494.不動産を売るのをやめた、不動産屋の社長さんのお話
coucouさんのお仕事論⑯
1.不動産を売らない不動産屋の社長のお話
「私は不動産屋ですが、不動産を売りません!」
こんな社長がいた。
現在も現役の83歳だ。
coucouさんが初めて出会ってから数十年過ぎたけれど、あいかわらずパワフルに活動している老人なんだ。
初めて会い名刺を頂いたとき、その名刺は自分の名前だけで会社名などがない…。
coucouさんは不思議に思い、
「不動産のお仕事をしているのに、不動産業の肩書きも会社名もありませんが、どうしてなのですか?」と質問した。
すると、「どうして会社名や肩書が必要なのですか?」と、逆に質問されてしまった。だって、名刺には必ず会社名や肩書が入っているものだもんね。
coucouさんは、何も答えられないまま、もう一度質問をした。
「社長、それでは社長に何かを頼む人は、何を頼んだらいいのかわからないではないですか?」
すると、
「むしろ、皆さんは私に何を頼みたいのですかね?」
「coucouさんは、それがとても不思議なことですので、それを教えてもらいたいのです…」
若造のcoucouさんの質問が愚問なのか、あまりにも低レベル内容なのか、つまらない失礼な質問なのか、社長は両腕を組みながら静かに答えた。
「私はね、何かを売るとか、買うとか、売らなければならないなどと考えたことがないのですよ。ただの売り買いならば売れるモノを売ればいいわけで、それだけではつまらない。確かに、私は不動産の宅地建物の免許を持っていますが、だからといって不動産屋をしなければならないということはありません。例えですが、商売ですから、魚や野菜を売ってもかまいませんね。私が売りたいものは環境、お年寄りから子どもたちが住みやすい環境をつくりたいのです」
「環境を売るのですか?」
「環境というものは、そう簡単に手に入るものではありませんね。特に美味しい空気、晴れ渡る青空、山々の大自然、紅葉が美しく、四季を感じられる環境、そう、新たに開発をするのではなく、そこにある自然の風景を大切にした環境を販売しているのです。そこに居住空間は大切なことですが、八百屋さんや魚屋さんもパン屋さんなどの生活必需品等の施設、幼稚園、小学校、道路や交通の便などを考えた街づくりが私のしている環境の仕事です」
「何かとてつもなく規模の大きい、土地開発のようなお仕事なのでしょうか?」
「いや、土地開発というと山を削ったり、自然を破壊してしまいますが、私の考える環境の仕事は、一切の景観を壊さずに現況を利用した街づくり、環境づくりの仕事です。私はそのために地域住民の方々、行政の方々との折衝を中心として、特に地域住民の声を聞き、それを反映するためのお手伝いをしているだけです。私は、ただ不動産を売るという不動産屋にはなりたくありません。あくまでも地域住民の声を聞き、行政や不動産業、建築ディベロッパーができないアイデア(企画)を販売しているのです。ですから、不動産の売買はしていません。東京都及び東京都近郊にはまだまだ素晴らしい四季を感じられる環境が存在しており、私は日々、現地で妄想をしているだけですよ!」
確かに、そうですね。
不動産屋が不動産を販売しない、
建築屋が建築を売らない、
洋服屋が洋服を売らない、
八百屋さんは野菜や果物を売るだけでなく、買い物客が望んでいること、必要としていることを売ればいいんだね~
私たちはとかく目先の利益や売り上げに固執してしまうようだけれど、モノを売るのではなく、その人の必要としているモノを考えて売ればいいんだよね。
coucouさんはね、この言葉を聞いて、その晩は興奮して眠れなかったんだ。
2.私はね、その人に人生を売っているんだよ~
「ところで、coucouさん、あんたは何を売っているんだい!」
「えっ~……」
coucouさんは一瞬、何も答えられなかった…。
どうしてって?
