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エッセイ

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#ポエム

帰りたくない夜がある

帰りたくない夜がある

家には帰りたくなくて、誰かに会いたくてたまらなくて。でもどこに行きたいのかも、誰に会いたいのかもわからないときがある。

そういう日は大抵、仕事が早く終わった日の夜で、なんとなく駅前のビルやアトレを覗いてみるのだけれど、だからと言って何かが満たされることはない。

目についたおしゃれなカフェでケーキを食べようが、どんなに胸が高鳴るワンピースに出会おうが、空っぽな夜は、それ以外の何物にもなりはしない

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変わらないあなたへ

変わらないあなたへ

変わらないことは
あなたが不変であるということです

50年後にわたしが死んで
いつかわたしを知る人もみんないなくなっても
あなたはここに立ち続けるでしょう
きっと50年前もそうしていたのだから
あるいは100年前からそうだったのかもしれません
そして100年後も在り続けるのかもしれません

北の大地の果て
この海を見続けて何を思いましたか
愛しいひとはいましたか
かけがえのないものはありまし

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友だち未満。

友だち未満。

今日はとても珍しい夢をみた。

昔付き合っていた彼と、再会した夢。

わたしは友だちだか知り合いだかのアパートにきていて、2階にある部屋の玄関の前でずっとその人を待っていた。
するとアパートの下の道路に、自転車がひとつ止まって。
視線を感じて下をみると、自転車に乗っていたのはその彼だった。

話を聞くと、どうやらその彼はわたしの友だちの部屋の、隣の隣に住んでいるらしい。
アパートの廊下で、どこから

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逃げこんだ先に出会った人

逃げこんだ先に出会った人

『好きかどうか、もうわからない』

あの夏、わたしの心が、わたしに告げたこと。
一緒にいると安らぐし、笑っていてほしいし、こんなに愛してくれる人、きっと他にいないのに。でも、それでも。

わたしは逃げるように、一人イタリアへ旅立った。

たくさんの人に出会った。
涙が溢れる景色にも、おいしくて感激したジェラートにも。

そしてなによりわたしは、あの夏のイタリアで、日本に残してきたはずのあなたに会っ

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旅する日本語コンテスト、優秀賞を頂きました。

旅する日本語コンテスト、優秀賞を頂きました。

去年の夏ごろnoteで募集があった、私の旅する日本語2018 コンテスト。

先日note運営事務局の方から連絡があり、わたしのエッセイ「逃げこんだ先に出会った人」が優秀賞を受賞したと連絡を頂きました!

▼受賞したnoteはこちら

▼受賞発表された記事はこちら

(note運営事務局の方からは優秀賞と連絡を頂きましたが、こちらでは片岡鶴太郎賞になっています)

1月中に「旅する日本語展20

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