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美術展や展覧会を特集した雑誌、2023年はどれを買う?

早いもので、師走も折り返しですね。
書店の店頭にも、2023年の美術展・展覧会を特集したムックや雑誌が並ぶ季節となりました。

雑誌が売れない時代、と言われて久しいですが、おそらくこの美術展・展覧会特集は、そこそこ売れるテーマでは?と推察します。

普段はインターネットを中心に、企画展の情報を収集しているわたしですが、紙の雑誌にまとまっていると、やはり便利なんですよねー。
展覧会の予習・復習に、スケジュールの確認に、と、1年を通して、結構何度も手に取ってよく読んでいます。


ということで今回は、美術展・展覧会を特集した雑誌って、一体どんなものが出てるの?何が違うの? てか、その中でどれがいいの?どれ買ったの?のお話です。

年末年始のお休み、2023年はどの展覧会を巡ろうかなぁ、いつどんな美術展がやるのかなぁ、なーんてリサーチするときのヒントになりましたら幸いです。


企画展もいいけど、コレクション展もね!

本題に入る前に大変恐縮ですが。

これらの雑誌で、どどーん!と大々的に紹介されているのって、ちょっと詳しくお伝えすると、特別展や企画展と呼ばれる種類の展覧会です。

ルーヴルの作品が来る!とか、まさにちょっと特別、スペシャルな企画。
確かに、いま観た方がいい!という作品や、魅力的なテーマの展覧会が数多くあるんです。

あるんですが、ミュージアムという空間が好きなわたしとしては、ぜひぜひ、コレクション展や常設展と呼ばれる方の展示へも、足を運んでいただけると、とっても嬉しいです。

各ミュージアムが所蔵する作品を観られるコレクション展も、実はちゃんと期間ごとにテーマを設けて、作品を入れ替えてます。
つまり、作品のラインナップや、展示室に並んでる順番は、ある意味、いつも期間限定なんです。
常におんなじものしか展示されてない、ってわけじゃないんですよ。

そして、館がお持ちの 結構すごいもの、展示されます。国宝とか、重要文化財とかが出てることも。そもそも そこにしかないもの、ですしね。

しかも、企画展・特別展と比べると、チケット代もリーズナブルです。なのにだいたい空いている・・・

ものは試しにぜひ


さてさて、本題です!


美術展・展覧会を特集する雑誌、といえば?


この1~2年、書店で見かけたり手に取った雑誌の中から、わたしの独断と偏見で、6誌、ピックアップしてみました。発売日はいずれも2022年です。

それぞれ書影と、これまたわたしの独断と偏見による特徴をご紹介します。

1.美術の窓(月刊誌) 11/18発売 ¥1,676
2.芸術新潮(月刊誌) 11/25発売 ¥1,670
3.日経おとなのOFF(月刊誌) 12/13発売
 ¥980

4.ぶらぶら美術館2022-2023 (ムック)4/28発売 ¥1,485
5.美術展完全ガイド(ムック) 11/29発売 ¥1,200
6.美術展ぴあ(ムック) 12/21発売予定 ¥1,080


1.美術の窓(月刊誌) 11/18発売 ¥1,676

わたしの主観ですが、6誌の中で最も、美術"専門誌"と言える一冊。
館長や学芸員の方による推薦や執筆原稿が読めるところが魅力です。

毎月の特集でも、美術館に限らず、ギャラリーや百貨店の美術画廊での展覧会、現代作家の作品紹介やインタビューなどが豊富で、美術館に足を運ぶ層だけでなく、ギャラリーで作品を買うアートコレクターへ向けた情報も多く特集される雑誌。

また、表紙の下部に書かれている「技法講座」のように、作品制作をする作家向けの情報も豊富。その意味でも、美術"専門誌"のイメージです。


2.芸術新潮(月刊誌) 11/25発売 ¥1,670

これもわたしの主観ですが、6誌の中で最もゴージャス感がある一冊。

いつも特集の視点が興味深いし、掲載されている写真が美しいので、ついつい眺めたくなる雑誌です。(その分、定価はお高めです・・・)

ルーヴル美術館展のメインビジュアルにも使われているこの作品が表紙、というもの納得、でした。


3.日経おとなのOFF(月刊誌) 12/13発売 ¥980

これまたわたしの主観ですが、6誌の中で最も情報がわかりやすい一冊。

普段から度々、ビギナーから詳しい方まで読んでて楽しい、知的エンタメなさじ加減で、歴史や本、アートにまつわる特集をしている月刊誌です。

年に一度の美術展特集は、いつもはつかない付録がつくところから、きっといつも部数が伸びるんだろうなぁ、と想像します。

表紙は『芸術新潮』さんと同じ作品ですが、こちらはもっとキャッチ―に。
そして付録が3つ!なのに6誌の中で最もリーズナブルです!
ただ、紹介されてる展覧会の数は80、と厳選されてます。他誌より、よりメジャーな企画展の紹介に絞ったのかな。


