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映画にまつわる日々の考え事。
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「映画配給会社」の仕事内容・必要なスキル・給料|映画業界転職

「映画配給会社」の仕事内容・必要なスキル・給料|映画業界転職

「映画の仕事がしたい・興味がある!でもいまいち実態がわからない」そう思っている方々の役に立てるように、自分の経験を踏まえて、就職ガイドには掲載されないようなことまでお話したいと思います。

今回は「映画配給会社」についてです。映画の権利を買付けたり、映画をプロデュースしたり、映画業界というと一番最初に思いつくのが「映画配給会社」ではないでしょうか?

[はじめに]私は映画配給会社で実際に働いていま

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映画業界に就職したい人がやるべき3つのこと【未経験者向け】

映画業界に就職したい人がやるべき3つのこと【未経験者向け】

「映画の仕事がしたい。でもどうやって就職したら良いのかわからない。」そう思っている方々にとって少しでも参考になるように自分の経験をお話しようと思います。業界歴は短いわたしですが、仕事をしている中で考えたことも綴っていこうと思います。

[前談] 映画配給会社に勤めていたわたしの経歴
まずは簡単に、今に至るまでの経歴をお話します。
 少年時代から映画が好きで、アニメやバラエティよりも映画を見てき

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最近の出会い/『CURE キュア』『エロティシズム』ほか

最近の出会い/『CURE キュア』『エロティシズム』ほか

コロナの影響でまだまだ家に閉じこもる時間が多い中、本格的な梅雨入りも合わさって一人時間が増え続けてる。一人で過ごす時間が多いと、自然と映画と本に向き合う時間が増える。

特に印象に残ったものを書き留める。

【映画】『CURE キュア』黒沢清以前『ミッドサマー』アリ・アスター監督のインタビューを聞いた時に、影響を受けた日本人監督の中に黒沢清さんの名前が挙がっていて、今までほとんど観ていなかったこと

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『シンドラーのリスト』と『夜と霧』

『シンドラーのリスト』と『夜と霧』

映画『シンドラーのリスト』と名著『夜と霧』。

その存在は知っていたけれど、触れることがなかった作品たち。
ようやく合わせて観ることができた。

『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中、ホロコーストが進むドイツで、莫大な富をもつオスカー・シンドラーが”軍事工場の労働力”という名目でユダヤ人を雇うことにより約1,100人を迫害から救った話。

(スティーヴン・スピルバーグの傑作『シンドラーのリス

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映画館を守るために考えたいこと「ディズニーランドと映画館の差」「仮想チップ制度」

映画館を守るために考えたいこと「ディズニーランドと映画館の差」「仮想チップ制度」

 こんにちは。わたしは、元映画配給会社でマーケティング担当で、現在デジタルを起点としたエンターテインメントをプロデュースする企業でディレクターをしてる者です。

今、映画業界が大変なことになっています。
この状況なので映画業界に限ったことではないですが、映画や演劇、ライブハウスなど「箱」商売をしている業界は、この状況を一時的に脱したとしても一筋縄ではいかない可能性が高いと思っています。

ソーシャ

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『ミッドサマー』満員御礼。ありがとうございます。【映画配給の仕事】

『ミッドサマー』満員御礼。ありがとうございます。【映画配給の仕事】

昨年の夏から動いていた『ミッドサマー』がおかげ様で異例の大ヒットとなりました。

▼『ミッドサマー』大ヒットニュース記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200227-00000010-cine-movi

初日を迎えると、早朝の回から10代~20代の女性グループやカップルを中心に動員。2月21日(金)から2月24日(月)までの4日間で動員7万7,125人

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映画の”ファストフード”化

映画の”ファストフード”化

TBSラジオ「東京ポッド許可局」をタイムフリーで聞いていたら『ボヘミアン・ラプソディー』の話題が。

あの作品は映画的な評論をまったく寄せ付けない作品になった、あらすじを知ってもそれがマイナスに働かないと言っていた。

思えば2018年のヒット映画はまさにそういう映画ばかりで、あくまで売っているのは「物語」ではなく「体験」だった。

まだまだ動画共有サイトもSNSもなかった時代は、人の感覚を他人に

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今の日本の映画市場って実際どうなの?

今の日本の映画市場って実際どうなの?

各地の名画座が次々と閉館し、かつてあったようなミニシアターブームのような勢いは今の日本にはない…。

実際のところ日本の映画市場は下降傾向にあるのだろうか。
映画を生業とする人だけでなく、映画を趣味とする人にとっても市場がどういう状況にあるかを知ることは大切なことだと思っている。

2016年、日本を含む複数地域で興行市場は過去最高となっていた。

参照サイト:
日本、北米、中国の3地域、20

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映画館で彼に"向き合えたこと"がどれほど大事か

映画館で彼に"向き合えたこと"がどれほど大事か

アカデミー賞を受賞し、今も話題となっている『ムーンライト』
本作は過去に映画業界からタブーとされてきた性的マイノリティを題材とした映画だ。

これが映画館で上映されていることがどれだけ素晴らしいことか、改めて考えた。

今までこの手の作品は公開されてもミニシアターや小さなスクリーンで細々としていることが多かった。もちろん見ていたのは本当に映画が好きな方々など、ごく一部である。

しかし、今

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愛すべきベルギー映画、ジャコ・ヴァン・ドルマル。

愛すべきベルギー映画、ジャコ・ヴァン・ドルマル。

ベルギー人映画監督ジャコ・ヴァン・ドルマル。彼の作品は宗教的な要素があるのに愉快で楽しい。空は鮮やかな色彩に彩られ、古風でポップな歌が流れれば花々も一緒に揺れて踊る。

これが彼独特の感性なのかと思っていたけれど、どうやらそうでもないらしい。WOWOWで企画されている町山智浩さん(映画評論家)の『映画塾!』にて彼の1作目である『トト・ザ・ヒーロー』が取り上げられていたの見て知った。

彼の生まれ故

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レフン監督『オンリー・ゴッド』で描かれる"神"の 存在

レフン監督『オンリー・ゴッド』で描かれる"神"の 存在

ニコラス・ウィンディング・レフン監督の作品には宗教や神話といった形而上学的なものが軸になっていると感じる。彼自身の宗教観が強く表れているからだろう。それが顕著に表現されたのが『オンリー・ゴッド』である。

「難解」「何がしたいのかよくわからない」「レフンの失敗作」などという声を良く聞くのだが、私は必ずしもそうではないと思う。レフン監督らしさは相変わらず爆発しており、映像を一つ一つ紐解いていけば私的

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映画『FRANK』で考える物事の捉え方。何を見せるべきか、見るべきか。

映画『FRANK』で考える物事の捉え方。何を見せるべきか、見るべきか。

少し前に『FRANK』という映画を見た。

田舎町でミュージシャンに憧れる青年が、ひょんな事からあるバンドのメンバーとしてスカウトされる。

言われるがままにバンドメンバーとしてステージに立ったが、なんと奇妙なことにボーカルのフランクが終始おかしな被り物を被っていた。どうやら他のメンバーの誰もフランクの素顔を知らない。最初は彼の音楽に魅せられてついていった主人公だったが、バンド人気にあやかり、だん

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