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【映画感想】ホールドオーバーズ~置いてけぼりのホリデイ~
※ネタバレ注意
傷ついた孤独者たちが寄り添い合う群像劇ではあるが、決して湿っぽくならず、各々が互いに寄りかかりあうことはない。その絶妙な距離感がなんとも心地よい。
映画全体の作りが丁寧で上質。1970年のボストンが舞台となっているが、映像の色合いや音楽のセンス、舞台の細部にわたるまで再現度、没入度が非常に高い。特に物語序盤の年末の雰囲気、日本でいう師走の如く慌ただしさを漂わせながらも、浮足
【映画感想】アイアンクロー
※ネタバレ注意※
事実は小説より奇なり……これが史実を基にしたとは思えないほどに、悲劇的な物語である。尚、実際は更にもう一人兄弟がおり、同様に悲惨な末路を辿っているというのだから、本作はどちらかというとマイルドな内容になっているのかもしれない。
始めに書いておくが、ぼくはプロレスに全く明るくない。アイアンクローという必殺技もなんとなく耳にしたことがある程度で、フリッツ・フォン・エリックの
【映画感想】パレード
※ネタバレ注意※
特に前情報を入れずに、ネットフリックスで視聴。
毎回、Netflixプレゼンツでは思うことだけど、とにかく画が綺麗だなと。
セットや映像にお金がかけられてるのが良くわかるし、本作についてはセンスも良いと思った。主要メンバーが集う集会所は、現実とファンタジーの境目を漂っているような幻想的な佇まい。廃観覧車もバーカウンターも映画館もぼくのツボに刺さった。これらのセットがエンデ
【映画感想】ラバー、ストーカー、キラー
※ネタバレ注意※
Netflixのドキュメンタリーは良質なものが多いので、期待しつつ視聴。それを裏切られることなく、ドキュメンタリーであるのに映像は美麗で凝っており、流石といったところ。また、テンポ、リズムが素晴らしいと感じた。インタビュー、再現ドラマ、当時の映像が交互に淀みなく流れ、それにDM着信を模したピコン!がアクセントになっている。
前半部分はマッチングアプリを発端に整備士であるデ
【映画感想】マエストロ その音楽と愛と~その才の代償~
※ネタバレ注意※
Netflixで視聴。
これまであまり伝記映画を観たことがなく、音楽にも疎い。本作のレナード・バーンスタインも申し訳ないが存じ上げなかった。さてどう楽しもうかと思索しながら視聴開始。恐らくバーンスタイン氏と思われる老人のインタビューから幕を開け、彼の記憶を辿る様に時代は過去へとワープし、モノクロの世界へ。
途中までは一人の男の成功を描いた平坦な伝記映画かと失礼ながら肩
【映画感想】PERFECT DAYS ~木漏れ日に揺れる~
年明けから素晴らしい映画に出逢ってしまった。
大きな事件も事故も起こらないのに、一瞬たりとも画面から目が離せなかった。平山の日常は”映画にありがち”な派手なものではないけれど、平穏でもなければ、つまらないことも決してない。とても尊く、そして美しく彩られた日々。
特筆すべきは、彼が生きる世界はパリでもニューヨークでもサハラ砂漠でもアマゾンの奥地でもない、日本の東京の下町だ。これは、当然ながら東
【映画感想】ザ・キラー
※ネタバレ注意※
面白い、こういう殺し屋映画もあるのか。
全編通してマイケル・ファスベンダー扮するクリスチャン/ザ・キラーに焦点を当てて描かれる、殺し屋ドキュメンタリー、殺し屋密着24時である。
まず開幕の独白部分から異色を放っている。一般に、殺し屋と言えば自分を曝け出すことなく淡々と任務を遂行する、そんなイメージがあるが、果たしてそれは本当だろうか?
殺し屋だって一人の人間である。
【映画感想】ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語
※ネタバレ注意※
Netflixで視聴。
ウェス・アンダーソンはアステロイド・シティで初めて出逢い、その独特で浮世離れした作風に驚かされた。淡いパステルカラーな色彩設計、観客を置いてけぼりにするようなスピード感、現実と虚構をふらふらする寄る辺なさ。慣れるまではやや抵抗感があったものの、そのお洒落で先鋭的な絵と、「よく分からなさ」がくすぐってくる探求心がなんとも癖になった。
二作目ながら、
【映画感想】まなみ100%
※ネタバレ注意※
良い意味で予想を裏切ってくれる映画だった。序盤は感情移入しにくい主人公の”ボク”に当惑させられながらも、観ている内に、そして観終わってからもじわじわと湧き上がってくる感情に……響いちゃったなぁ。
男女で感想というか評価が分かれる映画かも?とは思う。それはやっぱり主人公であるボク目線で話が進んでいき、このボクは万人に愛される好青年では決してないから。まなみちゃんに幾度となく
【映画感想】モンキーキング
タイトルの『モンキーキング』は孫悟空の英訳ということで、日本語のタイトルをつけるとするなら『孫悟空』となるのだろうか。内容としては西遊記の前日譚であり、孫悟空がお釈迦様に幽閉されるまでの顛末を描く。(ぼくはこれまで西遊記にあまり触れてこなかったので、エンディングまで見て理解したが…)。3Dアニメとしての映像は美麗で、迫力もあって純粋に格好良い。突然2Dアニメが挟み込まれるのは、ぼくが大好きなアニ
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