しかも!
今回はなんと、富士山を描いた北斎さんの3作品のNFTがつく!という特装版も登場。お値段、+¥340の ¥1,320です。絶妙な値付けですね。

作品を手に入れるには、専用アプリのDLが必要なようでした。
果たして、日経おとなのOFFの読者層は、どのくらい入手するのでしょうか。とても気になります。



4.ぶらぶら美術館2022-2023 (ムック)4/28発売 ¥1,485

BSで放送中の人気アート番組、通称"ぶら美"と連動しているムック本。
山田五郎さんとおぎやはぎという絶妙なキャスティングも良いですよね。
番組同様、とても手に取りやすく親しみやすい一冊です。

実はこれだけ、発売タイミングが、他の6誌と半年近くずれています。

これはきっと、戦略でしょう。
これが発売される時期っておそらく、他の美術展特集の雑誌が、ほぼ店頭に残っていないんですよね・・・
雑誌売り場の文化・美術のジャンルの棚で、ぶら美、よく見かけました。

あと、唯一、タイトルを「展覧会」とか「美術展」ではなく、「美術・博物館」としているところにも、ひそかなこだわりを感じます。さすがです。


5.美術展完全ガイド(ムック) 11/29発売 ¥1,200

6誌の中で唯一、ランキング形式で企画展を紹介している一冊です。

それも納得。容赦ない検証記事がたっぷりの『LDK』や『MONOQLO』などを手掛ける、晋遊舎さんの一冊だからです。

ランキング形式での紹介って、やはりキャッチ―なので、ほうほう編集部が提案するお薦めってこれなのね、と、とてもわかりやすいです。

たくさんありすぎてわからないよ、何か観たいけどよく分からないから、とにかく全面的にお薦めしてほしい!という方には合いそうですね。


6.美術展ぴあ(ムック) 12/21発売予定 ¥1,080

最後はこちら。唯一まだ発売前の一冊です。
紹介してる展覧会の数は、『芸術新潮』と同程度の約100とたっぷりですね。
目次を観た限りでは、この特集2が気になりました。

特集2「アートファンが好きな個性派美術館」では東京の静嘉堂文庫美術館、大阪の藤田美術館など、コレクションが充実する全国の美術館へご案内。


で、その中でどれ買ったの?


わたしは今回、『日経おとなのOFF』を買いました。
(ちなみに2022年は、『芸術新潮』でした)

『美術の窓』にもひかれたのですが、最寄りの書店を訪れたときは、売れてしまったのか見当たらず・・・。

店頭に1冊だけ残っていた『芸術新潮』と比較してみて、情報がコンパクトに網羅されていたことと、付録のクリアファイルに釣られましたw
長沢蘆雪さんの『虎図襖(部分)』だったもので、ついつい。

あと、2023美術展ハンドブック80 も、会期のスケジュールと展覧会の概要がとても見やすくまとまってます。
表紙の作品も好きなので、この1年、手元で飾りつつ、愛読します。

名画カレンダーは、すでにカレンダーを買ってしまったので、好きな作品だけ飾ろうかなw

あと、かつてない新しい取り組み、かつ、ちょっと日経っぽいな、とも思ったのが、『鑑賞とは違う楽しみがある!アートコレクターへの道』特集。

大林剛郎さんや高橋龍太郎さんといったアートコレクター6名と、若手社長2名へのインタビューや所有作品の紹介、そして、ちょっと具体的に、作品を買う場や、アートフェアや芸術祭へ行ってみよう!といった紹介の記事が続いていました。(・・・3月のアートフェア東京でも、何かある?)

そうなんですよ、これ、とっても大事。
どうしても美術館に行って終わり、な方がまだまだ多い日本ですが、アートって自分で買えるんだ!って気づいてもらう、気軽に知ってもらうきっかけを、こういったエンタメ寄りな雑誌がきっかけづくりしてくれるの、とっても良いなぁ、と思いました。

そしてやはり、地味にお値段。¥980は魅力的です。
カラーページばっかりなのに。
これってやっぱり、企画展を主催したり共催したりしてるメディア・日経新聞のグループ会社だから、ってのもあったりするんでしょうか・・・

ちなみに、NFT特装版は一瞬だけ検討しましたが、アプリのDLがなんとなくネックになって、通常版を選びました。(わたしみたいな人、多そう)


まとめ

ということで、さっそく週末にかけて読みながら、3か月に一度の恒例記事、『おすすめしたい都内開催の展覧会●選』を準備します。お楽しみに✨


なお、これまでの記事はこちらのマガジンで読めます。
行った展覧会のレビューは、音声配信「聴くミュージアム&ギャラリーレビュー」やインスタにまとめ、これらの記事にもリンクさせてます。ぜひ!!!

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【ちょっとしたお知らせ】

先日、日々の子育てや暮らしを楽しむヒントが満載のCHANTO WEBさまに、ミュージアムコラムニストにとして取材いただきました!!!
よろしければぜひお読みくださいませ✨

ちなみに、編集部の方にお声がけいただくきっかけになったのがこちら。

いつもはインタビュー取材する側なので、貴重な機会でした。
ありがとうございました!

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