見出し画像

展覧会の図録 買うか・買わないか問題 part2

part1に続いて、美術館や展覧会のミュージアムショップで販売されている図録について、私の独断と偏見による、買う・買わないの判断基準や、買う理由をご紹介します。

5月も折り返しですが、私が暮らす都内はまだまだ、展覧会の場が遠い状況です…そんな中、なおさら、お家で夜な夜な図録を開くことが楽しいです。

● part1はこちら



図録を買う・買わないって、いつどこで決めてるの?

私は、最初から”これは絶対に図録を買う!”と決めて展覧会に出かけることは、ほぼありません。どんなに楽しみにしていた展覧会でも、必ず売り場でサンプルの図録を手に取り、実物と値段を確かめます。

特に大事にしているのが、展示室を巡っている最中、ベンチ等に置かれているサンプルを必ず手に取って、そのタイミングで中身を入念に確かめることです。

展示室で作品を観ている途中に図録を見ることで、こんなことを確かめています。

それまで観てきた中で特に素敵だと思った作品が、
展示室で観た実物の印象と、どのくらい乖離なく掲載されているか。

いきなり細かすぎ!と思われるかもしれませんが、案外大切なんです・・・
実物はものすごく素敵だったのに、なぜか図録では色調がちょっと変わってて悲しくなった・・・なんてことがあるんですよね。印刷って難しい・・・。

しかも展示室は大抵薄暗いので難易度が高いのですが、必死に確認します。
展示室で誰よりも図録を食い入るように見つめている人がいたら、それは私かもしれません。



各作品や資料たちが、丁寧に掲載されているか

例えば、
その作品や資料の重要な箇所なのに、見開きにしたページとページの間にちょうどかかっていて、とても見づらい
丁寧に作られた細かな装飾が見どころなのに、図録にはそこのアップの写真がなくて、全く良さが伝わらない
などなど。これも意外とあったりするんです・・・ちょっと残念です。

展示室に出ている各章の解説文や補足の資料群が忠実に掲載されているか。
各作品の解説文が充実しているか。

展示スペースの各章、最初に大きく出てくるような文章には、その章の展示概要が簡潔に示されていたり、いい事書いてあったりするので、後でしっかり読みたい!と思うことが多いんです。だから図録にそのまま載っていると、慌ててメモを取らなくてすむ!安心です。

また、年表とか、その地域の地図とか、仏像の基本的な種類の解説とか、展示会場に大きく掲出されていて、鑑賞するとき参考になった予備情報って、後から自分で探そうとすると結構手間なので、できるだけそのまま一緒に図録にも載っていてほしいんです。

・・・こうやって書いてみると、だいぶ細かいですね、私。
でも、こんなことをだいたいいつも気にしながら、展示室でできるだけ確認しています。

なので、いま、臨時休館に伴ってオンラインで図録が買えるようになり、part1でも勧めておいてあれですが・・・個人的には、やっぱり手に取って中身を確認したいです、すみません・・・
でもグッズの購入はぜひ!激しくおすすめします!!!

・・・・・・・・・

私が図録を買う理由
① 図録 = 眺めて楽しむ"目の保養"グッズ

私にとって図録は、まず単純に、自分の好きなものを、できるだけ大きなサイズで愛でたい、という”目の保養”グッズ。写真集の感覚です。

最近は、できるだけ多くの人が手にとりやすいように、と、A4サイズ程度のものや、さらに小さい”ミニ図録”という、文芸書等の単行本サイズのものも出てきていますが、私はどうせなら大きいサイズで、どーんと眺めたいタイプです。

多くの図録は、”限られた予算で最大限に良いもの”を目指して作られています。
何十万部も作れない(=高コストになりがちな)中でも、印刷の仕上がりや使う紙にこだわり、できるだけ作品や資料の実物の色調や質感が伝わるように、と工夫されています。

展覧会の素敵な雰囲気が伝わってくるような表紙や裏表紙、フォント、カラーリング、各ページのデザインや加工、背表紙やサイドから見た感じ(小口とか)、しおりの紐など、とことん細部までこだわりがたっぷりつまっています。

図録も、展覧会を構成する大切な要素のひとつ。だから、自宅に持ち帰って、ゆっくりながめて楽しみたい。素敵だった展覧会に負けず劣らず、素敵な図録だなぁと思えたら、買いたくなります。

・・・・・・・・・

私が図録を買う理由
② 図録 =タイムカプセル

展覧会が開催される期間は、1つの美術館・博物館につき、だいたい長くても2~3か月、というところが多いでしょう。いつ行こういつ行こう、なんて思っているとあっという間に会期末、なんてことも多く、案外短いんですよね。

また、とある展覧会のために集められた作品や資料が、再び、前回と全く同じように集められて展示される、ということは、海外作品は言わずもがな、国内の作品であっても非常に難しいことです。
他の美術館・博物館の収蔵品も、寺社仏閣の貴重な仏像も、個人蔵の貴重な作品や資料も、全て持ち主のOKが出たからこその展示です。
そもそも展覧会の企画・準備は、数年もの時間と、多くの人々の力が結集して行なわれています。

いろんなタイミングと、多くの人の仕事の結果で実現する展覧会は、テーマや展示作品、会場のしつらえも、何もかもがほぼ全て、”今この時・この場限り”なのです。

そんな性質の展覧会の情報が詰まっている図録は、まるでタイムカプセルのように思えてくるのです。
特に自分が感動した素晴らしい展覧会のことを、この先の未来もまるっと記録・記憶しておくために、そして、いつでもまたその感動を思い出して味わえるように、図録を買って手元に置いておきたいのです。

