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TOKYO2020が遺したもの

今日(9/5)東京パラリンピックが閉幕しました。

これにより、東京オリンピック(7/23~8/8)&東京パラリンピック(8/24~9/5)すべてのプログラムが終了しました。

1年延期となった「TOKYO2020」。TOKYO2020は一体何をのこしたのか。TOKYO2020最終日の今日はそれについて考えていきたいと思います。

1.苦境の中でのアスリートのひたむきさ

コロナ禍でのTOKYO2020。その中で競技を行ったアスリートの皆さんはいい成績が残せたということよりも先に「競技を開催することができたことに感謝する」という気持ちが先にありました。日本選手団のインタビューでもメダル獲得の喜びとともにオリパラ開催への感謝を話す方が多く、今までにはないインタビューでした。

世界の一部の人からはコロナ拡大の中での開催に反対する立場を取り、選手に対しても差別的な扱いをする人もいました。しかし選手はそれでも自分の可能性を信じ協議に対してひたむきに取り組んできたことが伝わってきました。その気持ちはTVを通して世界に伝わったのではないでしょうか。世論調査でもオリパラそれぞれ「開催してよかったと思う」と答えた人が半数以上(オリンピック:62.9% パラリンピック:69.8% いずれも共同通信の調査結果)

アスリートの皆さんにはお疲れさまと申し上げたいと思います!

2.日本における性差別と多様性のアップデートの必要性

2013年の東京開催決定からこれまでにオリパラ(特にオリンピック)において様々な問題が浮上しました。その中で今年はそれが噴出しました。

まずは性差別。2月の森喜朗氏による女性蔑視発言は、組織のトップがまだ女性に対して卑下するような姿勢であることが、世界に対して日本の性差別の存在を知らしめた結果になりました。また辞任に際しての謝罪会見でも「自分は何も悪いことはしていないけどとりあえず謝っている」ような風貌で臨んでいたことからも、日本人(特に男性・高齢者)の価値観が世界標準にアップデートされていないことが分かりました。

また多様性に反するような出来事もありました。小山田圭吾氏が過去にいじめをしていたという約25年前のインタビュー記事に対して謝罪はしたものの、オリンピックの活動に関わり続けようとしたことに対してかなりの批判を浴びました。「過去のことだからそんなに言わなくてもいいのでは」と擁護する論調もありましたが、ほとんどの人からすれば「いまそういう性格でないとしても、過去にそういったことをした人は多様性を重視する場所からは退場すべきだ」というのが大勢を占めていました。
いじめていた人はそのことをすぐに忘れるけど、いじめられた人はいつまでもその傷が残ります。またいじめ経験を自慢するかのような過去の発言も、現在からすれば社会的弱者への差別を助長しかねません。
多様性と調和を重視するオリンピック・パラリンピックという国際イベントにおいて、日本の基準(謝罪をすればOK)は通用しないことが分かりました。

このほかにも様々な問題が浮かび上がりましたが、すべて記述するときキリがないので(それだけ問題がありすぎた)記述はしませんが、いずれも日本の価値観は世界と比較して古いままであるということです。TOKYO2020を通じて世界と同じレベルまでアップデートさせる取り組みを官民問わず行うべきだと思います。

3.組織のガバナンスりょく

TOKYO2020の中で、組織のガバナンスりょくも問われてきました。上記した森氏や小山田氏の処遇の際にも、外部の意見を聞かず内輪で決めようとしたことが却ってことを大きくさせてきました。また会場での観客の受け入れについて、日本政府は分科会から無観客開催を提言されても当初は遊間客にこだわっていました。しかし、東京に緊急事態宣言が発出されると一転して無観客を決定しました。政府という組織の中で確固とした意志がなかったためにこうした事態が起きてしまったのです。

その場しのぎで乗り切ろうとする姿勢こそ、まずガバナンスりょくの欠如を現しています。組織の中で計画的な管理・統治を行い、確固とした方向性を共有することで、課題に対して真摯に取り組むことができると思います。組織委員会や政府の姿勢は身近な組織において反面教師になったのではないでしょうか。

4.コロナ対策の限界

そして最ものこしたものは、「コロナ対策をしながらの国際イベントの開催」です。史上初となるオリパラの1年延期、そして開催期間中でもコロナの感染拡大が続いていました。そんな中での開催は神経を使うことばかりでした。残念ながら期間中において、選手含む大会関係者で感染者が発生してしまいましたが、ボランティアの皆さんの消毒作業などのおかげもあって大規模クラスターの発生もなく、すべてのプログラムを終えることができました。

もちろん、外国からの入国における水際対策・選手の行動管理などに課題は残りましたが、2022年の北京冬季オリンピックや2024年のパリ夏季オリンピックに引き継がれていくことだと思います。特にパリは夏季で規模が大きいため3年後とはいえ何かしらの対策が必要だと推測されます。

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夢物語は幻に・・・

コロナ前であれば、世界中からたくさんの観光客が日本にやってきて競技を観戦しその後日本各地を観光して楽しんでいる世界を想像していたことでしょう。観光地を中心にホテル建設が相次ぎ、インバウンドも3200万人弱まで増加しました。

しかしコロナがそれを幻にさせました。外国からのインバウンドはおろか国内の観光客の受け入れも断念せざるを得なくなり、観光客を受け入れる予定だったホテルも休館・閉館が相次ぎました。

失われた30年が続いている日本経済にとって、TOKYO2020は起爆剤になる予定でした。しかし結果としてそれは発揮されず、見方を変えればマイナス要因にもなるもの(無観客開催による赤字負担・期間中の感染拡大など)になってしまいました。


TOKYO2020は日本社会・日本経済の未来に大きな一石を投じることになりました。TOKYO2020での課題を解決し、希望ある日本にしていくための行動を一人ひとりが意識して行っていくことが大切です!

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