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アート好きの偏愛カプセルトイ・ガチャガチャ考┃作り手編

最近、改めて思うのです。わたしは絵画や写真のような平面作品よりも、圧倒的に、立体造形に心惹かれます。
彫刻、陶芸、ガラス、工芸の数々。建築やインテリア、機能とデザインと効率を考え抜かれ量産される工業デザインにも心躍ります。

そのはじまり、気づいたら子どもの頃から好きだったもの、無自覚なまま影響を受けてきたものって何だったのかなぁ。
ぼんやりといろいろ思い出した中で、最も思い当たる節があったのが、カプセルトイ、そう、ガチャガチャでした。

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"小さきものはみなうつくし"

そもそも人は、万国共通で太古の昔から、小さなものを愛でると、ほっとしたり癒されたり、無条件に惹かれる素質を持っているようです。
特に日本人は、平安時代に清少納言が『枕草子』で書いているように、小さきもの・ミニチュア愛好を長らく続けてきました。

ちなみに、ここでの"うつくし"は、美しいではなく、かわいいって意味合いでして。 世界の KAWAII も、平安時代にはすでに認識されていたんですね。

昔からある小さきもの・ミニチュア、というと、16世紀頃のドイツが発祥というドールハウスや、江戸時代に現在の形式になったという日本の雛人形・雛道具を思い浮かべる方も多いかもしれません。

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日本が世界に誇れそうな"愛すべき小さきものの世界"

雛道具といえば、わたしはものすごく心に残っている展覧会があります。
2020年春に、東京・青山の根津美術館で行われた、「虎屋のおひなさま」展です。

虎屋とは、あの和菓子のとらやさんのこと。虎屋当主・黒川家に代々伝わるお雛様の展覧会でした。

ここでわたしは、上野池之端にお店があった七澤屋のことを詳しく知り、驚愕し、魅了されました。

noteに書いた展覧会レビューから、その魅力を少しご紹介しますと、

◎細かすぎる雛道具は、お父さんの趣味でもあった

ミニチュアサイズなのにすべて漆塗りの漆器!で、牡丹唐草文(ぼたんからくさもん)が、職人さんの手によって蒔絵で装飾!!!されています。
牡丹は冨貴の象徴、蔓(つる)は途絶えることなく代々伝わっていく、という意味合いがあり、縁起物の組み合わせなんですよ。

雛人形は京都の老舗人形店・丸平大木人形店(まるへいおおきにんぎょうてん) で新品を購入したようですが、雛道具は江戸時代・・・なんで?と思ったのですが、図録によると、素晴らしい雛道具一式なので、古美術がお好きだった黒川光景氏自身も欲しくって、この組み合わせにしたのでは?とありました・・・


でも、納得。これは確かに欲しくなるよね!と思うくらいに、素晴らしい品々なんです。囲碁や将棋の道具の碁石や駒、百人一首の札、冊子、茶道具のお茶杓や、煎茶道具、貝合わせの貝、お琴などの楽器まで・・・どれも小さいのに、もう引くくらいに精巧に作られています。
さらに、漆器だけでなく陶磁器やガラスもありました。茶碗やお猪口など、やきものでもこんなに正確に同じサイズと絵柄のものを、ミニチュアでたくさん作るなんて・・・!そしてガラスは切子!!!
江戸時代の職人さんがどれほどすごい技術を持っていたのかを考えたら、気が遠くなりました・・・


その数か月後、サントリー美術館で行われたコレクション展「日本美術の裏の裏」展でも、七澤屋の雛道具にお目にかかれまして、テンションが上がったのは言うまでもありません。



雛道具の名店として知られていた、七澤屋。江戸の贅の一つにも数えられ、「その値は実に世帯を持つより貴し」と言われるほどだったそうですが、ファンが多かったんですね。

それは、骨董品となった現代でも変わらず、熱狂的なコレクターがいらっしゃいます。もちろん、今はさらに希少価値が爆上がりしているため、セットで手に入れようとすると・・・とっても高価ですw

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カプセルトイだからって妥協しない作り手たち

だいぶ話がそれましたが、日本生まれのミニチュア文化・カプセルトイは、七澤屋の雛道具ほど贅の限りを尽くさなくても、魅力にあふれすぎている!!!とわたしは思います。

作り手の造形へのこだわり、商品化する対象のバラエティ、価格以上の価値、集めて愛でる楽しさ。
カプセルトイの世界、本当に奥が深いんです。

そしてわたしは毎度のことながら、品物そのもの以上に、作り手やスタッフクレジットを欠かさず見るタイプでして。もちろんカプセルトイでも確認してますw


有名な作り手といえば何と言っても、カプセルトイに限らず、数々のフィギュアや模型制作を手掛けている海洋堂さんでしょう。

1964年創業、"フィギュア=立体造形物"ということばの意味合いを新たに浸透させ、原型制作・監修している方のお名前がどどーんと出る、職人集団✨というカッコよさ。圧倒的なパイオニアですよね。

わたしが海洋堂さんを知ったきっかけは、おそらく1996年発売のエヴァシリーズ、そして1999年から発売されて食玩ブームとなったチョコエッグですね。なつかしー!!!


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カプセルトイで 我が家がミュージアムに

海洋堂さんのホームページによれば、最初にミュージアムにまつわるアイテムを手掛けたのは、2004年。

大英博物館からの依頼で、収蔵品をミニチュア化したという「大英博物館古代ギリシャ展 公式フィギュア」ですね。
・・・スフィンクス、欲しいです!

