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街明かりー純愛 ①ー
銀座の街はいつもキラキラしている。歩行者天国で道路の真ん中を歩いても、誰にも怒られることはない。
だけど、私は歩くことが出来ない。こんなキラキラした街は私には似合っていないのかもしれない。
そう思いながら、レジカウンターからぼんやりと外を見つめていた。
「おはよう」
と声を掛けてきたのは、店長の笠森昭夫だった。私は、びくりと身体を震わせ、「お、おはようございます」と大きな声で挨拶をした。
「
街明かり-もう一度 ⑧最終話-
「これからよろしくね」と夏生は笑顔で応える。夢が叶う瞬間を見るとホッとする。自分がそうだったように、いつまでもバイトのまま、夢も叶わず、ここを去ることがどんなに辛いことか、夏生には痛いほど分かっていた。
出版記念パーティーも終わり、売れ行きを聞くと、好調で重版も期待できると言うことだった。そのうち、サイン会を書店で開きたいとも編集長は言っていた。そしてコンスタントに出していかないと作家として忘れ
街明かり-もう一度 ⑦-
二時間後、ようやく光が起きてきた。
「ごめん、眠ってしまった」
「ううん、お腹すいたでしょ?」
「うん、もらおうかな」
と言ってビールと食事を出した。
「さっき、話したいことって何だったんだ?」
「ああ、それが作家デビューしてみないかって言われてて」
と言うとさっとこちらに顔を合わせた。
「本当か!」
「ええ、どうしたのよ。そんなに」
「す、すごいじゃないか! どうしてもっと早く言わないんだよ」
街明かり-もう一度 ⑥-
それから一週間後、加藤君から連絡があり、会社に来てほしいと言われた夏生は、断りたかったが、渋々承諾した。
次の日、久しぶりの元勤め先は、建て替え工事がされてきれいになっている社屋をくまなく見ながら受付を通る。受付は前の人とは変わり、美人な受付嬢が座っていた。
「あの、編集部の加藤さんとお約束させて頂いておりまして」
「少々お待ちくださいませ」
ときれいな声で対応してくれた。
「はい、高崎夏生様
街明かりーもう一度⑤ー
加藤君は夏生の腕を引いたときだった。そのまま夏生の唇を奪い去っていった。
一瞬の出来事だったのに、夏生は長い時間に感じた。心臓の鼓動が止まらない。しばらく下を向いていると、ぽつりと加藤君が囁く。
「今日、もう少し一緒にいないか・・・・・・帰したくないんだ」
目覚めると、もう十二時を回ろうとしていた。慌てて起き上がり、現実を見る。その瞬間血の気が引いて、夏生は取り乱しそうになったが、身体の方が
この感情をどうにかして(泣)
複雑な感情が月曜日、朝から湧き上がる。
出来れば、この布団からは出たくない。着替えて、似合っているかどうか分からないメイクをして、髪を撫で、玄関に向かうドアを開けたくない。
日がな一日、頭の中にある小説のアイデアを書き連ねて、noteに投稿していたい。
時折、自分が作家だったらと考える事がある。
そんな事を考える時は、大抵、気分が沈んでいる。誰かに心を痛めつけられた訳でもなく、ただ笑顔になれそうに
街明かり-もう一度- ④
数日後、早速加藤君から連絡が入る。化粧はとりあえず毎日しているが、口紅をそっと引いた。家の近くの喫茶店まできてくれると言うことなので、喫茶店に向かうと、もうついていた。
「ごめん、お待たせしました」
「ううん、さっき着たところだよ」
と言ってメニューを差し出した。
「カフェラテで良かったよね。あと、ケーキもどうぞ」
「えっ、駄目よ。そんなもったいない」
「良いよ。別に経費なんだから」
「でも・・
街明かり-もう一度- ③
求人を出すのは久しぶりだと言う奥さんにどこに出すかを聞いたら、光が住んでいた児童福祉施設に出す予定と話した。いつもながら休憩時間になると、従業員にお茶を出すようにしている。最近では、みんなも慣れてきたのか、夏生に優しく接してくれるようになった。
「皆さん、お茶が入りました」
「ありがとうございます」
と言ってみんなで座り囲む、そのテーブルは本当の家族のように和やかだった。
それから十年ほど経っ
ちょっと偏見じゃない?
私がnoteに書いている小説のほとんどは、恋愛小説ですが、恋愛小説を読むのも好きなんです。
と言うと、「えっ、そうなんですか?」と驚かれます。
皆さん、恋愛小説って読まないんですかねぇ?
だからと言って、大層な恋愛をしてきたわけではなく、そんな恋愛に憧れがないと言えば嘘になりますが、特に願望はありません。
とにかく読んでいて余韻に浸りたいし、現実逃避したいんですよ。
ミステリーや青春、時代物
街明かり-もう一度- ②
もう諦めよう。
印刷所からの帰り道、私はぼんやりとそう思った。自分はそれほど編集に向いていない。さして自分の実力がないことに執着する理由はあるのだろうか。
今まで通り、この印刷所にたまに顔を見せてこんな風に話せたら別に良いじゃないか。と自分に言い聞かせた。
休みの日には神保町に繰り出して自分が心行くまで本に触れる。欲しい本はたくさんあるが、今の部屋はワンルームで、ほんの置き場所があまりない
全然書けてないやん!
仕事が忙しくなかなか小説の続きが捗りません。
と言う言い訳をしているようではまだまだなのでしょうね。
ちゃんと書いていきたいと思います。
「街明かり」の構想はあるんです。でもなかなかそれを表現するのが難しくて。
私の母が好きな歌手の方の歌詞を私なりに解釈して、物語を作ってみようかと思っている訳ですが、解釈不足を言われたら辛いなぁと言う事で、歌手の方の名前などは控えさせて頂こうかなぁと思っています。
街明かり-もう一度- ①
カーテンを閉めようと、窓に近づく。
街の街頭や、住宅の明かりがふわりの光り始めた。
ゆっくりと時計の針は進んで、あっという間に夜が来てしまう。夏生は夜が来ることが怖かった。暗闇に包まれるのもだが、もっとも主人と二人っきりになるのが不安でた堪らなかった。いつからこうなってしまったのか、解らないまま台所に立つ。主人との出会いは、大学を卒業して出版社に勤めていた頃だった。私は製本会社に製本依頼を掛
午前3時の熱 最終話 情熱
冬の風が、私を包む。いつものように買い物を済ませて部屋に戻る。
私は横山と会ったあれからの事も、充に別れを切り出すこれからの事を色々考えた。
充に見つからないように自分の荷物はすべて実家に送った。ポケットで携帯が鳴る。充かと思ったが、ディスプレイには母の名前だった。
「もしもし」
「嘉菜、荷物が届いたけど、どうかしたの?」
「ちょっとね、預かっててくれない?」
「うん、それは良いんだけど何か
午前3時の熱 第四話 決断
そんな事があってから、私たちは由幸からいろいろな嫌がらせを受けたが、何とかやり過ごすことができた。
夏が来た。充が夏フェスに出演すると聞き、義男さんがお店で出演祝いを開いてくれた。
「義男さん、本当にすいません。ありがとうございます」
「良いんだよ、俺、本当に嬉しいよ」
「はい! 俺もくそ嬉しいッス!」
と言って抱き締めあった。
その他にも、メンバーやスタッフや商店街の皆が集まっていた。