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カフェで見かけた、すばらしいお母さんに拍手!

先日、とあるカフェの窓際で、ひとりでコーヒーを飲んでいたときの話。

3歳くらいの男の子(A君)がタタタッと走ってきて、ブラインドの後ろに隠れました。そのカフェは一面がガラス張りで、足元まで大きなブラインドが垂れていて、その奥にA君が入り込んだんですよね。

レジの方からお母さんの声がします。
「A君ーどこー」

A君は隠れたまま、出てきません。

(ふふふ、かくれんぼしているつもりなのね。かわいいなぁ…)なんて思って眺めていました。

「A君ーこっちよー」
とお母さんが呼びかけますが、A君はそこからじっと動きませんでした。

飲み物を座席に置いたお母さんが、A君の名を呼びながらA君の方にやってきました。

しかしA君は、お母さんに見つかったあとも、そこから出てこようとしません。

「A君、そんなところに入っちゃダメよ。出てらっしゃい」
と呼びかけても、「ヤ!!」と言ったまま、動きませんでした。

(あれ、この子、かくれんぼしてるんじゃなくて、怒ってるんだ)

私はこのとき初めてそう気づきます。

A君は、「出てらっしゃい」というお母さんを、「ヤ!!」と睨みつけています。

何度か繰り返される中で、お母さんが怒るでもなく、冷静なトーンでこう言ったのです。


「言葉で説明してごらん」


「A君、何か怒っていることがあるんなら、言葉でお母さんに言ってごらん。A君がお口で説明してくれないと、何に怒っているのかお母さんは分からないから、お母さんはまた同じことをしてしまうかもしれない」

私は心の中で、お母さんに拍手喝采をしました。

お母さん、すげーな。
3歳くらいの子に、こんな風に言葉をかけるんだ。


お母さんのその言葉に、A君はしばらく黙ったあと、「さっきの〇〇で、▢▢がイヤだったの!!!」と訴えました。

えらいぞ、A君!!

まだ語彙が少ない中でも、怒っている理由をちゃんと言葉で説明できた!!!


ちゃんと聞き取れなかったのですが、このカフェに来る前に居た場所で、何かA君にとって面白くない出来事があったようでした。

お母さんは、A君の説明をすぐに理解した様子で、
「あー、そっかそっか。さっきのね、わかったわかった。〇〇ちゃんの▢▢がイヤだったんだ? わかったよ。さあ、こっちでアップルジュース、一緒に飲もう。A君、おいで」

そう声をかけると、A君がブラインドの奥からひょこっと出てきて、お母さんの方に走っていきました。

お母さん、す・て・き!!


私には子供がいないのですが、もしもお母さんの立場だったときに、こんな風に子供に言えるだろうか。

なんとなく私が自分がやりそうだと想像したのは、「ずーっとそこにいるの? じゃあ、ずーっとそこにいなさい」と言って、その場をいったん離れることでしょうか(笑) 
ま、これも時と場合によっては有効な手段なのかな。

そのお母さんは、小さな子供を、ひとりの人間として扱い「言葉で説明しなさい」と諭した。

立派だと思いました。
子供を信頼しなければできないし、手間がかかる、面倒くさいやり方ですもんね。

帰ってから夫にこの話をすると、

「大人でも、言葉で説明できずに、黙り込む人が結構いるよね」って話になりました。


夫などは、80代後半の実父のことを「会話ができない」と言って嘆いています。
夫がお父さんに「どうして、〇〇したの?」と説明を請うても、ダンマリを決め込むのだそう。責められている・非難されているという感情が先に立つからでしょうか。認知症でもないのに、言葉が出てきません。

夫は、お父さんの行動の理由が聞きたいし、その理由によって、何か良い対応・対策を考えようと思って、「なぜ」と問うているのに、ムスッとしたまま無言。

夫の嘆き「おやじは、いつも気に入らないことがあると、ただ大声で怒鳴るか、ダンマリのどっちか。言葉を使って、自分の気持ちや行動の理由を説明しないから、まともな対話ができたことがない……あれで、どうやって何十年もサラリーマンをやっていけていたのかって思う……」

「あーー……。うちの親もそういうところ、あるわーー。多分お父さん、自分でも自分の気持ちが分かってないよね……自覚できてないから、行動の理由も、言葉に変換できない。カッとなれば怒るか、ムスッと無言になって、周りに機嫌をとってもらう……そのやり方で、そのまま歳をとっちゃったパターン……」

「私は、〇〇の理由で、▢▢をしたんだけど、△△になった。だから怒っています、悲しかったです」


何を隠そう、私自身も子供のころ、イラつくことがあると、実家では親に対して「ムスッとだんまり」のまま、自分の部屋へと消えました。
「バタン!!」とドアの音を思いっきりたてながら(笑)

子供のころ、自分の気持ちや行動の理由を、人に言葉で説明する訓練をしてこなかったから、大人になってからもうまくできませんでした(汗)


そのことに気づいて、少しずつ身につけてきましたが、

「言葉で説明してごらん」


カフェのお母さんのその言葉に、子供時代の私がびっくりして、そして感動しているのでした。

お母さん、あっぱれ!

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