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【感想】ナイルパーチの女子会

お疲れ様です。あなたには大事な人はいますか?
ついこんなことを問いかけてしまいたくなりました。

柚木麻子さんによる『ナイルパーチの女子会』を読了したので、今回はその感想を述べようと思います。感想といっても、本の内容についてはあまり触れるつもりはありません。本書を読んで、感じたこと、考えたことがいくつかあるのでそのお話をします。

※それでも念のため、ネタバレをされたくない方は、読むのはご注意ください。


ナイルパーチの女子会

怖かった。ホラー小説ではありません。三十代である数人の女性の視点によって物語は進みます。話をする前に、参考までに貼っておきます。私は単行本で読みました。


調べて知ったんですけれど、これ土曜ドラマで、ドラマ化されていたんですね。そうなんだ。

さて私は何を怖いと思ったのだろう。私が怖いと思ったのは、この本の中でも大きな割合を占めているであろう志村栄利子だけではない。全てが怖かった。全て、という言葉を使用すると、どうしても曖昧になってしまうかもしれない。だけれど、この本自体が、私には怖くて、できれば触れたくはない世界であった。


繋がりって何ですか


友達って何だろう、と考えるよりも私は、繋がりって何だろうと思いました。繋がりの程度は相手や関係性や深さや環境など条件によってまちまちだと思う。本書では女同士の繋がりを中心に描かれることが多かったが、繋がりに男も女も関係ない。

関係性ってなんだろう。家族、夫婦、兄弟、友達、恋人、セフレ、その他色々あるかもしれない。中には名前をつけることのできない関係性だってある。その中に繋がりはあるのか。先に関係性があって、そのあとに繋がりがあるのか。繋がりが先にあって、その繋がりに名前をつけたものが関係性となって現れるのか。

例えば、家族なら、母親から生まれてきた子どもは血の繋がりがあるから、家族だと呼べるかもしれない。けれど、たとえ血は繋がっていなくても、養子縁組などに限らず、家族という関係性もあるだろう。

恋人はどうか。恋人を繋ぎとめるものは何だろう。相手を好きだと思う気持ちでできているのか。そもそも、好きという感情は定義して容易に説明できるものではない。相手を大事に思う気持ち。それが恋人を繋いでいるのだろうか。たとえ、セックスレスやまたは浮気をされていたとしても、お互いに恋人でありたいと思うからこそ、恋人でいられるのだろうか。

セフレはどうだろう。セックスフレンド。身体だけの関係なのだろうか。そこには肉体的な繋がりしか存在しないのか。親しくなれば、ただ身体しか見ていなかったのが、相談までするような仲に発展することもあるかもしれない。一方が好意を持ったことにより、簡単に関係は崩れてしまうかもしれない。


そうなると、繋がりとは、簡単に作れて、簡単に壊れてしまうものなのだろうか。そもそもなぜ私たちは繋がっていると認識することができるのだろう。

よく、ネットで繋がるという表現をすることがある。誰かの連絡先を持っていて、ネット上でやり取りをするだけで、繋がりは生まれるのだろうか。そして、何かがきっかけで縁を切ろうとして連絡先を削除したとき、一緒に繋がりは消えてしまうのだろうか。


生まれてから、私たちは繋がりを繰り返している。それは時間の経過とともに、変容していく。ただそこの中心が自分であることには変わりはない。これは、誰の中にも存在している概念だと思う。


中には繋がりに固執しまうあまり、言葉や力、脅迫などで相手をコントロールしようとする。または、ストーカーとなり相手に付きまとう。というような事態にまで発展してしまうこともある。


繋がりって、私たちが生きる上で必要なのだろうか。日々口にしている食べ物でできあがっている人間がほとんどだろう。そこには、食べ物を作る人と消費する人、更にその裏には沢山の繋がりが存在している。

だから、私たちから繋がりをなくすことはできない。


では、関係性による繋がりはどうだろうか。仮に恋人を例に挙げてみよう。酷なことを言うようだが、めでたく恋人になれたとして、それが何年も続く保証はどこにあるのだろうか。繋がりは放っておいても、それが永続するという保証はない。皆、どこかで繋がりを維持するために、努力をしている。

繋がりを失うことは悲しく、辛いことなのだろうか。きっとそれが大事な人との繋がりであった場合、心に重大なダメージを負うことも考えられる。なのに、なぜ私たちは繋がりを求め、大事にしているのか。その先で繋がりを失って傷づくなら初めからその繋がりなんてなければいい。そう思っていた。


だけれど、それはちょっと違うなと思った。繋がりがどうとかは問題ではない。そもそも先に繋がりというものに注目する人は少ないのだろう。相手のことを想う気持ち、大事に感じるその思いが、繋がりを生み出しているのだと、私はそう思いたい。繋がりではない。大事に思う気持ちを抱けること、そしてその思いを向ける相手がいること、それが幸せなことなのかな、とそう考えた日でした。



ここまで読んで下さりありがとうございました。では、また。


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