・・・・・・・・・

私が図録を買う理由
③ 図録=どこでもドア

わりと最近、図録ってこんな楽しみ方ができるんだ!と、新たに気づいたのが、これです。行きたくても行けなかった国内外の展覧会を、図録を通して楽しむ、という方法。

昨年、実際に観に行くつもりだった富山県美術館の展覧会に行けなくなってしまい、心残りだったのですが、その図録を、後日、本当にたまたま、トーハクのミュージアムショップで手に取ることができて、喜んで買って帰ったことがありました。

その後、全国の展覧会情報も追いかけることになってしまい、忙しくなった、いえ、楽しみが増えましたw

富山県美術館のこの展覧会のように、独自で面白い企画をしている館が、日本各地にたくさんあるんですよね、地元出身の作家を取り上げたり、とか。また、私の地元・静岡県にも、大好きな館がいくつもあります。

個人的には、このような大都市圏以外の美術館・博物館に訪れることをメインにした旅、ミュージアムトリップを、この先、どんどん紹介していきたいなぁとも思っています。

・・・・・・・・・

私が図録を買う理由
④ 図録=入門書的専門書

紀元前から現代まで、果てしなく長く、世界各国に広がった広大なアートの世界で、ピンポイントに、そのテーマ・時代・作家や作品群について、正確かつ専門的な情報に、とても分かりやすく手軽にアクセスできるのって、図録が一番では?と思うのです。

また、大学の教科書を読んでて不意に現れる作品や作家について、”そういえば図録持ってる!”なんて思い出して開くと、さらに知識や理解が深まるし、あの展覧会はやっぱり良かったんだなぁ、とか、めちゃくちゃ貴重だったんだなぁ、とか、新たな発見も多いんです。
逆に、当時はありがたみがちゃんとわかってなくて、もう一度観たい!!!と、どうにもならない後悔をすることもありますが・・・

また、ゴッホやフェルメール、北斎、印象派などなど、非常にメジャーで人気のある作家やジャンルなら、入門本や解説本、関連書籍も多数出ています。

でも、例えば、デンマーク絵画のスケ―エン派とか、ユベール・ロベールとか、ヴァロットン、メスキータ、ルート・ブリュック  とかとか。
ちょっとメインストリームでないと、案外、専門書や作品集って見つからないんですよね・・・そんな時に図録があると、とてもとても助かります。

しかも今は、ちょっと昔の図録でも、メルカリやヤフオクを含め、かなり手軽&便利にネットで探して手に入れることができるんです。たまに高額になってしまってるものもあったりしますが…

・・・・・・・・・

好きだと思った展覧会の図録は、持ってて損なし!

長くなりましたが、結論はこれです。

こうして書いてみて、自分が図録好き・紙の本好きなんだな、と再認識。そもそも辞書とか図鑑とか、新聞もそうかな、情報がわーっと詰まっている印刷物が好きなんですね。

図録は、とある展覧会に関する本、という特性上、凝った装丁のものが多く、そもそも大量に印刷・販売されませんし、専門的な内容なこともあってか、一度売り切れてしまうと、ほぼ重版されません。
欲しいと思ったときには、もう完売…なんてこともあります。

なので、自分が心動かされた、圧倒された、感動したような展覧会にもし出会ったら、難しく考えず、ぜひ、図録を手にとってみてくださいませ。
日常をちょっと心豊かにしてくれる、と思います。

・・・・・・・・・

【おまけ】今回のヘッダー画像も・・・

part1に続いて、部屋にある図録を集めて撮ってみたものです。

なんとなくpart1は西洋美術系、今回は日本人作家や日本美術系にしてみましたが、こちらのほうが圧倒的に多いですね。

この中で古いのは、『松井冬子展』でしょうか。横浜美術館で行われた展覧会のものです。実物を目の当たりにして、ものすごく圧倒されました。

実は観に行った日、偶然ご本人がいらしていて、中面に毛筆でサインをいただくこともできました。美しいサインです・・・!

さらに古いのは、『ゴーゴーミッフィー』展の図録ですね。ちょうど10年前の2010年、松屋銀座から全国各地へ巡回した展覧会の図録です。
絵本みたいにとっても可愛いこのデザインは、福音館書店のミッフィーの絵本同様、祖父江慎さんが手掛けてらっしゃいます。
ちなみに今年、65周年の展覧会が予定されてましたが中止に・・・
どこかで開催してほしい!と切に願っております!!!

他にも映ってない素敵は図録がいくつかありますが、その話はまた後日。

この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

記事を読んでいただきありがとうございます。 いただいたサポートは、美術館・博物館のチケット代や、大学での勉強に使う書籍購入などに充てさせていただきます。

読んでくださりありがとうございます(*´-`)
5
●アート&デザインライター ●5と0のつく日にほぼ更新 ●京都芸術大学通信教育部芸術学科アートライティングコース&学芸員課程 在学中 ●茶道(裏千家) ●Instagram● https://www.instagram.com/naomin_0506/

こちらでもピックアップされています

アート探訪
アート探訪
  • 43本

美術館や博物館での展覧会や展示会など、訪れた様々なアートイベントの記録です。 なんとなく難しくて敷居が高そうな印象を持たれることの多いアートの世界ですが、もっとシンプルに楽しんでもらえるようなお手伝いがしたいと思っています。 全然詳しくないけどなんとなくアートに興味がある、という方も、大好きな方も、フォローしていただけるととても嬉しいです。

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。