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リノベーションの仕事を通じて

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リノベーションを始め、デザインに関する思想を倩と。
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2021年10月の記事一覧

「たくさん勉強してすべて忘れるのが価値が高い」

「たくさん勉強してすべて忘れるのが価値が高い」

オフィスリノベーション
2021@阿倍野

元々のオフィスの建具や床材との調和もしくは摩擦をどう考えるかが今回のテーマで。

パーティション素材のスケール感で印象に残りやすいのが60mm幅×30mm幅の縦軸でそのスケール感は既存のガラス上の帯や間仕切り幅や床上げの見付の厚みから引用しています。

「馴染ませる」は作為的に行わなくては生まれないですし。

パーティションで使っているトドマツは香りを重

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『集中力と仕事場の関係を考える』

『集中力と仕事場の関係を考える』

⁡オフィスリノベーション
2021@阿倍野

木製格子のパーティションは4m程度引いた距離から見ると、
窓につけるブラインドのようなニュアンスになります。

ブラインドのようなイメージはパーティションの向こう側を「外」のような感覚で捉えるようになります。

広くない空間の場合どうやって「広がり」を持たせるかが課題になりますが、
こういうシグニファイア的手法も実際的だと思うわけです。

ルー

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あなたの効率は誰かの非効率。

あなたの効率は誰かの非効率。

大阪のオフィスリノベーション
2021@阿倍野

2019年に完成したスタートアップのオフィスに区画を作る計画で僕はパーティションと家具の手配のみ。

60mm×30mm厚の縦軸に40mm×30mm厚の横軸で格子間隔80mmでリズム感持たせながら組んでます。

格子を12mm厚まで薄くすることもできたのですがパーティションの存在が希薄になるのと「何かを掛ける」みたいな余白的ユーザビリティが損

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余白はなぜ美しいと感じるのか。

余白はなぜ美しいと感じるのか。

使う部材を最低限まで削いで
色調も彩度も合わせたミニマルな空間に
古くて朽ちかけている物を置く
みたいなコリアンミニマルがトレンドですし割と好きだったりします。

流行りを追いかけてるのもありますが
1990年代のミニマルムーブメントの踏襲的なニュアンスも
干物食ってる感じがして好きです。

干物感は
「伝統を守れといったが古いものをそのままそっくり残せといったわけではなく新しい時代に対応する

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なぜ同じが安心するのか。

なぜ同じが安心するのか。

不眠症の施主と一緒に枕選びもしてました。

西川さんからニトリまでいくつか足を運んで結果ブレインスリーパー。

これも論文ベースのチョイスで睡眠という感覚的な行為にロジックで挑むという味わい深さ。

AIモーション×ブレインスリーパーというおそらく市販されてる中でのロジック最強の組み合わせですが全く不眠症治ってないみたいです。

笑っちゃった。

改めて寝る調べると神経×脳×筋肉の関係が

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炎を眺めるのはなぜ心地良いと感じるのか。

炎を眺めるのはなぜ心地良いと感じるのか。

寝室は塗装や壁紙や表面の不陸の少ないタイルのような反射角がダイレクトな素材よりも木や塗壁のような反射角がランダムになるようなファブリックの方が好ましいと考えてます。

290nm〜2500nmあたりの幅広い光線が高反射率のファブリックだと直接脳髄に叩き込まれる感じが不快に思う瞬間があったりするかもみたいな感じです。

ヒノキのクローゼット建具のツマミは真鍮で昔メルカリで買ったものを意気揚々と使

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人工的に作られた機能美と自然の摂理としての機能美の違いは何なのか。

人工的に作られた機能美と自然の摂理としての機能美の違いは何なのか。

キッチンは梁下に据え付ける計画のため既製品が難しく家具職人さんに作って頂くことになりました。

扉材はアイカのRK-6000でフラッシュにしてもらってます。コスパ重視。

レンジフードは富士工業さんのUSR-1AMとかのやつです。これもコスパ重視。

ワークスペースは内部に家電を収納できるようにしてて天板は施主が楽天で買われたメープル材を製材してます。

2万くらいだったらしい安い。製材と

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不便益は必要か。

不便益は必要か。

ひのきの縦格子の引き戸は
日本に昔からある縦繁障子をベースにしてます。

桂離宮の月波楼から引用してます。

デザインはイジってて
12mmの縦桟と12mmの隙間を交互に繰り返す構成にして
窓サッシの幅と高さにも合わせてます。

本当は9mmが意匠的に良かったんですが9mmだと
横桟の数増やさないといけなくて結局12mmになりました。

気持ち良い連続性だと思ってます。

今の建具は

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仮想空間の世界が回り出した時の物質の価値とは。

仮想空間の世界が回り出した時の物質の価値とは。

⁡一度に視界に入る素材の種類を増やすと光の反射角が変わって影がざらつきます。

そのざらつきが欲しかったのでカーテン無しで行きませんか?
と施主に相談しましたが「ありえない」とぶっ飛ばされました。

目の前道路ならそりゃそうですよねって思いながら
じゃあレースだけでどうか?とさらに食い下がりましたが
ちゃんとブラインド作りたいとのことでしぶしぶ。

通販サイトのimusbyさんのカーテン超安

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既製品と職人が作るものの違いは何なのか。

既製品と職人が作るものの違いは何なのか。

僕としては「家にTVモニター不要である」
という偏った考えを持っており
情報収集はデバイス
映像鑑賞はプロジェクター
でいいです。

施主には「TVモニターは必要だ」と
ぶった斬られたので46inchを計画に盛り込んでます。

とはいえTVモニターのデザインに不満があるのは共有できたので覆えるようにしてます。

w1600mm×h2300mmの建具を職人さんに制作して頂き
天井に埋め込んだ上

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美しさや心地よさを求めるのは危機回避。

美しさや心地よさを求めるのは危機回避。

今回のリノベーションのコンセプトのひとつがゾーニングレス。

コンセプトの説明の前に日本の街の説明が必要ですが
さらにその前に海外の街の話をします。

日本に比べて諸外国の街はゾーニングされてなく
カジノエリアがあったり
ドラッグエリアとドラッグフリーエリアに分かれてたり
スクールエリアはまた別で分かれたり
みたいにパキッとゾーニングされてるケースが多いです。

植民地化と用途と人種によって

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心地良さとは何なのか。

心地良さとは何なのか。

今回のリノベーションは建具に一番コストをぶっ込んでます。

材はシナだしデザインも特別なことは何もしてなくて
連続性だけ欲しかったので目地だけ。

ミニマル的なデザインって一歩踏み外すと
ボヤけちゃうので気をつけてください。

あっあと取っ手もなくしてます。

建具は梁に合わせてH2300で
合わせて天井もH2300。

日本の最近の住宅の平均天井高さがH2450とからしいので
平均値よ

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ヴァナキュリズムとサスティナブルは不可欠になってくると思う。

ヴァナキュリズムとサスティナブルは不可欠になってくると思う。

シナの幼さとリノリウムの愛想の悪さは
3Dでは馴染みすぎてました。

実物では程よく反発を生んでくれてるので
僕は気に入ってます。

やっぱり少しくらい反発があった方が
愛らしいですよね。

小動物がめっちゃ怒ってるみたいな。



空間構成には抜け感を必ず作るんですが
今回は8mの奥行き。

元々の建物ステータス的な限界値でした。

本当は10m欲しい。



グレーの建具

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