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《小説》青空の道しるべ
いつからだろうな。男らしさなんて気にするようになったのは。小学校の頃は何も考えずに毎日楽しく遊んでいた。ブランコに乗って靴を飛ばしたり、消しゴムに画びょうを刺したり、教科書に落書きしたり、まあバカだったよな。女の子の方がまじめでしっかりしていて、学級委員とか放送委員とか、大事な仕事は大体女の子がやっていた。男なんて掃除もまじめにやらないし、女の子には勝てないって思っていたんだ。
何か違うって
《長詩》アスファルトに描く夢
私には、
選ぶ権利はなかった。
それは生まれる前から決まっていた。
女の子が生まれると知って、
母は喜んだようだ。
子供の頃は、
髪を長く伸ばして、
赤いランドセルを背負った。
長く伸びた髪が目に入って、
はさみで切ったら、
母にひどく怒られた。
私の体は男と違うらしい。
少しずつ、そんなことに気づき始めた。
中学校に上がってから、
片頭痛に悩まされるようになった。
月に一度、猛烈に機嫌が悪い
《詩》はじまりとおわりのうた
1
昭和20年8月15日
戦争が終わった
嘘だって私は思った
4年間も続いて何万人もの人を殺した戦争が
あのラジオのパチパチした音で終わるなんて
そんなことあるはずないって思った
でももしそれが本当だったなら
もっと早く終わってほしかったな
私のお父さんがフィリピンで死んじゃう前に
私がラジオをパチパチ鳴らして
戦争を終わらせたかったな
2
私は真っ赤な服が好きだ
お父さんが買ってくれた真っ