coucouさんも何でも屋なんだけれど、具体的にと言われたらすぐさま答えることが出来なかったんだ。
よく、子どもたちに「お父さんって何をしている人なの?学校の先生や友だちにはなんて言ったらいいのかな?」と質問されたときのことを想い出した…。
たしか、そのとき「フリーター」なんて言えないので「自営業なんだよ~」と答えたけれど、子どもたちにもちゃんとした説明ができていなかった…。
この83歳の老人は、やがてcoucouさんのマスターとなった。
「いいかい、私はね、不動産屋だけれども不動産なんて売る気はないよ!どうして、建築屋は建築を売り、八百屋が野菜や果物を売り、ラーメン屋はラーメンを売るんだい。洋服屋だって洋服以外を売ったってかまわないし、写真屋がケーキを売ったって罰(ばち)なんて当たらないだろう。私から見れはその方が不思議だね~」
coucouさんはね、この社長の言葉によって仕事の幅が広がり、今までの固定観念がすべて消え去ったんだ。素晴らしいcoucouさんのマスターを見つけた。
これが現在でもcoucouさんの考え方の根幹となっているんだ。
写真屋さんがお饅頭を売る、という発想。
coucouさんはね、今の仕事のほとんどに実践しているんだ。
567に大不況、円安に物資の高騰、材料の値上がり、物が売れない時代。
そう、お店の場合は、必ず「売り場がある」。
売れなければ売れるものを置けばいいし、お客様が喜ぶもの、必要とするものならば商品を決めつける必要がない。
最近は蔦屋がビデオ屋、本だけでなく飲食店や、食品の販売を展開するようになった。そう、お客さんの必要とするものを「売り場」に陳列するという「業態の変化」を取り入れている。
居酒屋だって焼肉に力を入れたり、喫茶店だって店販に力を入れ始め洋服の販売などを行うようになった。
そう、何もこだわる必要がないよね。
coucouさんは、彼の言葉を忘れないようにメモを書き続けた…。
「coucouさん、環境って何だと思う!環境ってたくさんの人が生活していくための整備に近いのだけれど、人が生きていく「生活」や「仕事」の場だよね。そして、快適に暮らすためには、その人たちに喜ばれて、その人たちが幸せになることだ。つまりね、すべての人たちの人生の場ともいえるものだと思わないかい!ならば、私の仕事はね、人生を売る仕事なんだよ!」
う~ん~
「人生を売る…」凄い言葉だ~
そう、お店だってただモノを売る場所じゃあないよね。
その人の必要としている生活、人生の一部を販売しているんだものね。
車屋さんだって、車を売るんじゃあなくて、生活、人生を売っている。家も同じ、その人の生活、人生を売っている。
coucouさんはね、しばらくショック状態に落ちた~
そう、眼から鱗が取れるってこんなことを言うんだよね。
3.不動産など売る必要なんてない。
coucouさんはマスターの仕事内容に突っ込んで見た。
「現在ね、私のライフワークとして人生をつくる環境の大きな仕事をしている。あと数年で完成する(高速インターから近い)。それはね、ある大手デベロッパーさんに山を購入させた。ただし、一切の山の景観を崩さない条件でね。そして、そこに大型の物流センターを建設する(大手16社が参入)。輸入品ではなく地元の材木を使い、この美しい山のイメージに合わせたようなロッジ風の建物にした。もちろん、ただの物流センターなんて味気ない。だから、そこには、一般の人たちの買い物や、飲食店、家族連れでも楽しめるミユージアムを入れてた収益部分を確保して、そこに約1万人の雇用を考える。当然、その周辺には働きさんたちの住まいとして、住宅地(戸建て、アパート、マンション)が必要となる。そして、山の下にも商店や商業施設を計画する。もちろん、道路や環境設備、景観やイメージを損ねない街となる…」
(2025年~2026年度に完成予定)
なんと、凄すぎる話だ~
彼は人生を、生活を売るという仕事を一銭も使わずに「人生」を創る仕事だ。そうなんだ~
不動産など売る必要なんてないんだ~
4.coucouさんには、こんなマネはできない~
coucouさんには、こんなマネはできない~
でもね、マネごとはできる~
いつものようにcoucouさんのペースで小さなお店や、小さな会社にすべて実践できるノウハウなんだもの~
ねえ、みんな~
どう思った~
どう、感じた~
考えて見たらね、noteのクリエイターさんたちもその人の生活や仕事、人生を売っているんだよね。
そして、みんなのnoteを読む人たちも、自分の生活や仕事、人生に活かしていることがわかる~
最後にマスターはcoucouさんにこんな話をした~
「coucouさん、マネなんていらないよ。だけどマネごとはできる。仕事も生活も、家族も、兄弟姉妹、友だち、知人、今付き合っている全部の人たちと人生を共にしているってことがわかるよな!なかには、意地悪な人もいる、嫌いな人もいる、だが、好きな人たちだっていて、この人生は成り立っていることがわかるはず。誰も欠けてはならないんだよな~」
いや~
凄い、素晴らしい言葉~
coucouさんはね、かなり儲かった気がした…。
「coucouさん、しあわせの基本はね、その人を幸せにしてあげようという気持ちの中にしかないんだよ!」
もう、何にもいえない~
現在のcoucouさんはね、
「note作家」と勝手につけた肩書以外何もない…。
coucouさんでした~
みんなあ~
ごきげんよう~
ここまで読んでくれて、ありがたき~
とってもうれしき~
また、あしたね~
今日も元気に、素敵な一日をお迎えくださいね~
coucouさんのホームページだよ~みてね~
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