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※ページが古くて文字化けしてましたが、画像をお借りしました。

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わたしが持っている海洋堂さんのアイテムで、特に気に入っているものと言えば! まずは何といっても「岡本太郎アートピースコレクション」
東京・竹橋のMOMATこと東京国立近代美術館で行われた、「生誕100周年記念 岡本太郎展」でコンプリートしました。

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こちらのシリーズも、太陽の塔とか、いくつか飾ってます!

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また、「カプセルQミュージアム」シリーズ風神・雷神像や、珍獣コレクションたちも気に入っています。
このクオリティでこのお値段って。どれもこれもリーズナブルすぎませんか。
そういえばさりげなく、「対象年齢15歳以上」って書かれているものもありますね。ですよねー。

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子パンダやフクロウのシリーズもあります。
偶然にも、上記の珍獣シリーズと同じ方が造形を手掛けてました。
本当によくできてるんですよねぇ。手足や頭がまわるし、手足の裏の肉球とか細部までいちいち凝ってますよ。再販してほしいなぁ。

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※いずれも海洋堂さんのホームページから画像をお借りしました。それぞれ詳細ページへリンクを貼っていますので、ぜひご覧ください!

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もう一社、忘れてはならないのは、キタンクラブさんでしょう。

数年前、今に続くカプセルトイブームのきっかけを作った、と言っても過言ではない、コップのフチ子さん」シリーズの生みの親会社です。(生みの親はタナカカツキさんですね!)


我が家には、フチシリーズの太陽の塔や、

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土偶と埴輪のシリーズ

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先日、渋谷PARCOでコンプリートしてきた、はしもとみおさんの動物彫刻シリーズも飾っています。ノミの跡とか彩色とか、本当によくできてるんですよー。

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はしもとみおさんの動物彫刻は、2019年からスタートした「ART IN THE POCKET」シリーズのひとつ。

これまでに、歌川国芳の金魚長沢蘆雪のわんこ白根ゆたんぽさんのイラストの女の子シリーズなどが展開されていますね。

仏像は形が複雑だから動物系が多いのかなぁ。でも彩色は凝ってると思いますし、今後の新アイテムも楽しみです。

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ミュージアムグッズとしての カプセルトイの展開は?

ここまでご紹介してきた、カプセルトイの数々。
はしもとみおさんのシリーズは、水族館や動物園での限定販売が前提のため、ミュージアムグッズとも言えますが、その他はほとんど、街中に普通に販売されていたものです。

よくよく考えると、これってものすごくないですか?
あんなにクオリティの高いものが、街で普通に、数百円で気軽に買えてしまえるなんて!!!
そりゃ外国人旅行客の皆さんが、ガチャガチャにハマり、お土産に!と貼りついて楽しんでいた様子も納得です。


では、美術館・博物館のミュージアムショップには、ガチャガチャって置いていないのか。

わたし調べの限られた情報ですが、先述した海洋堂さんの「カプセルQミュージアム」シリーズは、確か、国立科学博物館のショップに置かれていたのを見かけたことがあります。

また、メーカーはわからなかったですが、川崎の藤子F不二雄ミュージアムにもドラえもんグッズのコーナーがあったはず。(いずれももう数年前のことなので、記憶違いかも。)

あと、MOMATの岡本太郎展。ショップ内というより、敷地内に設置されてました。

それ以外では、いわゆるカプセルトイメーカーのガチャガチャが、ミュージアムショップで置かれているのって、ほぼ見かけたことがありません。

ガチャガチャマシーンは置かれていますが、そこで販売しているのは、立体造形のアイテムではなく、ミュージアムグッズの制作会社さんが企画したグッズが中心です。
販売方法の一つとして、レジじゃなくてガチャガチャを使っている、というタイプ。よくお見かけする中身は、作品を使った缶バッジや、ピンバッジですね。

ちょっと凝ったアイテムだと、昨年、三菱一号館美術館で見かけた、コレクションの絵画作品をプリントしたサコッシュ

特に、左側のヴァロットンのモノクロ作品はツボ。SNSでも見かけました。

展示室を巡るときの貴重品入れにちょうど良さそうで、今でもほしい!


ちなみに、三菱一号館美術館のグッズは、みんな大好き・Eastさんが手掛けてらっしゃいます。さすがですね✨ 
わたしも好きすぎて、こちらでも暑苦しくご紹介してます。よろしければぜひ。


ミュージアムグッズにも通ずる カプセルトイの魔力

先日、この記事でも考察しましたが、

ミュージアムグッズをついあれこれ買ってしまうのって、やっぱり、今買わないと次がない!からに尽きるでしょう。


これって、カプセルトイをついつい買ってしまう心理と、ちょっと似ているかも!と、わたしは思っています。

SNSが一般的になった今、これ出るよ!という情報は、結構キャッチしやすいのですが、いざ欲しい!と思っても、なかなか街で出会えないんです!!!

と同時に、そこまで血眼になって情報収集している訳でもないので、え!こんなの売ってたのー!知らなかったー涙ってこともまだまだ多く。

タイミングを逃すとどんな探しても、もう出会えないんですよね。
本当に諦めきれないときは、メルカリで。ちょっとプレミア価格でも買ってしまおうか、本気で迷ってしまいます。


だから偶然、出先で見かけたりするともう!今買わないと次がない!という心境に。ついつい、お札を両替してガチャガチャしちゃうんですよねぇ。

そんなところも含めて、この先もますます、わたしのカプセルトイ好きは続いていきそうです・・・

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ということで、今回は詳しくご紹介(自慢?)しきれなかった、お気に入りのカプセルトイの数々は、近日公開予定の「これぞなピンポイント&ニッチなやつ編」で!!!お楽しみにー!!!

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次の記事は 9月15日(水)に公開します。


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