・バラク・オバマ第8回
■人間としてのバラク・オバマと、彼がアメリカに与えた影響を描く連載■
先週の金曜日。オバマ大統領は冬の休暇で故郷ハワイに赴く前に、153人の刑務所収監者に恩赦/減刑を与えた。これで累計1,324人となる。うち395人 は終身刑だった。すでに過去11人の大統領が与えた恩赦の合計数を上回っている。
オバマ大統領の大量恩赦はアメリカが長年格闘してきた「ドラッグ戦争」に基ずく。ドラッグ戦争の「解決